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中村元選集第10巻『思想の自由とジャイナ教』概要と感想~六師外道の思想やジャイナ教と仏教のつながりを知るのにおすすめ!
今回ご紹介するのは1991年に春秋社より発行された中村元著『中村元選集〔決定版〕第10巻 思想の自由とジャイナ教』です。私が読んだのは2006年第4刷版です。
早速この本について見ていきましょう。
正統バラモン教に抗して思想の自由を謳歌した修行者(=沙門)たちの群像と、アヒンサー(非暴力)の究極・ジャイナ教の全容を示す大著。新編集による決定版選集。
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この本は仏教学者中村元によって書かれた六師外道とジャイナ教についての作品になります。
六師外道というのは原始仏教の側から見た六人の著名な思想家になります。仏教から見て「外の教え」に当たるので「外道」という言葉が当てられています。
ブッダが生きた紀元前5世紀から4世紀は社会変動が顕著で、それまで奉じられていたバラモン教に対する信仰がぐらつき始めていました。貨幣経済の発達や産業、商業の成長で資産家が生まれてきたりと新たな思想を求める人々が多数出てきていたのがこの時代でした。
そんな社会的雰囲気の中で無数の出家修行者、思想家が生まれてきます。その中でも特に大きな影響力があったのが六師外道と呼ばれる6人の思想家でした。
プーラナ・カッサパ、アジタ、マッカリ・ゴーサーラ、パグダ、サンジャヤ、ニガンタ・ナータプッタ。これら6人が六師外道と呼ばれる思想家です。
この中でもニガンタ・ナータプッタ(以後マハーヴィーラと記します)はジャイナ教の開祖として有名です。
この画像を見て驚かれた方もおられるかもしれませんが、マハーヴィーラはブッダと非常に似ています。しかも似ているのはその見た目だけではありません。その思想も非常に似ています。仏教とジャイナ教の共通点には驚くしかありません。かつてブッダとマハーヴィーラは同一人物ではないかという説が出たのもわかる気がします。
この本ではそんなマハーヴィーラの思想とジャイナ教教団の歴史を知ることができます。当ブログでは以前中村元著『ゴータマ・ブッダ』を紹介しましたが、この本も仏教学者中村元先生の著作ということでより仏教とのつながりにフォーカスできる作品となっています。
中村元先生は思想だけではなく、その時代背景も詳しく語ってくれる先生です。ですので六師外道が生まれてきた背景やそこからブッダが活躍するまでの流れもこの本では知ることができます。ブッダもたったひとりで全ての思想を生み出したわけではありません。六師外道をはじめとした優れた思想家たちとの切磋琢磨を経て思想を生み出しています。こうした思想形成の流れを知る上でも六師外道やジャイナ教を学ぶことは大きな意味があると思います。
ぜひおすすめしたい作品です。
以上、「中村元選集第10巻『思想の自由とジャイナ教』~六師外道の思想やジャイナ教と仏教のつながりを知るのにおすすめ!」でした。
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