宙づりの家で有名な世界遺産の街クエンカへ~魔法に懸けられた街を散策。奇岩山の絶景も堪能! スペイン編⑥
宙吊りの家と魔法にかけられた街~クエンカの絶景 僧侶上田隆弘の世界一周記―スペイン編⑥
マドリードでの滞在を終え、次に向かうはクエンカという街。
クエンカはマドリードの東、ドン・キホーテで有名なラ・マンチャ地方に位置し、「宙吊りの家」という断崖絶壁にせり出した家で有名な街だ。
そしてその独特な景観は世界遺産にも登録され、「魔法にかけられた街」と呼ばれている。
マドリードの中央駅、アトーチャ駅から出発。
駅構内はまるで植物園のような雰囲気。
中には遊歩道もあり、ここまで来てしまえば「まるで植物園」と言うより、「植物園そのもの」だ。
感じられる匂いや空気の質感が違う。
日本にもこういう思い切った工夫をした駅があったらなと思ってしまう。(自分が知らないだけで日本にも存在しているのかもしれないが)
たしかに日本の駅は便利で清潔で効率的であるのかもしれないけれども、やっぱり駅そのものが目玉になるような、そんな工夫があっても面白いのではないだろうか。
まあ何はともあれ、そんなことを考えながら出発までの時間をここでゆっくり過ごすことができた。
そしてこの駅でもコーヒーとパンをちょっとしたカフェで楽しんだのであるが、マドリードには小規模なパン屋さんがたくさんあり、そこではさくっとコーヒーも頂くことができるようになっている。
上の写真は宿泊したホテルのすぐ近くにあったパン屋さんでの食事。
朝食付きの宿泊プランではなかったので毎朝ぼくはこのパン屋さんに通ったのであるがここのパン屋さんが絶妙に美味しい。
クロワッサンのようなさっくりとした食感とほどよい甘み。
そしてほのかなオレンジの風味が食欲をそそる。
そしてこのお気に入りのパンと共に、覚えたばかりのスペイン語カフェ・コン・レチェを注文する。
カフェ・コン・レチェはミルク入りのコーヒーという意味なのであるが、濃いエスプレッソにホットミルクを1対1の割合で入れたものだ。
カフェ・ラテの2対8の割合に対しこちらは1対1なのでカフェ・ラテよりも濃厚な味を楽しめるのが特徴で、砂糖とシナモンを加えるとさらに美味しい。
マドリードにはこのような地元の小さなパン屋さんがたくさんあり、お値段もリーズナブル。
毎日通うとお店のおばちゃんとも自然と仲良くなれるので、自分が現地にいるということを感じられてとても楽しい経験になる。
きっとマドリード滞在のいい思い出となることだろう。
クエンカへは高速鉄道renfeを利用する。
乗る直前にならないと駅のホームに入ることができないのが日本の鉄道駅と違うところだ。
飛行機と同じように手荷物検査をして、時間になるとホーム前のゲートでチェックインしてからホームへと入場する。
クエンカへはおよそ1時間ほど。
スペインらしい乾いた大地を眺めながらのあっという間の電車旅だ。
クエンカの駅は街の中心部から離れた場所にある。
建物は綺麗だが周りには何もない寂しい雰囲気。
バスに乗車しクエンカの中心部へと向かう。
バスには観光客というよりも地元の人のほうが多く乗っていたように思えた。
ぼくの目的地は旧市街中心のマヨール広場。
バスは急な坂道をぐんぐん上っていく。
旧市街の中心、マヨール広場の入り口に到着。
広場に入ったところがバス停になっており、そこで下車。
広場にはレストランやバルがたくさんあり、賑やかな雰囲気だ。
そこから少し歩くと今日宿泊するパラドールが見えてくる。
パラドールとはかつて修道院だった建物をホテルとして改装したもの。
パラドールについては後の記事でまた改めて紹介したいと思う。
先の写真で見えていた赤い橋から撮った写真。
これが有名な宙吊りの家。
たしかにバルコニー部分が断崖絶壁からせり出ているのがわかる。
ポッキリ折れて落っこちてしまうのではないかと不安になる。
真横から見るとさらに一目瞭然だ。
この家は14世紀に建てられたもので、現在はレストランと抽象美術館として利用されている。
それにしてもこの家を作った人はずいぶん頑固な人だったのではないかとぼくは想像してしまう。
家を建てるのならばどうしてもベランダを付けなければ気が済まなかった人に違いない。
そうじゃなかったらなぜこんなリスキーなベランダなど作ろうと思うだろうか。
きっとそこには彼らなりのロマンがあったのだろう。
高所恐怖症の人間にはさっぱりわからない感覚である。見ていて実に不思議な気持ちになった。
そして先程のマヨール広場に戻り、クエンカの街を一望できる展望台へと向かう。
なかなかの急坂を上っていく。
石造りの家々を眺めながらゆっくりと歩いて行く。実に風情がある散歩道だ。
15分ほど歩くと開けた場所に出る。
そしてそこからさらに先へ進むと、そこには驚きの光景が広がっていた。
目の前には筒状の奇岩の断崖絶壁。そしてその隙間から這い出てくるかのような豊かな緑。
想像していたクエンカよりもはるかにスケールの大きな景色がそこにはあった。
左手前がパラドール。そして右奥側が宙吊りの家がある崖だ。
ものすごい絶景だ。ここも海外では当たり前なのか柵などはもちろんない。
というより、途中からは道ですらない。
それぞれが思い思いに奇岩山の崖をトレッキングのように進んで行く。
写真好きの方にはそれもたまらないポイントなのかもしれないが、ぼくには彼らのいるところまではとてもじゃないが行けるようなものではなかった。
絶景をゆっくりと楽しんだ後はパラドールへと向かう。
先程も出てきたこの赤い橋だが、柵の高さがあまり高くないので渡るのもなかなかスリリングだ。
吹きっさらしなので風も強い。
突風が吹くとふらっとするほどだ。その瞬間は心臓が縮んでしまうかのような恐怖を感じる。
橋を渡り切って左に曲がればすぐにパラドールに到着。
宙吊りの家々を眺めることができる抜群の立地。
クエンカの絶景を目の前に楽しむことができる。
そしてこちらが本日のお宿のパラドール。
次の記事ではこのパラドールと、夜のクエンカについてご紹介したいと思う。
続く
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