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山口有次『新 ディズニーランドの空間科学』あらすじと感想~夢の国の建築、仕組みに興味のある方におすすめ!

新ディズニーランドの空間科学
目次

山口有次『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』概要と感想~夢の国の建築、仕組みに興味のある方におすすめ!

今回ご紹介するのは2009年に学文社より発行された山口有次著『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』です。私が読んだのは2015年新版第一刷です。

早速この本について見ていきましょう。

ゲストをもてなし楽しませるディズニーランドの“集客技術”を空間科学的に徹底分析。さらに進化する空間的仕掛けづくりはさまざまなサービス産業にも役立つ知識。この驚きのノウハウを知れば知るほどますます夢と魔法の王国に魅了される一冊。

Amazon商品紹介ページより

本書『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』はディズニーランドの建物や空間の秘密を知るのにおすすめの参考書です。

本書について著書はあとがきで次のように述べています。

本書は、長年取り組んできたディズニーランドをはじめとするディズニーのテーマパークに関する空間科学的な研究成果を総合的にとりまとめたものである。‟ディズニーランドを科学する”ことで、ゲストをもてなし楽しませる空間的な仕掛けをできるだけ網羅的に整理し、その集大成として編纂した。

ディズニーランドの空間的な仕掛けを断片的・部分的に紹介する本は少なからず存在するが、本書はいわば‟ディズニーランドの空間科学大全”としての特徴を有する。

学文社、山口有次『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』2015年新版第一刷P247

ここで述べられるように、本書は他のディズニーランド本とは異なり、建築や空間の仕掛けに特化した一冊となっています。

ディズニーランドは単にアトラクションが敷地内に並べられているのではなく、そのひとつひとつに客を楽しませる仕掛けがなされています。

有名なのはパーク内から外の世界が見えないようになっていることや、シンデレラ城など高さのある建物は上にいくほど縮尺が小さく作られ、その結果建物が大きく見えるという仕組みです。

たしかにこれはランドに行くと実感しますよね。パーク内にいると外の世界を忘れて、まさに夢の世界を体感します。そして私自身もディズニーランドに行きずっと不思議だったのですが、シンデレラ城やビックサンダーマウンテンの山が遠くに見えるのに歩いてみると意外とすぐに着いてしまうのでした。その時は楽しいから歩いた時間すらあっという間だったのかなと思っていたのですが、この仕組みもまさにディズニーの仕掛けた空間科学なのでした。

本書ではかなり細かくそうした仕組みを見ていきます。「空間科学」と言いますと何か専門的で難しく感じてしまうかもしれませんが、この本はイラストや図も多数掲載され、解説もとてもわかりやすいです。専門知識がなくとも気軽に読むことができますのでご安心ください。

また、本書あとがきでは次のような興味深いことも語られていました。

ディズニーランドについて研究し、その仕掛けを知っていると‟夢と魔法の世界”に素直に浸って楽しめないのではないかという声がある。大学の私のゼミでディズニーのテーマパークについて研究する熱烈なディズニーファンは多く、研究対象として探求しながらも、パークではさまざまな楽しみ方を享受している。仕掛けを知った上であえてそれに浸ることで、‟夢と魔法の世界”をより一層味わい尽くすことに寄与していると思われる。

学文社、山口有次『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』2015年新版第一刷P248

「ディズニーランドについて研究し、その仕掛けを知っていると‟夢と魔法の世界”に素直に浸って楽しめないのではないか」

これはかつて私がまさに感じていたことでありました。私も小さな頃からディズニーが好きでその秘密についても関心があったのですが、もしそれを知ってしまったらもはや純粋に楽しめなくなってしまうのではないかと恐れていたのです。だからこそ私はディズニーについて学ぶことを自ら禁じてきたのでありました。

しかし三島由紀夫を学ぶ過程で浮かび上がってきたディズニーランドの存在に、私はもう腹をくくるしかなくなってしまったのです。このことについてはいずれ改めてお話ししますが、私はいよいよこうしてディズニーに関する書籍を読み漁ることになったのでした。

ですがありがたいことに、恐れていたディズニーに対する幻滅も来ず、むしろディズニーに対する驚異、畏敬の念すら湧いてくるようになりました。今や前よりもさらにディズニーのことを好きになっている自分を感じています。上の引用にありましたように、ディズニーのことを知れば知るほどさらに楽しめるというのが実際のところだったのです。

ですので皆さんも安心してディズニーの驚異の空間科学、仕掛けを知って頂けたらと思います。秘密を知ったら幻滅するなんてことはありません。むしろ次の来園ではその「匠の技」に惚れ惚れしながらディズニーランドを楽しむことになるでしょう。

これは面白い一冊です。ぜひぜひおすすめしたい作品です。また、この本とセットでアナハイムのディズニーランドの歴史に特化したリチャード・スノー著『ディズニーランド 世界最強のエンターテインメントが生まれるまで』も強くおすすめします。

以上、「山口有次『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』~夢の国の建築、仕組みに興味のある方におすすめ!」でした。

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新ディズニーランドの空間科学:夢と魔法の王国のつくり方

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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