ヴォルテール『カンディード』あらすじと感想~最善説への反論、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』とのつながりも
『カンディード』は18世紀中頃の作品ではありますが、全く古さを感じない作品です。物語もドラマチックでストーリーにぐいぐい引き込まれます。とても面白い作品でした。
そして『カラマーゾフの兄弟』をとのつながりを感じながら読むとこれまた味わいが増してきます。ドストエフスキーファンの方にもぜひおすすめしたい1冊です。
『カンディード』は18世紀中頃の作品ではありますが、全く古さを感じない作品です。物語もドラマチックでストーリーにぐいぐい引き込まれます。とても面白い作品でした。
そして『カラマーゾフの兄弟』をとのつながりを感じながら読むとこれまた味わいが増してきます。ドストエフスキーファンの方にもぜひおすすめしたい1冊です。
この作品は450ページを超える大作です。ですが一気に読めてしまうほどの面白さがこの本にはあります。著者の劇的な語り口によって、まるで小説を読んでいるかのような気持ちになります。
そして何より、ヴォルテールという人物の魅力!これに尽きます。
『哲学書簡』や『寛容論』、『カンディード』などで有名なヴォルテールですが、名前や作品は有名ではあってもこの人物がどんな時代に生きて、どんな生涯を送ったかというとほとんど知られていないというのが実際のところではないでしょうか。かく言う私も彼についてはほとんど知らなかったというのが正直なところでした。
ですがこの本を読んで驚きました。ヴォルテールという人物がどれほど革新的で、後の世にどれだけ大きな影響を与えたのかというのかが明らかになります。
ドストエフスキーに大きな影響を与えたジョルジュ・サンド。そのサンドの作品をもう少し読んでみたいと思い、本を探していると驚くべきフレーズが私の目の前に飛び込んできました。本の帯に大きくこう書かれていたのです。
「ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に決定的に影響を与えた作品」
え!?
私は自分の目を疑いました。これには驚きでした。
というわけで私は早速この本を読んでみることにしたのですが、驚きの内容がどんどん出てきました。この記事ではそれらをまとめています。
ジョルジュ・サンドは「私の方は、こうあって欲しいと私が望むように、こうあるべきだと私が信じるように描こうとしたのです」という姿勢で作品を書いています。
ここがジョルジュ・サンドが理想主義的な小説家と言われる所以であります。ここにバルザックやゾラのように「あるがまま」の人間の姿を描く作家との違いを見て取ることができます。
この作品は欲望がすべて叶うとわかった瞬間、人生が一変し、欲望が叶う度に残りの命が減っていくという運命を背負ってしまった青年の物語です。
私がこの作品を読んで真っ先に思い浮かんだのはブッダの生涯のとあるお話でした。
この記事ではそんな仏教説話とのつながりについてもお話ししていきます。
この作品はドストエフスキーと非常に関係の深い作品で、1843年、彼が22歳の頃、この作品をロシア語に翻訳して出版しようとしていた作品でした。
ドストエフスキーは若い頃からバルザックに傾倒していて、強い影響を受けています。
その彼がロシア語に翻訳する作品として目を付けたのがこの『ウージェニー・グランデ』だったのです。
この作品は強烈な守銭奴のフェリックス爺さんとその娘のウージェニーを中心にした物語で、金銭に象徴される物欲と精神的な高潔との戦いが描かれています。
日本においてユゴーは『レ・ミゼラブル』で有名でありますが、フランスでは大詩人としてのユゴーの存在があり、激動のフランスを生き抜いた指導者としての顔があります。
そして国葬でパンテオンに葬られたことからもわかるように、単なるひとりの作家の域を超えて、フランスを代表する偉人として尊敬を集めている人物であります。
この記事ではユゴーについて書いたこれまでの14記事をまとめています。
1793年は1789年に始まったフランス革命が進み、フランス国王ルイ16世がギロチンで処刑され、ロベスピエール、マラ、ダントンなどによる恐怖政治が始まりだした年でありました。
自由・平等・友愛を掲げた革命が、その革命を守るために今度は互いに互いを敵だと密告し合いギロチン送りにする恐怖の時代に突入する恐るべき時代だったのです。
ユゴーはそんな悲惨な内紛が起こっていた1793年を題材にこの小説を書き始めます
ユゴーは生涯、死刑に反対し続けていました。
そんな彼の思いを死刑執行の瞬間を待つ死刑囚の手記という形を取って作品にしたのがこの小説です。
興味深いことにロシアの文豪トルストイも死刑執行に対して非常に嫌悪を抱いた人物です。彼もパリで見た死刑執行に激しい怒りを感じたと言われています。
当時の死刑執行は民衆の見世物になっていました。多くの人間がそれを見ることを娯楽として楽しんでいたのです。
そんな中でユゴーとトルストイは民衆とはまったく異なる目でそれを見つめていたのでした
『レ・ミゼラブル』がドストエフスキーにとって非常に思い入れのある作品であるということはお話ししましたが、まさか『ノートル=ダム・ド・パリ』も彼とここまで深い関係があるとは驚きでした。
やはり彼にとっても『ノートル=ダム・ド・パリ』はそれほど面白い作品であるということなのでしょう。
最後はまさかと思うほどの悲劇的な終わり方を迎えてしまい、ずーん…としてしまいますが心に与える衝撃というのはものすごいものがあります。私にとってもとても印象に残った作品となりました。