2021年8月

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

柴宜弘『ユーゴスラヴィア現代史 新版』~ボスニア内戦の流れと全体像を知るのにおすすめ

この本は1990年代に深刻な分裂、内戦が起きたユーゴスラヴィアの歴史を解説した作品です。

私は2019年にボスニア・ヘルツェゴビナを訪れています。その時の経験は今でも忘れられません。

今回『ユーゴスラヴィア現代史』が改版され大幅に加筆されるということで、この機会に改めてボスニア紛争について考えてみようとこの本を手に取ったのでした。

この本を読んでいると、ユーゴスラヴィアという国家がいかに複雑な原理で成り立っていたかがよくわかります。

この本はボスニアだけでなく、ユーゴスラヴィア全体からその歴史を考えていくことができるので非常にありがたい作品です。

仏教コラム・法話

吉田謙一『法医学者の使命「人の死を生かす」ために』~突然死は驚くほど私達の身近にあった

この本では、まさしく私たちがいつ死ぬかもわからない存在であること、そして実際に多くの人が毎年突然死で亡くなっているということを学ぶことになりました。コロナ禍においてこの本が果たす役割は相当大きなものがあると思います。この記事ではこの本の紹介と身近にある死について私が思う所を述べていきます。

仏教コラム・法話

末木文美士編『死者と霊性―近代を問い直す』コロナ禍の今、死とどう向き合うか

この本はコロナ禍における今だからこそ非常に重要なものとなっています。 私たちは病や死をどう考えていけばいいのだろうか。目に見えない存在に対してどう向き合うべきなのか。科学や合理性を盲信するあまり大事なことを見失ってはいないだろうか。 そのようなことを考えさせられる1冊です。

今、私達の死生観が問われています

ドストエフスキーとキリスト教

パウエル中西裕一『ギリシャ正教と聖山アトス』~知られざる正教の文化とギリシャの聖地とは

この本では私たちがあまり知ることのない正教の教えをわかりやすく解説してくれます。カトリックやプロテスタントとの違いもこの本を読めば見えてきますし、聖地アトス山が一体どのような場所なのかということも知ることができます。

長きにわたって守られ続けてきた祈りの生活とははたしてどんなものなのか。修道士は何を思い、どんな生活をしているのか。

読んでいて驚くような世界がどんどん出てきます。

写真も豊富で、現地の様子が非常にイメージしやすいです。これもこの本のありがたいところです。

著者の語り口もとても読みやすく、楽しみながら知られざる正教の姿を学ぶことができます。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

水木しげる『総員玉砕せよ!』あらすじと感想~自身の壮絶な戦争体験を描いた傑作漫画

Twitterで知り合った方に薦めていただいたご縁で読んだ『総員玉砕せよ!』でしたが、非常に心に残った本になりました。水木しげるさんがどのような過去を背負って生きていたのかを全く知らなかった自分が少し恥ずかしくなりました。『ゲゲゲの鬼太郎』を見る目もきっと変わったと思います。

この作品は漫画で書かれていますので、誰にでも手に取りやすい本となっています。戦後75年が経過し、コロナ禍で大混乱の今だからこそ大切にしたい1冊だと私は思います。非常におすすめです。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

『戦争と読書 水木しげる出征前手記』~知られざる水木しげるの姿と『ゲーテとの対話』のつながり

この作品は水木しげるが出征前に書いた手記と、それを基に荒俣宏がその手記の背景と、戦前、戦中、戦後の青年たちがどのように読書していたのかということが語られます。

もそもこの本を読むまで私は水木しげるのことを『ゲゲゲの鬼太郎』以外ほとんど知りませんでした。まさか戦争に出征してそこでの体験から様々な作品を書いているとは思ってもいませんでした。

この本は得るものの多い素晴らしい一冊でした。水木しげるをはじめとした青年たちが当時何を思い読書していたのか、そして彼らはどんな思いで戦争時代を生きていたのかを垣間見ることができます。非常におすすめです。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

ゲーテ『若きウェルテルの悩み』あらすじと感想~恋の悩みから自殺する青年の物語

『ウェルテル』は世界に衝撃を与え、この作品に影響を受けた青年が実際に自殺するという事態が続出するほどでした。ゲーテが自分で「もう二度と読んだりしないよう用心している」と言うのもわかるような気がします。

リアルタイムで恋に悩んでいる人は気を付けた方がいいかもしれません。読むとこの作品の魔力に憑りつかれてしまう危険性があります。

そんな危険もありますが、世界文学界に衝撃をもたらした『ウェルテル』は一読する価値ありのおすすめの作品です。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

エッカーマン『ゲーテとの対話』~ゲーテの人となりや思想を知るための必読書!

この本では『ファウスト』についてのゲーテ自身の解説や見解も聞くことができます。私は『ファウスト』の難しさにこれまでかなり苦戦していたのですが、『対話』を読んだことでその面白さを感じることができるようになりました。これは私の中で非常に大きな発見でした。

この本は間違いなく名著です。ゲーテ作品を読みたいと思った方にはぜひ、彼の作品を読む前にこの『対話』を読んで頂きたいです。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

ゲーテ『ファウスト』あらすじと感想~ゲーテの代表作の面白さを味わうために必要なものとは

かつて、『ファウスト』は私の中で苦手作品の筆頭にある存在でした。

しかし今となっては私の大好きな作品のひとつになりました。この本を「面白い!」と感じられた瞬間の喜びは生涯忘れないと思います。

この記事では私がいかにして『ファウスト』を楽しく読めるようになったかをお話していきます。いわば『ファウスト』を読むコツです。ぜひおすすめしたい記事です。

僧侶の日記

長部三郎『伝わる英語表現法』売り切れ続出の話題のおすすめ英語教本!もっと早くに知りたかった!

岩波書店から出たこの本が異様に売れているというツイートを見て、「どれどれ?」と気になり覗いてみるとどうやらこの本はものすごい1冊だったようです。いい本がたくさん売れるのは素晴らしいことです。日本人の英語力、いや文化力に必ずそれは反映されます。この本がもっともっと広まることを願っています。