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これぞローカルツアー!農家さんとの食事と葉巻の実演!キューバ編⑭

キューバ
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これぞローカルツアー!農家さんとの食事と葉巻の実演! 僧侶上田隆弘の世界一周記―キューバ編⑭

熱中症になりそうな炎天下の中、ようやく農家さんの小屋に到着する。

THE 農家さんという雰囲気。

小屋に着くやいなや早速ガイドさんイチオシのパイナップルを頂くことになったのだが・・・正直、怖くなってきた。

というのも、農家さんがおもむろに手にした包丁は、明らかに外に置きっぱなしになっていた包丁だったのだ・・・

いや、まな板もだ。それに、それらを洗っているタンクの水もそもそも色味がついている・・・

・・・これは大丈夫なのか?

不安・・・最大級に不安・・・

あれだけ避けてきたローカルな食事。

ぼくは胃腸が強い方ではない。これまでローカルフードどころか屋台の食べ物ですら敬遠して体調管理を徹底してきた。

だがここに来ていきなり最高にローカルなものと対面することになった。

これはまずいぞ・・・

「さあ、パイナップル食べて元気出しましょう!」と切りたてのパイナップルが盛られた大皿をガイドさんは嬉しそうに持ってくる。

「どうぞどうぞ!」

素手でそのままどうぞとのことだった。まだ手も洗っていない。

今食べるべきか手を洗うべきか・・・それが問題だ。

・・・だがぼくに残された選択肢はひとつしかない。

見よ!ガイドさんの嬉しそうなこの表情を!心の底からパイナップルを信じている素敵な笑顔を!

ええい、もう迷うな!ひと思いにぱくっといってしまえ!

ぼくは山盛りのパイナップルに手を伸ばし、思い切って豪快にかぶりついた!

「・・・お!!うまい・・・じゃないか!! 」

採れたて切りたての黄金色のパイナップルは甘みが強く、そして何よりジューシー。たっぷりの水分を感じるのにその味は少しも薄まらない。

これはうまい。そしてのどが潤う。

なるほど、ガイドさんが頑なに水よりもパイナップルを出そうとした理由がなんとなくわかった気がする。

こうやって水分を補給すると果物がもたらしてくれる水分と身体を癒す心地よい甘さをより強烈に感じることができる。

なんて手の込んだ演出なのだ。パイナップルがものすごくうまい。手が止まらない。食中毒の心配などすっかり忘れてぼくは次々と平らげていくのであった。

今頂いたパイナップルは農家さんの小屋のすぐそばの畑で収穫したもの。

パイナップルは大きな木になっているものと勝手にイメージしていたが、こんなに地面から低い所になっているとは驚いた。

パイナップルを頂いた後は農家さんが葉巻を目の前で作ってくれた。

さっき工場で見学したのはあくまで葉巻の原料を作る工程のみ。

だから実際に完成するところを見るのはこれが初めてだった。

農家さんでもあり、葉巻作りの職人さんでもあるこの方の手さばき。

いとも簡単そうにすっと作り上げていくのだけれども、実際やってみたらものすごく難しいのだろうなと思った。

そしてここで昼食を頂き、片言のスペイン語と身振り手振りで農家さん一家との楽しい時間を過ごした。

パイナップルを頂いたときにはそのローカル感に面食らってしまったが今ではすっかりその美味しさに大満足するようになっていた。(とはいえ万が一を考えて食べすぎには用心したけれども)

そしてまた食後に頂いたコーヒーのなんと美味しかったことか。

一口飲んだ瞬間に思わず農家さんの方を二度見してしまったほどだ。

「どうだい?美味いだろ?」と言わんばかりの表情でこちらを見ていた農家さんにぼくは「アメージング!」と満面の笑みでお返しした。

聞いてみるとこのコーヒーもここで栽培して焙煎して作ったものだそう。

すべて手作りのものを現地で頂く。あぁ、なんて素晴らしいお食事なのだろう。

あまりに美味しかったのでぼくはこのコーヒー豆とお土産用の葉巻をこの農家さんから買っていくことにした。

その打診に対して農家さんはとても喜んでくれた。

なぜこんなにも喜ぶのだろうかと少し不思議に思うくらい農家さんは喜んでくれていた。

手間暇かけて育てたものを美味しいと喜んで買ってくれることに対して喜んでくれているのかなとその時はあまり深くは考えなかったが、その本当の理由は後にガイドさんとお話ししたときに明らかとなったのである。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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