目次
飯沢匡『ドン・キホーテの国』概要と感想~カラー写真多数のスペイン、ドン・キホーテゆかりの地巡り
今回ご紹介するのは1975年に平凡社より発行された飯沢匡著『平凡社カラー新書19 ドン・キホーテの国』です。
早速この本について見ていきましょう。
私が今回のスぺインへの四度目の旅でテーマにした「ドン・キホーテ」にしても、いぎ現地へいってみると遠く日本で調べたり考えていたのとはまるで異るものであわてもしたが、また、それだけにかえって緊張が生じて面白かった。
最初ドン・キホーテの活躍したラ・マンチャ地方だけに限るつもりでいたのが、結局は大半のスぺインを走り廻る結果になってしまった。ドン・キホーテの作者セルバンテスがあちこちと流浪しているからだが、作者がなぜドン・キホーテを死ぬ直前東海岸のバルセロナ港にまで赴かせたか。これは大きな謎であった。現地に行って、はじめてこれがセルバンテスの文学的態度を解く鍵であることがわかった。どうして、この作が発表当時、権力者側の文士たちによって軽蔑され何世紀もの間不当な扱いしかうけなかったか、それは以下の小生と富山カメラマンの弥次喜多的スペインめぐりで解きあかしてゆくつもりである。
※一部改行しました
平凡社、飯沢匡『平凡社カラー新書19 ドン・キホーテの国』P20
この作品は著者飯沢匡氏と写真家の富山治夫氏によるスペイン・ドン・キホーテゆかりの地巡りの書になります。
この作品の特徴は何と言っても、美しいカラー写真が多数掲載されている点にあります。
この本が出版されたのは1975年。今から47年前のスペインを知れたのはとても興味深いものがありました。
実は私も2019年にドン・キホーテゆかりの地巡りをしています。
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カンポ・デ・クリプターナの風車の丘は夕陽で有名・・・というわけではありません。
しかし、真っ白な風車が夕陽で真っ赤に染まっていく景色をぜひとも見てみたいと私は旅を始める前から考えていたのでした。
そしてその期待通り、日没間近の風車の丘は言葉に尽くせぬほどの美しさでした。
地平線に沈んでいく夕陽、そして真っ赤に染まった大地。
世界の色彩が時間と共に刻々と変化していく様はまるで夢のようでした。
私はこの『平凡社カラー新書19 ドン・キホーテの国』を読んで懐かしい気持ちとまた行きたいなという気持ちで一杯になりました。本当に良いところなんです!
ドン・キホーテが風車に突撃したという有名なエピソードがあるカンポ・デ・クリプターナ。
そこに宿泊して朝、昼、夕と風車の丘を散策した体験は忘れられません。
その時の記憶を思い出しながら読んだこの本はとても味わい深いものがありました。
40年以上も前のスペインの様子も知れるおすすめの作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「飯沢匡『ドン・キホーテの国』カラー写真多数のスペイン、ドン・キホーテゆかりの地巡り」でした。
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ドン・キホーテの国 (1975年) (平凡社カラー新書)
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『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスとのつながりも興味深かったです
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