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ボスニア・ヘルツェゴヴィナの魅力とおすすめスポットをご紹介 ボスニア編⑱

目次

ボスニアの魅力とおすすめポイントをご紹介 僧侶上田隆弘の世界一周記―ボスニア編⑱

18本の記事にわたって書き続けてきたボスニア編もいよいよ最終盤。

ボスニア編では紛争をメインのテーマにして綴ってきたのでかなり重い記事になってしまった。

読んで下さったみなさんにも辛い思いをさせてしまったかもしれない。

だが、ボスニアはそれだけではない。

ボスニアは観光するにもとても魅力的な国だ。

ぼくはたまたま民族紛争と宗教というテーマで訪れたからこそ、これまでの記事で述べてきたようなことを体験したまでのこと。

ボスニアはヨーロッパにありながら、ヨーロッパとは異なる異国情緒を感じることができる国。

まだまだ日本人にとっては馴染みのない国かもしれないが、現在新たな人気観光地としてヨーロッパでは特に注目を浴びている国なのだ。

というわけで、ボスニア編の最後にこの国の魅力と次の記事ではそれに合わせてサラエボの治安情報を掲載していきたいと思う。

ボスニア・ヘルツェゴビナはバルカン半島西部に位置する国で、国土の大半が山岳地帯だ。

首都はサラエボ。

ラテン橋

第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件の舞台、ラテン橋で有名な都市だ。

サラエボの象徴 セビリ

サラエボ旧市街はオスマン帝国統治時代の影響で、ヨーロッパにありながらイスラム風の街並みが広がっている。

異国情緒たっぷりの旧市街をぶらぶら散策するだけでも、大いに楽しめる。

そしてサラエボはヨーロッパのエルサレムと呼ばれていたほど、多様な宗教が共存していた街。

そのためカトリックの教会やイスラームのモスク、ユダヤ教のシナゴーグなど数多くの歴史遺産が街中に点在している。

カトリックの教会
イスラームのモスク

サラエボは多宗教の共存というヨーロッパでは珍しいあり方をしていた。

そのためここでは様々な背景を持った人々の文化が入り混じる独特な文化が形成されることになった。

サラエボを観光すればほかのヨーロッパとは違う雰囲気をすぐに感じることができるだろう。

ヴレロボスネ自然公園

そしてサラエボは山に囲まれた街だ。そのため街中から車で数十分のところに豊かな自然がある。

街中の散策の息抜きに郊外の美しい自然を見ながらリラックスというのもとても優雅な時間だ。

もちろん、トンネル博物館をはじめとしてボスニア紛争の歴史を学ぶこともボスニア観光の重要な要素になるだろう。

紛争というぼくたちが体験したことのない極限状態の存在を目の当たりにすることで、自分たちが住む日本という国に対してどのような思いが湧いてくるのか。

紛争の爪痕を通して歴史を学ぶこともボスニア観光の大きな意義となるのではないだろうか。

そして食事!

