夕陽に染まったあまりに美しすぎるドブロブニクに感動! クロアチア編⑤

ボスニア・クロアチア編

美の力技!~夕陽に染まったあまりに美しすぎるドブロブニク 僧侶上田隆弘の世界一周記―クロアチア編⑤

17時半過ぎ。宿を出発し旧市街のピレ門へ向かう。

サンセットを見るにはこちらからスタートした方がタイミング的にベストなのだそうだ。

ピレ門からすぐのところに城壁巡りの入り口がある。

今回はプロチェ門側から登った朝の入り口とはちょうど反対側からのスタートだ。

入場券を買い、この階段を上ると城壁の上に出られる。

まだ夕暮れの時間には少し早いものの朝とは違った雰囲気を感じる。

光の当たり具合で街の見え方が違うようだ。

城壁からはロブリイェナッツ要塞とその入り江を見渡せる。

崖の上に立つこの要塞も見学可能なので時間があれば行ってみたいところだったが今回は断念した。

ゆっくり歩きながらふと振り返ると、太陽が徐々に傾き始めているのが感じられた。

海に反射する太陽の光がなんとも美しい。

朝に見たキラキラと弾けるような輝きと違い、どこか優しげで絹のように柔らかな光だ。

見ていると心が癒され穏やかになるような、そんな輝きだった。

城壁の4分の1ほどを歩き終えると、徐々に西日のオレンジの光を感じられるようになってきた。

心なしか自分の影も長くなってきたような気がする。

さて、昼間にスルジ山から眺めてよくわかったようにこの旧市街はものすごく建物が密集している。

そしてもちろん、この旧市街の中には数多くの住民が生活を営んでいる。

ご覧のように城壁からほんの目と鼻の先に民家があり、洗濯物を干しているのがわかる。

旧市街では建物も古く、そしてそもそもベランダと作るスペースもないのでこうして外にひもを吊るして洗濯物を乾かしているのだ。

住民の側からしたら生活を覗き見られているようでたまったものではないかもしれないが、こちらとしては見えてしまうのだから仕方がない。

あまり好奇の目で見てしまうのは失礼に当たるかもしれないが、それでも城壁のすぐそこから現地生活の様子が垣間見えるのは興味深い。

ただ、お邪魔させてもらっている身としては世界遺産の街に住む人達の苦労も考える必要もあるのかもしれない。

日本でも京都をはじめとした観光地で同じようなことが起こっているだろうと思う。

ぼくの住む函館も年々外国人観光客の数が増えているように感じている。

外国人観光客の増加はたしかに経済的に重要ではあるものの、それがはらむ問題点やデメリットも考えていく必要があるだろう。

相変わらずドブロブニクの港は美しい。

少し暗くなり始めた港というのもまた風情があっていいものだ。

さあいよいよ夕日という雰囲気になってきた。

城壁巡りもおよそ半分ほど進んできた。

赤い屋根がオレンジ色の夕日の光によって一層輝いて見える。

朝の景色とはまた別物だ。

夕日のドブロブニクも素晴らしい。

赤い屋根の美しさもさることながら、海の青、そして島の緑。

これらがそれぞれを互いに引き立てている。

そして少しくすんだ壁の色。

家々の壁の色がきっとこの景色に落ち着きを与えているのだろう。

もし屋根の赤だけの景色だったら、名高きドブロブニクと言えどここまで絶妙な美しさを感じさせなかったのではないだろうか。

鮮やかな赤と落ち着いた薄茶色。

この絶妙なバランスがこの景観を心地よく見せているのかもしれない。

いよいよ夕日もクライマックスに入っていく。

夕陽の色合いが最も強くなっていく瞬間だ。

あぁ・・・なんて素晴らしいのだろう・・・

言葉や写真では伝えきれない美しさがここにはあった。

この空間を満たす空気そのものすら美しい。夕日の濃厚な光が建物だけでなく目に見える全ての空間を色付けしているかのようだ。

これは実際に体感してみないとわからない美しさだ。

実際に見て感じれば一発でわかる。そんな美しさ。

それは言葉や映像では伝わらない種類の美しさなのだ。

ぼくはこの景色を見ながらこう思った。

「ドブロブニクの美しさは力技だ」と。

その圧倒的なパワーで一瞬にして叩きつけてくる。

強烈な一撃を食らったぼくたちは、あっという間にその虜となってしまう。

そんな美しさだ。

それに対してぼくがこの数週間前に訪れたプラハの街は真逆の美しさを持つ街だった。

プラハの街並み

プラハは優しく包み込むようにしてその美しさをぼくらに実感させる。

あまりの居心地のよさについ時間を忘れてこの街に身を委ねてしまう。

気付いた頃にはもうすっかりプラハの虜。

この街を離れるのが心の底から悲しくなる。

そんな美しさを持つのがプラハの街だった。

ドブロブニクとプラハは美しさの質が違う。

どちらも甲乙つけがたい魅力的な街だ。

こうして質の異なる美しさを体感できたのは非常に興味深い体験となった。

さて城壁巡りも間もなく終了。スタート地点のピレ門付近までぐるっと一周してきた。

現在19時過ぎ。もう間もなく日没を迎える。

夕日の城壁巡りも非常に素晴らしかった。

これは何度でも回れる。

しかし明日の早朝にはぼくはここを発たねばならない。あともう一日あればと悔やまれる。

ドブロブニクに来られた際は朝と夕方、両方の城壁巡りをされることを強くお勧めする。

絶対に後悔しない景色を見ることができるだろう。

続く

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