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高階秀爾『フィレンツェ 初期ルネッサンス美術の運命』概要と感想~メディチ家やイタリアの時代背景を知るのにおすすめ!
今回ご紹介するのは1966年に中央公論社より発行された高階秀爾著『フィレンツェ 初期ルネッサンス美術の運命』です。私が読んだのは1998年第37版です。
早速この本について見ていきましょう。
ブルネレスキをはじめドナテルロ、マサッチオ等、相次ぐ巨匠の輩出によって、十五世紀のフィレンツェは美術の黄金時代を迎えていた。しかし、世紀の変り目にいたって、レオナルドを筆頭に、ポライウォーロ、ベロッキオ等の優れた芸術家の芽を育てながら、ついにその成果を実らせることなく衰退に向かい、盛期ルネサンスの栄光をローマにゆずった。謎とされるこのフィレンツェ美術の実相を究明し、芸術の運命について考える。
中央公論社、高階秀爾『フィレンツェ 初期ルネッサンス美術の運命』1998年第37版表紙裏
この本はフィレンツェの歴史やメディチ家、サヴォナローラについて知るのに非常におすすめな作品となっています。
フェイレンツェといえばボッティチェリやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロなど言わずもがなの巨匠の作品が今なお世界中の人を魅了し続けている華の都です。
ですがそんなフィレンツェではありますが、いざこの街がどのような歴史を経てどのように芸術が花開くことになったかというのは意外とわかりにくいです。
ルネッサンス芸術という言葉は知っていてもいざこの芸術が実際にどのようなものなのか、それが黄金期を迎える時代背景は何だったのか。私にとっても、わかるようでわからない微妙な問題でした。
その鍵となるのがフィレンツェという街の独特な政治体制やメディチ家の台頭、そしてイタリアの政治情勢にあったのでした。
この本ではルネッサンスが生まれてくるその時代背景、政治状況を詳しく知ることができます。フィレンツェといえばダ・ヴィンチのイメージもありますが、彼自身はここで芸術家として成長したものの、その才能を完全に発揮させたのはこの街ではありませんでした。なぜフィレンツェではなく他の街でそうなったのか。それもこの街の政治情勢やフィレンツェ人の気質などが関係しています。
メディチ家の歴史やその後のフランスとの戦争、サヴォナローラの宗教独裁などこの本では興味深い歴史がたくさん語られます。特にフィレンツェの共和制の仕組みが実は共和的なものではないというそのからくりや、イタリア諸国の軍事事情などは非常に興味深いものがありました。この特殊な軍事事情があったからこそあのマキャヴェリが『君主論』を書くことになります。
ダ・ヴィンチを通してルネッサンスやフィレンツェに興味を抱くようになった私ですが、これまで学んできた色々なものとつながってくる非常に興味深い読書になりました。
この本はルネッサンスの背景を知れるおすすめの作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「高階秀爾『フィレンツェ 初期ルネッサンス美術の運命』メディチ家やイタリアの時代背景を知るのにおすすめ!」でした。
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フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (1966年) (中公新書)
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