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牧野宣彦『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』概要と感想~ゲーテのイタリア旅行を写真で辿るおすすめガイドブック
今回ご紹介するのは2008年に集英社より発行された牧野宣彦著『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』です。
前回の記事ではゲーテの『イタリア紀行』をご紹介しました。
ゲーテの意外な素顔や彼の旅行の様子を知れるこの作品は私も大好きになりました。
そして今回ご紹介する『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』はその『イタリア紀行』をもっと楽しむためにとてもおすすめな作品となっています。
では、早速この本について見ていきましょう。
200枚の写真で体験する、200年前に文豪が「見たこと、聞いたこと、書いたこと」の知の旅!
ゲーテには、文豪という顔のほかにワイマール公国の顧問官という政治家の顔もあった。7歳年上の人妻、シュタインとのかなわぬ恋に疲れたゲーテは遁走するようにイタリアへの旅に出る。しかしイタリアは、ゲーテにとって若い日から夢見た憧れの「都」でもあった。北イタリアの諸都市からローマ、ナポリ、シチリアへとつづく旅は、好奇心に満ち満ちている。 そしてゲーテは、その1年10ヶ月におよぶ旅を、克明な日記に書き残した。本書は文豪の「知の旅」を巡り、それを体感するものである。
Amazon商品紹介ページより
この本の特徴は何と言ってもその豊富な写真にあります。ゲーテが見た景色を私たちも写真で追体験することができます。
著者はこの本について次のように述べています。
私が初めて、ゲーテの『イタリア紀行』(岩波文庫、相良守峯訳)を読んだのは、二十歳くらいの時だった。その時の印象は注釈が多く、難解でなかなか先に進まなかった記憶がある。その後ゲーテの『イタリア紀行』は潮出版社から高木久雄氏の訳で出版されたが、表現もわかりやすくなり、以前より理解しやすいと思った。本書で引用しているゲーテの文章は全て潮出版社版『ゲーテ全集』の『イタリア紀行』をべースにしている。紙面を借りて心から感謝致します。
本書を書こうと思った動機は、友人のTさんと話した時だった。イタリアへの造詣が深く、大変な読書家だが、ゲーテの『イタリア紀行』は、途中で挫折し、全部読んでいないという。私はそれを聞いてやはり『イタリア紀行』は、ゲーテの訪れた場所の写真がないと読むのが難しい作品だと改めて痛感した。一九九八年以来イタリアに住み始め、ゲーテの訪れた場所をほとんど見て『イタリア紀行』を読み直したら、ゲーテの述べていることがよく理解できるようになっていた。思えばゲーテも、一八一六年『イタリア紀行』を絵日記にして出版しようと試み、イタリア各地でゲーテ自身がスケッチしたり、画家に風景を描かせたりして準備をしていたが、結局実現しなかった。それを考えると、写真でゲーテの足跡を辿る本書はゲーテの意にかなっていると思う。
集英社、牧野宣彦『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』P2-3
私は最初から潮出版社版で『イタリア紀行』を読んだのでそこまで気になりませんでしたが、たしかにこの作品はゲーテに対する予備知識や当時の時代背景や芸術の知識も必要になります。
そして著者が述べるように写真があればさらにこの作品を楽しめることは間違いありません。
また、この本の最初ではゲーテの生涯や人となり、そしてイタリア旅行出発の背景もわかりやすく解説してくれます。
ですので肩肘張らずにゲーテの『イタリア紀行』を楽しめる最良のガイドブックとなっています。
私は先にゲーテの『イタリア紀行』を読んでからこの本を読んだのですが、「おぉ!あそこで書かれていたのはこういう景色なのか!」という形でこの本を楽しむことができました。きっと逆のパターンでもお互いの本を楽しむことができるでしょう。
この本はゲーテゆかりの地を著者の牧野氏と共に歩いていく感覚で読み進めることができます。これは楽しい1冊です。
ゲーテに興味のある方にぜひおすすめしたい作品です。
以上、「牧野宣彦『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』~ゲーテのイタリア旅行を写真で辿るおすすめガイドブック」でした。
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