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『古代ローマ軍の土木技術』あらすじと感想~ローマ帝国の驚異の建築術を知るのにおすすめ!

目次

『古代ローマ軍の土木技術 街道・水道・運河などの建築技術をイラストで再現』概要と感想~ローマ帝国の驚異の建築術を知るのにおすすめ!

今回ご紹介するのはジェラール・クーロン、ジャン=クロード・ゴルヴァン著、大清水裕訳の『『古代ローマ軍の土木技術 街道・水道・運河などの建築技術をイラストで再現』です。

早速この本について見ていきましょう。

戦争のない平和な時、古代ローマの兵士たちは何をしていたのでしょう?
司令官は兵士が無為に時間を潰すことを恐れました。
そして兵士たちから“暇な時間を奪い取るために”、土木事業に動員しました。
兵士たちはトンネルを掘り、街道をつなげ、橋を作り、そして水道を引いたのです。
そのおかげでローマ帝国は類を見ない大都市へと発展していきました。
古代ローマの兵士たちがどのような立場や環境のもとで、
どのような工法により土木工事を行っていたのか、
詳細なイラストによって、まるで当時の工事現場にタイムスリップしたかのように体感することができます。

Amazon商品紹介ページより

この作品は古代ローマ時代の驚異の建築技術について知ることができる作品です。タイトルにもありますようにイラストが多数掲載されていますので視覚的にもイメージしやすく、とてもわかりやすい作品となっています。

古代ローマの建築といえばコロッセオやパンテオン、水道橋など様々なものが思いつくと思います。

ローマのパンテオン Wikipediaより

およそ2000年も前の時代にどうやってこんな巨大な建物を作れたのか本当に不思議ですよね。この本はその不思議に迫れるありがたい本です。

その中でも私が特に驚いたのはクレーンの存在です。人力ではありますが巨大なクレーンを設置して石を高く吊り上げたり、重しをつけてハンマーとして使っていたというのには驚きました。この記事では掲載できませんがこの本のイラストを見ればびっくりすると思います。建物の最上部ほどの高い位置に足場を作り、そこにクレーンを設置して石を運び上げているのです。こんな大作業が2000年前にしてすでに行われていたということに呆然とするしかありません。

また橋の建設の仕組みなども「えっ!そうやって作っていたの!?」と度肝を抜かれました。ローマ人の技術力の高さには驚くしかありません。

また、上の本紹介に「戦争のない平和な時、古代ローマの兵士たちは何をしていたのでしょう?司令官は兵士が無為に時間を潰すことを恐れました。そして兵士たちから“暇な時間を奪い取るために”、土木事業に動員しました。」とあったのも非常に重要です。

と言いますのも、かつての兵士はそのほとんどが一時的な雇われ兵士、つまり傭兵でした。現代のような国直属の常備軍という概念はほとんどなかったのです。そんな彼ら兵士たちは戦争で生きています。そしてもし戦争がなくなれば生活の糧を失うことになります。戦争という荒ぶる世界に生きる男たちが食い扶持を失ったらどうなるか・・・

それが上で紹介されていたことなのです。無為にさせることは実際危険極まりないことだったのです。

この傭兵システムについて、私は最近菊池良生著『傭兵の二千年史』という本を読みました。

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この本では傭兵システム誕生の経緯からヨーロッパの歴史を貫く戦争と兵士の問題を知ることができます。まさしくこの本では食い扶持をなくした兵士たちの恐るべき実態について多く言及されています。

そうした無為の兵士たちの危険極まりないエネルギーをどうするのか、これが世界中の為政者の悩みの種だったのです。

ですがさすがはローマ帝国。彼らはその平和時に兵士たちに建築・土木作業を担わせたのでした。建築・土木作業は体力や技術、規律が求められます。それらをすべてクリアする存在として兵士たちは非常に貴重な存在でした。そしてそんな彼らが帝国中のインフラをどんどん作り上げていくことになったのです。

もちろん、建築は兵士だけで行われるわけではありません。数からいうとそこまで多数を占めるわけではないということも本書では書かれていました。しかしローマ帝国の誇る建築技術がローマ軍によって培われていたというのは非常に興味深い事象であるなと私は感じました。

ローマの驚異的な建築物がどのようにして作られたのか、またそれらを担った人的システムはどうなっていたのかを知れるおすすめの作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「『古代ローマ軍の土木技術 街道・水道・運河などの建築技術をイラストで再現』~ローマ帝国の驚異の建築術を知るのにおすすめ!」でした。

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古代ローマ軍の土木技術

古代ローマ軍の土木技術

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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