MENU

ローマ通がおすすめする絶品エスプレッソ!バチカンでの日々とイタリア出国 イタリア・バチカン編⑦

目次

ローマ通がおすすめする絶品エスプレッソ!バチカンでの日々とイタリア出国 僧侶上田隆弘の世界一周記―イタリア・バチカン編⑦

バチカンでの滞在は5月8日から11日の4日間。

ぼくはこの4日間、毎日バチカン美術館に入り浸り、そしてサン・ピエトロ大聖堂にお参りした。

正直、4日間ではまったく足りない。

あと1週間くらいここでじっくり滞在したいものだと心の底から思った。

それだけバチカンはぼくにとって興味深い場所であり、心惹かれる場所だったのだ。

記事の分量上以前紹介できなかったが、バチカン美術館の絵画館も本当に素晴らしかった。

ここにはラファエロの作品も3点展示されていて、特に中央の『キリストの変容』はラファエロの最後の作品であり最高傑作と評されているほどの名画だ。

これを間近で見られた感動は今でも忘れられない。

この絵のすばらしさを語るだけで記事を一本軽々と書けてしまうほどだ。

キリストと弟子の宙を舞う姿。そしてその姿の何たる浮遊感。

絵の下半分のイエスと悪霊憑きの子供の対面のシーンも、一人一人の描写があまりに真に迫ってくる。

これは直接見てみると衝撃的なものだった。

目に入ってくる情報がまるで違う。これは直接絵と面と向かって対峙しないとわからない感覚だ。

芸術家のエネルギーと言えばいいのだろうか、目に見えない何かを体が感じるかのような、うまく言葉では表せないがとにかく圧倒的な体験としか言いようがない。

ラファエロの卓越した画力を存分に味わうことができる絵画館はぼくのお気に入りの場所のひとつとなった。

嬉しいことに意外と空いてるので穴場であることもお伝えしておきたい。

夜は夜景が素晴らしいというホテルの屋上バーへ。

こちらのアトランテスターホテルは、屋上テラスからサンピエトロ大聖堂を絶好のロケーションから眺めることができることで有名なホテルだ。

このホテルに宿泊していなくても屋上のバーには入場できるのでぼくは宿泊先から歩いてここに通いバチカンの夜景を堪能した。

夕暮れ時に来れば、バチカンの丘にゆっくりと暮れていく太陽をバックにオレンジ色に染まるバチカンを眺めることができる。

刻一刻と変わっていく景色を眺めながらゆっくりと過ごすのは最高に心が満たされる。

このバーはとてもおすすめだ。

そして最後にローマと言えばエスプレッソ。

ボスニアのミルザさんに教えて頂いたCastroniというお店。

ミルザさんは10年以上もローマに住んでいたローマ通。

その方が「ここが1番美味しいです。地元の人がみんな行きます」とおっしゃられるのだからこれは間違いない。

お店自体は食料品店ということで地元の食品がずらりと並んでいるのだが、奥に行くとコーヒーカウンターがある。

ここでおじさんが作ってくれたエスプレッソをカウンターで立ったまますっと頂く。

これがローマのコーヒースタイルだ。

エスプレッソなので量も少ない。

だが、その分濃い。

日本人のようにブラックで飲むという習慣がないので、砂糖を入れるのを前提とした味だ。

早速飲んでみる。

・・・ん!?何だこれは・・・!

美味い・・・あまりに美味い!・・・でも、何が美味いのかさっぱりわからない!

頭が混乱している!よくわからないがとにかく美味い。

これは不思議な体験だった。混乱するほどうまいとはよっぽどのことだ。

説明できない美味さ。自分でも何がなんだかわからないのだからそれも当然だ。

ぼくはすぐさまおかわりした。

もう一杯飲んでもやはり美味い!

本当に素晴らしい。

ぼくはすっかりこの味に夢中になってしまった。

それからぼくは毎日ここに通い、最初から2杯を頼み一気に飲み干しては帰るという妙なルーティーンをこなすことになったのであった。

このお店は本当におすすめだ。イタリアのお土産を買うのにも絶好の場所だ。現地ならではの、そして本当にクオリティの高い食品をリーズナブルな価格で買うことができる。

バチカンに行かれる方はぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

さて、バチカン最終日の朝。

空港に行くまでのわずかな時間、ぼくは最後のバチカンを味わっていた。

この日は何か行事があるのかサン・ピエトロ大聖堂の祭壇ではたくさんの神父さんや黒いスーツを着た男性が色々な準備をしていた。

これだけの人数の神父さんや黒服の男性が集まって作業をしているところを見ると、恐そうだなという思いやらかっこいいなという思いやら色々な感情が湧き上がってきた。

ローマカトリックの大本山を動かしている人達だ。きっととてつもなく優秀な人達なのだろう。

独特なオーラというか風格のようなものを感じた。

しっかりとこれも目に焼き付けておこう。

さて、いよいよイタリアともお別れだ。本当にバチカンは素晴らしい場所だった。後ろ髪を引かれる思いとはまさにこのことだ。

さてさて、次の目的地はスペイン。

スペインは20日間をかけて周遊する。

数多くの宗教の聖地があるスペイン。

個人的にもものすごく楽しみにしていた国でもある。

引き続きスリにも注意しながら、じっくりとスペインを観ていきたいと思う。

続く

※ローマやイタリアを知るためのおすすめ書籍はこちらのカテゴリーページへどうぞ
「ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック」
「イタリアルネサンスと知の革命」

