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これは見逃せない!アルハンブラ宮殿の夕焼けとサンニコラス展望台 僧侶上田隆弘の世界一周記―スペイン編28
グラナダ最後の夜。
ぼくはサンニコラス展望台から夕陽に染まるアルハンブラ宮殿を見に行くことにした。
サンニコラス展望台はアルバイシン地区の丘にある。
こちらはアルハンブラ宮殿のアルカサバから撮ったアルバイシンの街並みの写真。
この写真の矢印の先にサンニコラス展望台がある。
この展望台はちょうどアルハンブラ宮殿と同じ目線の高さくらいにあり、それこそ宮殿の真正面の絶好の夕日と夜景の観賞スポットとなるのだ。
夕暮れが始まりだす21時半ころに展望台へ向かう。
展望台は夕陽を見に来た観光客で賑わっている。
少しオレンジ色に染まりだしてはきているものの、まだまだ太陽は沈まない。
昼間に撮ったこの写真と比べると赤みが増しているのがわかるが、話によるともっともっと赤く染まるのだそうだ。
21時45分頃、いよいよ夕暮れのピーク。
真っ赤に染まるアルハンブラ宮殿。
少しずつ少しずつ赤みが増していくのがよくわかった。
遠くに見渡す山々も赤く染まる。
スペインの夕焼けはどうしてこんなに美しいのだろう。
カンポ・デ・クリプターナの風車の丘
カンポ・デ・クリプターナの夕焼けも素晴らしかったが、やはりアルハンブラ宮殿も世界に誇る夕焼けスポット。
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風車の丘で雄大な景色を楽しんだ後は一旦宿に戻って待機。
今回カンポ・デ・クリプターナに宿を取った理由は、なんと言っても夕日に照らされた風車を見るためです。
カンポ・デ・クリプターナの風車の丘は夕陽で有名・・・というわけではありません。
しかし、真っ白な風車が夕陽で真っ赤に染まっていく景色をぜひとも見てみたいと私は旅を始める前から考えていたのでした。
そしてその期待通り、日没間近の風車の丘は言葉に尽くせぬほどの美しさでした。
地平線に沈んでいく夕陽、そして真っ赤に染まった大地。
世界の色彩が時間と共に刻々と変化していく様はまるで夢のようでした。
どちらも甲乙つけがたい素晴らしい絶景だった。
日が沈むぎりぎりの時間。
鮮やかな赤から暗い赤へと変わっていく。
もう間もなく日は沈む。
夕陽の時間も終わったので、次はライトアップされたアルハンブラ宮殿を見れるまでしばし待機。
完全に暗くなるまではライトアップ感が出てこないのだ。
グラナダの街に明かりが灯る。
間もなくライトアップがきれいに見えてくる時間だ。
まだ完全には暗くはないがそれでも美しいアルハンブラ宮殿のライトアップ。
黒い丘の上にそびえ立つアルハンブラ宮殿。
まるで宙に浮かんでいるかのようだ。
ここまで待っていた甲斐があった。
実に素晴らしい景色だった。
そしてぼくはふと思った。アルハンブラ宮殿の夕日やライトアップがこんなに美しいのはその壁の構造に一つの要因があるのではないだろうかと。
アルハンブラ宮殿の壁はレゴブロックのように平面だ。
そして壁の色も落ち着いた薄い茶色。
まるでプロジェクターのスクリーンのように、夕日やライトアップの光がきれいに映る。
そして宮殿のすぐ足元には濃い緑の木々がびっしりと生えていることで宮殿との色のコントラストが生まれている。
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壁の薄い茶色と平面の構造、そして周囲の色とのコントラストという構造はぼくが訪れたクロアチアのドブロブニクでも体験した美しさだった。
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赤い屋根の美しさもさることながら、海の青、そして島の緑。
これらがそれぞれを互いに引き立てています。
そして少しくすんだ壁の色。家々の壁の色がきっとこの景色に落ち着きを与えているのだろう。
もし屋根の赤だけの景色だったら、名高きドブロブニクと言えどここまで絶妙な美しさを感じさせなかったのではないでしょうか。
鮮やかな赤と落ち着いた薄茶色。
この絶妙なバランスがこの景観を心地よく見せているのかもしれません。
ここの夕焼けも信じられないくらい素晴らしかったのを覚えている。
さてさて、あまり夜遅くになってしまうのも治安の不安もあるので宿へ帰る。
今日も歩き。
丘を下っていく。
展望台のあるアルバイシン地区はかつてよりは安全になったと言われているものの、治安が悪いという情報もあったので警戒して帰る。
丘を下り飲食店が立ち並ぶエリアまで戻ってきた。
ここまでくればもう大丈夫だろう。
そこから上を見上げればアルハンブラ宮殿。
アルハンブラ宮殿を下から眺めながら、たくさんの人がお酒を飲んで楽しそうに過ごしていた。
これは観光客に人気なのも頷ける。
23時近くでもたくさんの人が行き交う。
スペインの夜はこれからだ。
とはいえぼくはお酒を飲めないので宿に直行。
グラナダ最後の夜はこうして幕を閉じた。
続く
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