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チャペック『イギリスだより』概要と感想~チェコの天才作家のイギリス旅行記
カレル・チャペック(1890-1938)
今回ご紹介するのは1924年にカレル・チャペックにより発表された『イギリスだより』です。私が読んだのは2007年に筑摩書房より発行された飯島周訳『イギリスだより カレル・チャペック旅行記コレクション』です。
早速この本について見ていきましょう。
故郷をこよなく愛するとともに、世界各地の多様な風景・風俗を愛したチャペックは多くの旅行記を遺している。その巧妙でユーモラスな筆致は、深い人間愛と洞察を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は中でも特に評価が高いイギリス滞在記で、1924年にペンクラブ大会参加と大英博覧会取材のため訪れたときのもの。チャペックの「イギリスびいき」ぶりがうかがえる名著。自筆イラスト多数。
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この作品は『ロボット』や『山椒魚戦争』で有名なプラハの天才作家によるイギリス旅行記です。
チェコ人であるチャペックが覇権国家イギリスを訪れ、外国人から見たイギリスを彼らしいユーモアを交えて紹介していきます。
やはり旅行記って面白いですよね。私も旅が大好きです。自分の知らない土地に行くとわくわくしますし、自分とは違う異質なものを感じることでたくさんの刺激を受けることができます。日常を離れた思考をそのまま旅行記に落とし込んでいく。そこに作者の個性も出てきますし、国民性だったりが浮かび上がってきます。さらには異邦人から見た現地の姿も見えてきます。
ロンドン人が描くロンドンと、外国人が描くロンドンは全く違います。さらにはフランス人が描くロンドンとチェコ人が描くロンドンも違います。日本人が描くロンドンもきっと違うでしょう。
ロンドンという異国を描くことで逆にその作者の国のことやそれぞれの気質まで見えてくる。これは面白いですよね。
この本を読んでいて特に「おっ」と思ったのは次の文章です。
忘れないように書いておこう。もちろん、わたしはべイカー・ストリートを見物に行った。そして、おそろしくがっかりして帰ってきた。そこには、名探偵シャーロック・ホームズの痕跡はひとかけらもない。
例のないくらいりっぱな商業街になっていて、リージェンツ・パークへ通じること以上のりっぱな目的には役立たず、それも、延々と長時間努力してやっとたどり着くのだ。
さらにもう少し、ベイカー・ストリートの地下鉄の駅に触れてみたいと思っても、もはや全精力と、辛抱さえも使いはたしてしまった状態である。
筑摩書房、飯島周訳『イギリスだより カレル・チャペック旅行記コレクション』P39
私はシャーロックホームズが大好きなのですが、チェコを代表する天才作家もこうしてベイカー・ストリートを訪れようとしていたことを知ってなんだかニコッとしてしまいました。
チャペックもホームズのことが大好きなんだなと感じました。こういう一面を知れるのも旅行記の嬉しいところですよね。
私も次の旅ではイギリスを訪れようと考えています。イギリスは実際どんなところなのかなぁと想像しながら読むのはとても楽しかったです。
チャペックの鋭い観察眼とユーモアあふれる旅行記はとても面白く、気軽に楽しめる名作です。
彼自身が描いたイラストもたくさん掲載されていて、とても味があります。
これはおすすめな旅行記です。イギリスに興味ある方にもぜひおすすめしたいです。
以上、「チャペック『イギリスだより』チェコの天才作家のイギリス旅行記」でした。
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イギリスだより ――カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
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