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外山滋比古『思考の整理学』あらすじと感想~勉強の仕方を考えるための最高の参考書!読書入門にもおすすめの名著!

思考の整理学
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外山滋比古『思考の整理学』概要と感想~勉強の仕方を考えるための最高の参考書!読書入門にもおすすめの名著!

今回ご紹介するのは1986年に筑摩書房より発行された外山滋比古著『思考の整理学』です。私が読んだのは2014年第97刷版です。

早速この本について見ていきましょう。

Amazon商品紹介ページより

自分の頭で考え、自力で飛翔するためのヒントが詰まった学術エッセイ。
アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?
自らの体験に即し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。
考えることの楽しさを満喫させてくれる一冊。

2008 年に東大(本郷書籍部)・京大生協の書籍販売ランキングで1 位を獲得して以来、14年の間に東大は7度の、京大は4連連続9度の売上1 位を獲得。(文庫版)
「東大・京大で一番読まれた本」として知名度を高め、新たな読者を増やし続けています。

Amazon商品紹介ページより

この本は上の本紹介にありますように、すでに270万部を売り上げた驚異のベストセラーです。しかも東大生や京大生からの支持も厚く、「勉強をするための入門書」として根強い人気がある作品です。

私もこの本を学生時代に読み、大いに励まされた記憶があります。この本では「学ぶとは何か」ということを真正面から問うていきます。私達は「勉強」というと苦しくて大変というイメージを抱きがちですが、人間としてそもそもなぜ学ばなければならないのか、学ぶことの真の楽しさとは何かをこの本では考えていくことができます。

本書のあとがきで著者はこの本について次のように述べています。

日ごろ、考えるということばを何気なくつかっている。

これはよく考えなくてはいけないと思うことがときどきおこる。うまく考えがまとまらない、といっては、あせったり、悲観したりすることもある。そして、お互いに、自分は相当、考える力をもっていると思って生きている。

ところが、その考えるというのは、どういうことか。思うのとどう違うのか。知るのとの関係はどうなのか。いかなる手順をふんで考えているのであろうか。そういうことを改まって反省することは、まず、例外的であろう。

かつての学校では、ほとんどまったく、考えるということについて教えなかった。それでも、気がついてみると、われわれはそれぞれ、いつのまにか我流の考え方、自分だけの考えのまとめ方をもっている。

どこで教わったというのでないし、とくに自分で工夫したということもなく、自然にある型のようなものができ上がっている。その人の発想は、この型によって規制される。やっかいなのは、その型をみずからでははっきり自覚することが困難なことである。

自分はどういう考え方をしているのか、ということを意識するには、ほかの人の型に触れるのが有効である。この本がそういう意味でいくらかでも読者の役に立てば幸いである。

だいたい、思考とか、思考の整理について、かんたんに方法を教えることは困難であると思っている。したがって、この本も、技術や方法を読者に提供しようという意図はもっていない。いわゆるハウツウものにならないようにしたつもりである。

考えるのは面倒なことと思っている人が多いが、見方によってはこれほど、ぜいたくな楽しみはないのかもしれない。何かのために考える実利実用の思考のほかに、ただ考えることがおもしろくて考える純粋思考のあることを発見してよい時期になっているのではあるまいか。

ものを考えるとはどういうことか、を考えようとする人にとって、他山の小石くらいに見ていただくことができれば幸いである。いくらかでもよい刺激となることがあれば望外のしあわせと言うほかはない。

筑摩書房、外山滋比古『思考の整理学』2014年第97刷版P216-217

「かつての学校では、ほとんどまったく、考えるということについて教えなかった。」

かつてと言わず、今でもなかなか「考えること」そのものについて学ぶ機会というのはほとんどないというのが実情ではないでしょうか。受験戦争に勝ち抜くためにひたすら暗記、練習問題の繰り返しが求められた結果、「勉強」というもののイメージがそうした苦行的なものになってしまうのは仕方のない面があるかもしれません。

ですが大学生になると、そこからは自分で学んでいかなければなりません。与えられた問題を解いていくのではなく、自分で問いを見つけにいかなければなりません。これが自分で学ぶことのスタート地点です。

ただ、いきなり自分で問いを探せと言われてもどうしたらよいかわからず途方に暮れてしまうのではないでしょうか。義務教育を終えた後に直面する最初の難題はここにあります。

だからこそ東大や京大でこの本が「学ぶことの入門書」としてこれだけ売れているのでしょう。これは東大京大関わらず、あらゆる大学でもそうだと思います。

この本では「考えることとは何か」、「学ぶとはどういうことなのか」、「より深く物事を考えるためにどうしたらよいのか」ということを丁寧に考えていきます。

また、ひとつひとつの章がコンパクトにまとめられていて非常に読みやすく、まさに入門書としてうってつけです。

勉強や読書というと堅苦しくて大変だと思うかもしれませんが、そうした固定観念をひっくり返してくれるのがこの本です。この本を読めば「学ぶ」ということの意味やその楽しさを知ることができます。

私もこの本を読んだことで格段に読書が楽しくなったという実感があります。むやみやたらに読書をするのではなく、まさしく「思考を整理し」、より豊かな読書ライフを送れるようになったと私は感じています。何より、自信をもって本をたくさん読めるようになりました。本や様々な学びをより深く味わう術をこの本では教えてもらいました。

受け身の勉強ではなく積極的な学びへと誘ってくれる素晴らしい作品です。これは学生だけでなく全ての方におすすめしたい一冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「外山滋比古『思考の整理学』~勉強の仕方を考えるための最高の参考書!読書入門にもおすすめの名著!」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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