MENU

緊張のイスラエル入国-テルアビブ空港からエルサレムのホテルまでシェルートで移動 イスラエル編①

目次

緊張のイスラエル入国-テルアビブ空港からエルサレムのホテルまでシェルートで移動 僧侶上田隆弘の世界一周記―イスラエル編①

4月2日 いよいよイスラエルに向けて出発。

イスタンブール空港では搭乗時刻が出発時間の1時間前となっていた。

普通は出発の30分前と指定されるのにこれは一体どういうことなのだろう。

時刻通り1時間前に行ってみると、それもそのはず、イスラエル行きの便には搭乗前にも厳重なセキュリティチェックがあったのだ。

手荷物の中身を全部調べられる。かなりの念の入りようだ。

これからイスラエルに行くのだという実感が高まる。

万が一にもテロがあってはいけない。

たった一件のテロでも世界中を戦争に巻き込む火種となりかねないのだ。

万が一も許されない。

そういう緊張感をこの手荷物検査で感じたのであった。

機内に乗り込んでしまえば、いつもの機内の時間だ。特に変わったことなどない。

約2時間ほどでイスラエル上空に着く。

さあ、いよいよ来たぞ、イスラエル。

間もなく無事着陸。

イスラエルでの旅がここから始まる。

テルアビブのベングリオン空港。近代的な空港だ。欧米人でごった返している。

空港ターミナルから出ると、熱気を感じる。やはり中東、暑い。日差しが強烈だ。

しかし調べてみると最高気温は20度。

体感よりもだいぶ低い温度だった。

イスタンブールがとても寒かったので体が反応してしまったからだろうか。

さてさて、空港から目的地のエルサレムまでは、シェルートと呼ばれる乗り合いバスに乗って向かう。

こちらがそのシェルート。

空港から直接エルサレム中心地まで行く鉄道はなく、バスもない。

かといってタクシーやツアー会社の送迎サービスを使うとびっくりするようなお金がかかる。

そうなってくると残る選択肢はシェル―トということになる。

シェル―トは宿泊するホテルまで乗せていってくれる上に料金もおよそ2000円と、良心的な価格だ。なかなかよい選択肢のように思える。

ただこのシェルート、定員の10人が揃うまで出発しないという難点もある。

もしその人数が揃わなければ?

どうもこうもない。ただひたすら待つしかないのだ。それ以外に方法は、、、ない。

案の定ぼくは最初の1人になってしまい、残り9人を待つことになってしまった。

30分待っても、誰も乗ってこない。

おいおい、大丈夫なのかこれは? もしかして、みんな使うの避けるようなものなのか・・・・?

45分ほどしてようやく人が集まりだす。一つでもグループが来てくれると一気に人数が増えるのでありがたい。

結局50分ほど待ってシェルートは出発した。

やれやれ、とりあえずなんとかなったようだ。

高速道路のような道をシェルートは爆走していく。

このドライバー、なかなかに運転がワイルドだ。

車線の上を走りながら周りの車をけん制していく。まるで俺のエリアには入らせないぜと言わんばかりの運転だ。

ワイルドなのはこのドライバーだけじゃない。

道行く車がみんなこうなのだ。

車間距離がものすごく近い。その上車線変更も強引だ。

よくこんなんで事故起こさないもんだと思っていたら、案の定その先で車が事故っていた。

ははは・・・やっぱりそうだよね・・・・・

まあ、ぼくの乗る車が今日に限って事故を起こす確率はものすごく低い。

今日までいつもこんな運転しててもこのドライバーは生き延びているんだから、今日になって突然死ぬってこともないだろう。

そして、45分ほど走るとエルサレムの町に入る。

エルサレムは思っていたよりはるかに大きな街だった。

いくつもの丘が互い違いに折り重なっているような街だ。

平坦な道はほとんどない。丘の斜面に沿ってびっしりと石灰岩で作られた建物が並んで立っている。

住宅地の中をシェルートは進んでいく。

どうやらこのシェルート、ホテルだけではなく、自宅までも行ってくれるようなのだ。

事実、僕以外のお客さんは皆自宅へと送られていった。

シェルートは現地住民の足にもなっているようだ。

ぼくの滞在するホテルは旧市街のはずれ、アラブ人街だ。

そのため1番最初に乗ったのに、降ろされるのは一番最後になってしまった。

結局2時間近くシェルートに揺られ目的地のホテル付近に到着。

だが、明らかにホテルじゃないところで降ろされる。

「まっすぐ行って左だ!」

ぎりぎり聞き取れたのはここまでだ。

どうやら一方通行やらなんやらで、この先に行くのは面倒だからここからは歩けということらしい。

やれやれ、最後までワイルドなドライバーだ。

ホテルはまだ見えない。不安が募る。

でも、歩くしかない。

アラブ人街はエルサレムの東側の地区だ。ユダヤ人やキリスト教徒はこちらのほうにはほとんど寄り付かないらしい。

さびれた建物が並び、道にはごみがたくさん捨てられている。

人もまばらだ。

若干の恐怖を感じる。もう夜は近い。暗くなる前に早く着いてしまいたい。

ドライバーの言う通り、左へ曲がる。

あった!看板に赤い文字で「NATIONA」と書いてあるのが見える!

