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いざ動物たちの楽園ンゴロンゴロへ―アフリカの車窓から タンザニア編④

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いざ動物たちの楽園ンゴロンゴロへ―アフリカの車窓から 僧侶上田隆弘の世界一周記―タンザニア編④

3月27日 午前8時半 アルーシャのホテルを出発。

僕が乗り込むのはサファリ仕様のトヨタのランドクルーザー。

車高も高く窓からの視界も良好だ。

アルーシャからンゴロンゴロまでは車でおよそ3時間、西へ180kmの道のり。

アルーシャの街中を進む。

周りにはアフリカの人々しかいない。

道路沿いには大きなパラソルの下で雑多な露店が軒を連ね、車のすぐそばを自転車やらバイクが追い抜いて行く。

狭くて雑多な街中の細い路地では車の方が移動が大変だ。

かといって外を歩く勇気も気力もない。

一か国目にしてこれだ。ぼくはすっかり怯えてしまっていた。

ここは日本じゃない。ここに生きている人は日本に住むぼくとはまるで違う世界を生きているのだということをつくづく感じた。

アフリカの道をひたすら西へ向かって進んでいく。

アルーシャを離れると、緑豊かな風景からアフリカらしい赤茶色の大地がまた顔を出す。

道の両側には巨大なアロエのような植物やオリーブの木のような植物がたくさん生えている。日本ではまずお目にかかれないような大きさだ。

アフリカの植物には強さと鋭さを感じる。だが、まっすぐに伸びた葉や硬そうな茎からは瑞々しさは感じられない。どこかぱさついているようにも見える。

こういう植物を見ると、いかに日本が水が豊かな土地であるかを感じる。

日本の植物にはこのようなぱさついた、そしてなおかつ強く鋭い植物というイメージはそぐわない。

どこか柔らかでしなやかでしたたかで。

そんなイメージを僕は日本の植物に抱いている。

ーアフリカの植物ってたくましいですよね。強いというか鋭いというか。

「今はまだ乾季なのでこうですが、雨期が来ると緑でいっぱいになりますよ。私はその景色が大好きです」

ガイドさんの言葉にはっとする。

アフリカだってずっとこの天気が続くわけないではないか。

でもまあ、今回はこの季節の植物たちをしっかり見れたのだからそれでよしとしよう。

そしてンゴロンゴロへあと1時間というところまで来ると道が二手に分かれた。

その一方がンゴロンゴロへ向かう道であるのだが、なんとその道は日本の援助で12年前に舗装されたそう。そのプロジェクトの中心が鈴木宗男氏であったというから驚きだ。

この道を1時間走り続けるとようやく本日の目的地、ンゴロンゴロの入り口に到着した。

ちなみにこの入場ゲートも日本の援助で作られている。中の展示室にあるンゴロンゴロ周辺のジオラマも日本の援助だそう。

日本が発展途上国に援助をしているというのは、聞いたことがある程度にしか僕の中にはなかった。

だが実際に現地でそれを目にすると、日本と他国との関わり合いがあることを実感する。

さあ、いよいよンゴロンゴロへ。

ンゴロンゴロは火山の噴火によって出来上がったカルデラだ。

火山の噴火によって出来たクレーターを外輪山が完全に囲んでいる。

例えるなら、お椀の形をした地形。

お椀の淵は標高約2400mで、お椀の底は約1800m。600mの標高差があり、お椀の淵はかなりの急斜面だ。崖と言ってもいい。

そしてお椀の淵部分は南北に16km、東西に19km広がっていて、お椀の底部分の面積は310平方kmにも及ぶ。

つまり、とんでもない広さのお椀なのだ。一体東京ドーム何個分なのだろう。

そして、この崖に等しい急勾配のお椀の淵が外界とお椀内部を遮断しているため、クレーター内部は外界から独立した世界を形成している。だからこのンゴロンゴロは動物の楽園と呼ばれているのだ。

外輪山から眺めたクレーターは絶景と言うにふさわしい。

手前から広がる緑色のグラデーション、そして左に視線を向ければ湖も見える。はるか向こうに見える外輪山と空の景色もカルデラの奥行きを感じさせる。

この外輪山に囲まれた広大な平原に、大量の野生動物が暮らしているのだ。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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