次の記事はこちら

あわせて読みたい
スペイン入国と世界中の憧れ・プラド美術館を堪能 スペイン編① 2019年5月11日。ローマから飛行機でスペインのマドリードへ移動。 これからおよそ20日間をかけてスペインの各都市を巡っていきます。 その一番最初に訪れたのがプラド美術館です。さすが世界屈指の美術館。ベラスケスやヒエロニムス・ボスの名画を堪能しました。

前の記事はこちら

あわせて読みたい
ミケランジェロとベルニーニが設計したサン・ピエトロ大聖堂の美の秘密を解説 イタリア・バチカン編⑥ この記事ではサン・ピエトロ大聖堂の建築とミケランジェロ、ベルニーニという二人の天才についてお話ししていきます。 ミケランジェロが建築家としてサンピエトロ大聖堂を設計していたという驚きの事実や、それを引き継いだベルニーニがいかに人々を魅了する芸術を生み出していったかを紹介していきます。皆さんもきっと彼らの天才ぶりに驚くと思います。

世界一周記イタリア編記事紹介ページはこちら

あわせて読みたい
ローマ・バチカン旅行記おすすめ記事一覧~僧侶が訪ねた美の殿堂【僧侶上田隆弘の世界一周記】 この記事ではバチカンに特化しとことんその美しさを堪能していきます。 僧侶ならではの視点で見た一風変わったバチカン旅行記です。

関連記事

あわせて読みたい
ボスニア紛争経験者ミルザさんの物語(前編)~紛争の始まりと従軍経験 ボスニア編⑦ わかりやすい構図で語られる、紛争という巨大な出来事。 ですが、事実は単にそれだけでは済まされません。民族や宗教だけが紛争の引き金ではありません。あまりに複雑な事情がこの紛争には存在します。 わかりやすい大きな枠組みで全てを理解しようとすると、何かそこで大切なものが抜け落ちてしまうのではないだろうか。なぜ紛争が起こり、そこで一体何が起こっていたのか。それを知るためには実際にそれを体験した一人一人の声を聞くことも大切なのではないでしょうか。 顔が見える個人の物語を通して、紛争というものが一体どのようなものであるのか、それを少しでも伝えることができたなら幸いです。
あわせて読みたい
(3)ローマの老舗カフェ・グレコへ~ゲーテやアンデルセン、メンデルスゾーンも通った芸術家たちの聖地 ローマのスペイン広場近くにあるカフェ・グレコはあのゲーテやアンデルセン、メンデルスゾーンやベルリオーズなど数え切れないほどの著名人が時を過ごした名店で、文学や絵画、音楽好きにはたまらない聖地となっています。 さすが200年以上の歴史を持つ老舗。ノスタルジーを感じるにも最高です。 私もローマ滞在中何度もここへ足を運びました。何度来てもわくわくする空間です。
あわせて読みたい
(13)関係者以外立入禁止のバチカン市国内部を特別に見学!サン・ピエトロ大聖堂の貴重な裏側も! バチカン市国には国家としての機構も当然あります。銀行や郵便局、裁判所などなど様々な施設が領内に存在します。ただ、大聖堂や美術館以外のエリアは関係者以外は立ち入り禁止のため、それらを目にすることは一般観光客にはできません。 ですが、なんと!そこに私は入場できることになったのでした! この記事ではそんな私の体験をお伝えします。普段見ることのできないバチカンの姿を皆さんにご紹介します。
あわせて読みたい
混雑とおさらば!バチカンで朝食を~静寂のバチカン美術館を独り占め! イタリア・バチカン編② バチカンの朝食付き入場チケットのメリットは通常9時オープンの美術館に1時間早く入場することができること。 これさえあれば大混雑とも無縁の静かな美術館を満喫できます!非常におすすめです! 私も2022年に再びこのチケットを使ってバチカン美術館に入場しました。やはりこのチケットは最高です!
あわせて読みたい
ローマカトリック総本山サンピエトロ大聖堂~想像を超える美しさに圧倒される イタリア・バチカン編④ ローマカトリックの総本山バチカンのサンピエトロ大聖堂。 そのあまりの美しさと迫力に圧倒されてしまいました。 そしてミケランジェロのピエタ像にも魅了され、衝撃的な時間を過ごすことになりました。 まさかここまですごいとは・・・!予想をはるかに超えた素晴らしさにただただ絶句するのみでした。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次