高橋ブランカ『東京まで、セルビア』~セルビア的作品とは?山崎佳代子氏の指導を受けたセルビア人作家の日本デビュー作
著者の高橋ブランカ氏はセルビア出身の作家です。ベオグラード大学で日本語を学び、その時の指導教官がこれまで当ブログでも紹介してきました詩人山崎佳代子氏でした。
繊細な内面描写あり。思わずくすっとしてしまうユーモアあり。
著者の思いを感じながら読んだ『東京まで、セルビア』は非常に刺激的かつ楽しい時間になりました。
ぜひぜひおすすめしたいです。
著者の高橋ブランカ氏はセルビア出身の作家です。ベオグラード大学で日本語を学び、その時の指導教官がこれまで当ブログでも紹介してきました詩人山崎佳代子氏でした。
繊細な内面描写あり。思わずくすっとしてしまうユーモアあり。
著者の思いを感じながら読んだ『東京まで、セルビア』は非常に刺激的かつ楽しい時間になりました。
ぜひぜひおすすめしたいです。
ユーゴ紛争、NATO空爆を経たベオグラードの街で詩人である著者は何を見て、感じたのか。
紛争後も続く何気ない日常。
その日常を綴った言葉の中に、じんわりと見え隠れしてくる紛争の影・・・
わかりやすい「特別な出来事」ではなく、そこで今も生きる人たちの日常を捉えたこの作品は非常に稀有な存在だと思います。ただ単に日常を切り取っただけでなく、そこに何か人間生活の奥深さが感じられてくる不思議。
この作品が読売文学賞を受賞したのももっともだなと思いました。不思議な力がある作品です。
この作品はセルビアの首都ベオグラード在住の詩人山崎佳代子氏によるエッセイ集です。
なぜユーゴ紛争は起こってしまったのか・・・
「セルビア悪玉論」という単純な構図で語られてしまったこの紛争。
そんな国際世論の中セルビアはNATOによる空爆を受けることになります。著者はそんな猛烈な爆撃の中ベオグラードに残り続け、そこに生きる人々の声や、自らの思いをこの本に記しています。
1999年、コソボ紛争の中NATO軍は「セルビアによる虐殺を止めること」を理由に、ベオグラードやセルビア人居住地に対し激しい空爆を行いました。そしてその時に使用されたのが「劣化ウラン弾」でした。この兵器は撃ち込まれたエリアに放射能汚染を引き起こします。そんな危険な兵器をNATO軍が大量に撃ち込んでいた・・・私はそのことにショックを受け、「この兵器が引き起こした実態をもっと知らなければならない」と考えこの本を手に取ったのでありました。
この記事ではそんな劣化ウラン弾の恐ろしさについてお話ししていきます。
紛争後の複雑な政治情勢や荒廃したインフラ、民族感情など、著者の語る苦労は並々ではありません。
ですがそんな中でも音楽の力を信じ突き進み、奇跡を起こしたこの物語には本当に痺れました・・・!
この本には救いがあります。悲惨な憎しみの世界にあって音楽の力で平和と希望を蘇らせるのだという強いメッセージが伝わってきます。