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星野慎一『ゲーテ 人と思想67』概要と感想~ゲーテの生涯と思想・作品の特徴を知るのにおすすめの入門書!
今回ご紹介するのは1981年に清水書院より発行された星野慎一著『ゲーテ 人と思想67』です。私が読んだのは2018年新装版第二刷版です。
早速この本について見ていきましょう。
ゲーテが六歳のとき,ポルトガルの首都リスボンに大地震が起き,六万もの命があっという間に奪われた。この大事件は少年ゲーテに大きなショックを与えた。この強い印象に抵抗して立ち直ろうとしたが,とてもできなかった。ゲーテは深い敬虔な心情をもっていた。だが,,彼が狭苦しい宗教心に縛られることなく,闇と光の間につまずきながら,崇高なものを求めるようになったのは,少年時代のこの体験に基づいている。彼の文学や思想が世界の人々から広く愛される大きな理由の一つは,この人間的な豊かさのためである。
Amazon商品紹介ページより
ドイツの大詩人ゲーテ。『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』は世界中で読まれる傑作中の傑作です。
ですが、ゲーテその人がどんな人物だったかというと意外と知らない・・・。そのような方は実は多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。
ゲーテという名前や『ファウスト』という作品名だけは知っていたものの、彼のことを学ぶまでいつ頃の人だったのかさえ知らない有様でした。
ゲーテについては以前当ブログでもA.ビルショフスキの『ゲーテ その生涯と作品』という伝記を紹介しました。
この伝記は衝撃の充実ぶりでしかもずば抜けて面白いという驚異の作品でしたが、写真を見て頂ければわかりますようにとにかく分厚い!!びっくりするくらい読むのに時間がかかりました。
私はこの本のおかげでゲーテのことがもっともっと好きになったのですが、いかんせん気軽に人に薦めにくい!(笑)
「これ読んでみて!」とぽんと渡されたら下手すると手首をケガするレベルです(笑)
というわけでゲーテのおすすめ入門書はないかと探していたところ素晴らしい作品がありました。それが今回紹介する『ゲーテ 人と思想67』です。
この清水書院の「人と思想」シリーズは優れた入門書が出ており、以前当ブログでも尾﨑和郎著『ゾラ 人と思想73』を紹介しました。
このシリーズのありがたいところは何と言っても入門書としてわかりやすく作家の生涯や作品を解説してくれる点です。
そして新書サイズのコンパクトな分量でぎゅぎゅっと要点がまとめられていますので気軽に手に取れるのも嬉しいです。
今回紹介しているゲーテはそれこそ詳しく書こうとすればいくらでも書けてしまう波乱万丈の人生です。だからこそ上の伝記はとてつもない分量になっています。それを新書サイズでぎゅっとまとめているのはものすごいことだと思います。
また本書『ゲーテ 人と思想67』の後半では「日本におけるゲーテ」というテーマが取り上げられます。ゲーテが日本においてどのように受容されたのかという流れや、東京のゲーテ記念館についての記述はとても興味深かったです。いつか東京ゲーテ記念館に行ってみたいなという気持ちが湧いてきました。
ゲーテはあまりに巨大なスケールを持つ人間です。彼の作品、特に『ファウスト』はそれ単独で読むと非常に難解な作品です。ですが彼の生涯や思想を知ってから読むとその味わいが一気に増す不思議な作品です。
私も『ファウスト』に何度も挫折した人間です。ですが様々な参考書のおかげで今はその『ファウスト』が大好きになっています。
ですのでゲーテ作品を読む際にはこうした入門書や参考書を読むことを強くおすすめします。
この作品は入門書として非常におすすめな作品となっています。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「星野慎一『ゲーテ 人と思想67』~ゲーテの生涯と思想・作品の特徴を知るのにおすすめの入門書!」でした。
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人と思想 67 ゲーテ
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