ここが今日から泊まる宿、ナショナルホテルだ。

なんとか無事ここまでたどり着いた。

いきなり面食らってしまったエルサレムであったが、明日からは街歩きもスタートだ。

エルサレムは三大宗教の聖地が集う。

じっくりとその聖地を見て回りたいと思う。

続く

次の記事はこちら

あわせて読みたい
エルサレム旧市街散策~オリーブ山からの眺めとゲッセマネの園 イスラエル編② エルサレムの旧市街は1キロ四方にも満たないくらいの大きさです。その中に、歴史上重大な役割を果たす宗教施設が密集して建っています。 この日の散策のスタートは旧市街の東側にあるオリーブ山。ここからはエルサレムの旧市街や新市街を綺麗に見渡すことができます。そして私は聖書で有名なゲッセマネの園へも足を運んだのでありました。

前の記事はこちら

あわせて読みたい
イスタンブールと平安京~遷都をめぐる意外な共通点 トルコ編④ この記事では海に囲まれたイスタンブール旧市街の歴史とその秘密に迫っていきます。 この街が栄えるきっかけとなったのはローマ帝国の遷都にありました。 時の皇帝コンスタンティヌスがここを新たなる都として選んだことがこの街の発展の礎となりました。そしてこの遷都は日本の平安京遷都とも共通点があったのです。

イスラエル編記事一覧はこちら

あわせて読みたい
僧侶が訪ねた世界三大一神教の聖地エルサレム!世界一周記イスラエル編一覧 僧侶が訪ねた世界三大一神教の聖地エルサレム!僧侶上田隆弘の世界一周記イスラエル編一覧 トルコのイスタンブールの次に訪れたのは中東の国、イスラエル。 ここにはユ...

関連記事

あわせて読みたい
ユダヤ教の聖地~嘆きの壁に触れる イスラエル編③ オリーブ山からエルサレムの街を眺めた私は、いよいよ城壁内の旧市街へと足を踏み入れます。 そして私が最初に訪れたのはユダヤ教の聖地、嘆きの壁。 私はここで不思議な感覚を感じたのでありました。
あわせて読みたい
イエス・キリストのお墓、聖墳墓教会を訪ねる イスラエル編④ 嘆きの壁を訪れた後に私が向かったのはイエス・キリストのお墓がある聖墳墓教会。 キリスト教世界における聖地中の聖地。 私にとってもこの地を訪れることができたのは本当に印象深い経験となっています。
あわせて読みたい
エリコの誘惑の山~キリストと悪魔の宿命の対決の舞台!『カラマーゾフの兄弟』とも関係 イスラエル編⑦ エリコ観光の大きな目的の一つである城壁跡の散策を終えた私が次に向かうのは誘惑の山と呼ばれる場所。 ここはイエス・キリストが40日間の断食修行をしていた時に悪魔から3つの誘惑を受け、それを見事に跳ね返したという『新約聖書』の記述に基づいた場所です。 そしてこの誘惑の山はドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』とも重大なつながりがある地としても知られています。
あわせて読みたい
ユダヤ教の安息日、エルサレムの嘆きの壁の祈りに心が震えた! イスラエル編⑨ ユダヤ教徒にとって、毎週金曜夕方から土曜日の夕方までは安息日あるいはシャバットと呼ばれる特別な1日。 そしてシャバットの夜、すなわち金曜の夜は嘆きの壁でのお祈りはピークを迎えます。 というわけで、私もその夜、嘆きの壁に行ってみることにしたのでした。 そしてそこで私はその祈りに度肝を抜かれたのでありました。この記事ではその時の体験をお話ししています。
あわせて読みたい
イスラム教の聖地、岩のドームを訪ねて イスラエル編⑬ 近くで見ても美しい!イスラム教の聖地、岩のドーム 僧侶上田隆弘の世界一周記―イスラエル編⑬ 4月8日。朝7時。 今日も「寺は朝」の原則を守ることにしよう。 今朝の...
あわせて読みたい
ベツレヘムとパレスチナ自治区~分離壁に囲まれた町 イスラエル編⑯ この日、私はエルサレムから移動し、パレスチナ自治区のベツレヘムへと向かいました。 ベツレヘムはキリスト降誕の地として有名ですが、今この街はイスラエルによって完全に隔離された街となっています。 私はその分離壁を目の前にし、パレスチナ問題の根深さを痛感することとなりました。
あわせて読みたい
イスラエルの世界遺産マサダ要塞の歴史~ユダヤ人迫害の悲劇と殉教の物語 イスラエル編⑪ この記事ではイスラエルの砂漠にある世界遺産マサダ要塞を紹介していきます。 マサダ要塞はエルサレムから車で1時間半弱、エルサレムの南側にある要塞です。そのすぐそばには死海があり、エルサレムからの道はこの死海に沿って進むことになります。 ユダヤ教の聖地であるこのマサダ要塞、ここはユダヤ人とローマ帝国の歴史を知る上でも非常に重要な地です。
あわせて読みたい
『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』連載のお知らせ 皆さんこんにちは。 本日は『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』の連載開始をお知らせ致します。 今回連載させて頂く 『いのちと平和を考える―お坊さんが...
あわせて読みたい
世界一周紀行~世界の宗教と歴史を巡る旅―僧侶の私がなぜ旅に出たのか 私は2019年3月末から80日をかけて13カ国を巡る世界一周の旅に出ました。 そのルートはタンザニア→トルコ→イスラエル→ポーランド→チェコ→オーストリア→ボスニア・ヘルツェゴビナ→クロアチア→イタリア・バチカン→スペイン→アメリカ→キューバです。 この記事では私がなぜ世界一周の旅に出たのかをお話ししていきます。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次