中村尚司『スリランカ水利研究序説』~灌漑農業から見るスリランカ。古代に栄えた高度な治水の歴史を知るのにおすすめ
本書『スリランカ水利研究序説―灌漑農業の史的考察』はそのタイトル通り、スリランカの灌漑農業の歴史について学べる作品です。
スリランカはおよそ2000年ほど前から高度な治水技術を持っており、その灌漑農業は国家運営の肝とでも言うべき重要性を持っていました。
「技術ある所に王権あり。王権あるところに宗教あり」ということで、高度な技術とそれを運営する国家は不可分の関係であり、さらにはその権威の正統性を担保する宗教も絡んできます。
これまで私は宗教や政治の観点からスリランカを見てきましたが、この本では灌漑農業という切り口からスリランカを見ていくことになります。いつもとは違った視点からスリランカを見ていける本書はとても刺激的でした。