ボスニアはお肉が美味しい。

これはチェヴァプチチ(ćevapčići)と呼ばれる肉料理だ。

ジューシーで、肉を食べてる感がものすごい。

こってりした味ではあるが生玉ねぎと一緒に食べるとさっぱりして絶妙な旨さ。

そしてそれに合わせてヨーグルトドリンクを飲むのがボスニア流。

これで胃もたれを防ぐのだそうだ。

ラム肉も絶品なのがボスニア。

ラム肉が苦手な人も多いだろうが、ここのお肉はラム特有の臭みはほとんどない。

お肉も柔らかく本当に美味しい。ぜひ一度ご賞味あれ。

そして忘れちゃいけないのはボスニアコーヒー。

ボスニアコーヒーは濃い目に作ったコーヒーの上澄みを頂くスタイル。

そして驚くべきは角砂糖をそのまま口に含むというその飲み方。

ボスニアコーヒーについてはサラエボウォーキングツアー~ヨーロッパのエルサレムを散策 ボスニア編⑤の記事でも紹介したのでそちらを参照して頂ければ幸いだ。

何はともあれボスニアコーヒー、とにかく美味いということはお伝えしたい。

ボスニアは物価がヨーロッパ諸国と比べてかなり安い。

そのため食事もかなりリーズナブルに取ることができる。

ぼくにとってこれはとてもありがたいことだった。

ボスニアの食事はこれまで回った国の中でもトップクラスの満足感だった。

さて、ボスニアの魅力はサラエボだけではない。

サラエボから車で3時間ほどにあるモスタルという町はボスニア屈指の観光地だ。

スタリモストという世界遺産にも登録されている美しい橋を眺めながら、昔ながらの街並みを散策することできる。

川の流れに耳を澄ませながら、川沿いのカフェやバルでゆっくりと時を過ごすのも良い思い出になることだろう。

オスマン帝国の遺構 ポチテリ
ポチテリの眺め

また、モスタル近郊には様々な観光名所が点在している。

ブラガイのイスラム修道院

ポチテリやブラガイも現地ツアーを利用すれば簡単に行くことができる。

モスタルに行かれるならばぜひこの二つの場所にも訪れることをお勧めする。

非常に美しい景観と落ち着いた雰囲気。

そして日本では体験できないようなローカル感を味わうことができるだろう。

サラエボの街並み

さて、ここまでボスニアの魅力についてお話ししてきたが、みなさんの中にはこう思った方もおられるかもしれない。

「ボスニアの昔ながらの雰囲気もいいんだけど、食べ物とかホテルはちょっと不安だな」と。

でも、安心してほしい。ぼくもその一人だった。

ぼくは胃腸が弱く、食べるものは安全第一、そしてすこぶる保守的だ。

あまりにローカルな雰囲気だと体のことが心配になってしまう。

だが、サラエボに関してはその心配も無用だ。

旧市街からすぐのところにある新市街はヨーロッパの街並みそのもの。

近代的なカフェやおしゃれなレストランが軒を連ねている。

旧市街の古い町並みを散策した後はこちらに戻ってきておしゃれなカフェでエスプレッソを頂くということも当然可能。

サラエボの肉料理はたしかに美味しかった。でもずっとそればかり食べるのもお腹が心配。

そんなときは新市街へ出てパスタを食べたり、軽くカフェラテなどを飲んで過ごしたものだった。

ずっと旧市街に居続けるというのも、異世界にいるようで少し緊張してしまう。

そこで見慣れた近代的な街並みでのんびりするといい息抜きになる。

そしてぼくは旧市街はずれの宿に泊まったが、新市街近くならヨーロッパ風のきれいなホテルもたくさんある。

観光するならこういうホテルに泊まったほうが安全で快適に過ごすことができるだろうと思う。

サラエボだけでなくモスタルもきれいなホテルはいくつもあるし、物価が安いので他の国と比べてもいいホテルに宿泊しやすい。

快適な滞在をボスニアでは楽しむことができるだろう。

このようにサラエボはアラブ情緒漂う旧市街のイスラム世界と、近代的な新市街が隣接している街だ。

サラエボというひとつの街にいながら異なる文化体験ができる。

これは日本人であるぼくらにとって非常に面白い経験になるのではないだろうか。

自分が日本とはまったく違う非日常にいるのだと強く実感させてくれるのがボスニアであり、サラエボなのだ。

そして最後に、今回ぼくのボスニア滞在のサポートして下さったBEMI TOURさんについてお話ししたい。

BEMI TOUR のミルザさん、松井さんには本当にお世話になった。

松井さん(左)、ミルザさん(右)

観光ツアーだけではなく、滞在中の細かなアドバイスや不慮の出来事の際にも親身にサポートして下さった。

ツアー内容もとても充実していて、個人では到底知ることもできないローカルな情報をたくさん教えてくれる。

イタリアやスペインなどの観光大国と違って、ボスニアは事前に得られる情報が圧倒的に少ない。観光ガイドもほとんど売っていないのが現状だ。

ぼくも紛争のことを何冊かの本を通して予習していったものの、サラエボの街に何があるのか、名物は何か、どんな風景がそこにあるのかは想像するほかなかった。

だがある意味、だからこそ良かった面がある。

未知の世界に踏み込んでいくような、そんな興奮を味わうことができたのだ。

何も情報がないからこそ、わくわくする。

そしてそんな未知の世界を案内してくれたのがミルザさん、松井さんだったのだ。

未知の世界に行くからこそ、ガイドさんがいることの意味が大きくなる。

もし自分一人で何の事前情報もないところに行ったとしたら、冒険にはなるだろうがその土地のことを一体どれだけ知ることができるだろうか。

その土地ならではの面白い発見をどれだけ通り過ぎてしまうだろうか。

冒険は冒険で貴重な体験だが、せっかく来たなら存分にその土地を堪能したい。

そう感じる方ならぜひともガイドさんと共に未知の世界に踏み出すことをお勧めする。

BEMI TOURのミルザさん、松井さんは本当に信頼できるツアーガイドさんだ。

ボスニア旅行の際にはBEMI TOURさんにお願いすればまず間違いないとぼくは断言できる。

さて、ここまでボスニアの魅力をざっくりとお話ししてきたがいかがだっただろうか。

ボスニアが異国情緒あふれる魅力的な国であることを少しでも感じて頂けたら幸いだ。

では、次の記事では気になるボスニアの治安情報について述べていくことにしよう。

続く

次の記事はこちら

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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