世界最大級の仏塔ケサリアへ~ブッダ最後の旅を記念し建てられた巨大遺跡を訪ねて
【インド・スリランカ仏跡紀行】(79)
世界最大級の仏塔ケサリアへ~ブッダ最後の旅を記念し建てられた巨大遺跡を訪ねて
早朝にクシナガラの涅槃堂を訪ねた私達はそのままこの地を出発し、本日の最終目的地ラージギル(王舎城)目指して走り出した。この日の行程はかなりハード。ラージギルへ向かう途中にケサリア、ヴァイシャーリー、パータリプトラという3つの仏教遺跡にも立ち寄る。今回の記事ではまずケサリア大塔という世界最大級の仏舎利塔をご紹介したい。
クシナガラからヴァイシャーリーに向けての道中にあるこちらのケサリア大塔。この遺跡は1998年に発掘調査が行われたことで有名になった。この遺跡の存在自体はそれ以前より知られていたものの、かつてはここもほとんど埋まっており、忘れ去られた存在だったそうだ。
私がこの旅でお世話になったアショカ・ツアーズさんのHPではこの遺跡について次のように紹介されている。
創建時には直径122m・高さ45mあったと推定され、8世紀造営のインドネシアのボロブドールのストゥーパー(基壇の1辺が115m・高さ42m)と大きさで比べると、わずかに上回りますが、現在は、1934年の地震により大きく崩壊し、高さは32mとなっています。階段状に6層のテラスがある形状で、基壇より2層目から4層目にはテラコッタ仏像を納める仏龕(ぶつがん・仏像を安置する空間)を配する、独特の構造をしています。大型ストゥーパーの側面に仏龕がある例は、他にほとんどありません。
アショカ・ツアーズHPより
このケサリアについてはとにかく資料が少ない。1998年にようやく調査が始まったということでまだわからないことだらけなのである。しかもその研究結果が日本で本になるにはさらに時間がかかるだろう。そもそもケサリアはブッダの遺跡の中でもかなりマイナーな場所だ。ここにそのリソースが割かれるというのは残念ながら難しいというのが正直なところではないだろうか。
仏塔の上部分は崩壊したままだ。もし壊れていなければ45メートルの高さだったというのだから驚きだ。
仏塔中階部分には仏像が置かれていたであろう空間もはっきり見えた。今もその仏像の一部分が残っている。
仏塔正面からぐるっと回っていくと、土に埋まったままの仏塔を見ることができた。
なるほど、こうやって埋まっていたのか。
この角度から見たケサリア大塔はもはやただの山にしか見えない。おそらく、仏塔頂上部も今のようにはっきりとは見えていなかっただろう。これで木がその周りに生えていたらまず気づくことはできないのではないだろうか。
このケサリアはヴァーシャーリーから最後の旅に出たブッダがお見送りの人達と別れたところとされている。その別れに際し贈られたブッダの托鉢器がここに置かれストゥーパとなったのだ。これほど巨大な仏塔が建てられたのは後代の話であるが、ブッダ在世時のエピソードが基になってこの仏塔は建てられている。
日本ではあまり知られていない存在であるケサリア大塔だが、世界最大級の仏塔がインドにあるというのは私も意外であった。しかもこの巨大な仏塔が土に埋まっている様も見ることができたのは実に興味深いことであった。
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※以下、この旅行記で参考にしたインド・スリランカの参考書をまとめた記事になります。ぜひご参照ください。
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