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奇岩山のモンセラット修道院を訪ねて~バルセロナからの日帰り観光でも有名な聖地に宿泊! スペイン編⑲

目次

カタルーニャの聖地~奇岩山のモンセラット修道院 僧侶上田隆弘の世界一周記―スペイン編⑲

午前中、サグラダ・ファミリアを見終えた後はすぐにバルセロナを出発。

これから向かうのはモンセラット。

ここはカタルーニャ地方の聖地であり、奇岩山の景色でも有名な修道院。

バルセロナ カタルーニャ広場

カタルーニャ広場の鉄道駅からモンセラットの修道院まではおよそ2時間ほど。

バルセロナから郊外へと向かっていく。

しばらくすると車窓から見える景色が変わり始める。

豊かな緑と、遠方にはごつごつした岩山が見える。

いよいよモンセラットに近づいてきた。

この岩山の上にモンセラット修道院がある。

モンセラット山麓でケーブルカーに乗り換え。

ここからはケーブルカーで岩山を一気に上っていく。

どんどん岩山が近づいてくる。

あっという間に絶景。

一気に登ってきた。

「のこぎりの山」というのがモンセラットの語源だそう。それはこの特徴的な岩山の形から来ているそうだ。

さて、モンセラット修道院駅に到着。

駅を出ると綺麗な建物が並んでいた。

岩山の上にこんな世界が広がっているとは想像していなかった。

そこから少し歩いていくと目的地のモンセラット修道院に到着。

奇岩山を背にした修道院。

こちらが聖堂前の広場。

ワイヤーのようなもので作ったのだろうか、巨大な頭のオブジェが広場中央に置かれていた。

何のために置かれているのかわからないが少し不気味だ。

さて、聖堂内部に入ってみよう。

非常に厳かな空間。

全体的に黒っぽい色彩で彩られた聖堂は、重厚さや威厳を感じさせる。

サグラダ・ファミリアの色鮮やかな幻想的な雰囲気とはまるで正反対だ。

そしてここの修道院で最も有名なのが黒のマリア像。

黒のマリア像は聖堂上部の回廊に安置されている。

こちらが黒のマリア像。

参拝者は像のすぐ目の前でお祈りすることができる。

黒のマリア像については後の記事で改めてお話ししていきたい。

さて、ここまでモンセラット修道院を紹介してきたが、ずいぶんと人が少ない場所だなとお思いになられた方もおられたのではないだろうか。

実際はまさにその通りで、これらの写真を撮った朝と夕方の時間帯はたしかに人はほとんどいなかった。

しかし、昼間の時間帯はこの修道院はものすごい混雑っぷりを見せることになる。

なぜそのようなことになるのかというと、ここはバルセロナからの日帰りツアーの定番中の定番で、多くの観光客が日帰りツアーでここを訪れるからなのだ。

そしてぼくはその混雑を避けるためにこのモンセラット修道院に隣接したホテルに宿泊することにしたのだ。

この赤っぽい建物がそのホテルで、モンセラット修道院が運営に携わっている。

ここはモンセラット参拝者のためのいわば宿坊のようなホテルだ。

ここの宿に泊まる最大のメリットは何と言っても、観光客のいない静かな修道院を体感することができること。

先程までの写真は観光客のいない朝の時間帯や夕方以降の写真だ。

観光ツアー客達はだいたい10時ころから16時くらいまでしかここには滞在しない。

彼らは皆日帰りツアーなのでその時間さえ避けてしまえばここモンセラットはものすごく静かな場所へと変貌するのだ。

そして宿泊のさらなるメリットがある。

それは世界でも有数の聖歌隊の歌をゆっくりと堪能することができるということだ。

モンセラット修道院では13時と18時45分にミサと聖歌隊の讃美歌を聴くことができる。

モンセラットの聖歌隊は歴史も古く、世界最高峰の聖歌隊として知られている。

そんな素晴らしい聖歌隊の歌声を聴けるとあって、13時からのミサはツアー客や参拝者でとてつもない混雑になる。

満員で入りきれないということもしばしばだそうだ。

実際、ぼくも昼の時間に様子を見に行ったところ、入りきれなくて無念そうに引き返している人をたくさん見た。

奥の黒い扉の辺りにいる人たちは、まさしく中に入り切れなかった人たちだ。

彼らはせめて扉の近くで少しでも聴こうとそこに待機している。

しかしここに宿泊してしまえばそんな大混雑の苦難ともまったくの無縁。

18時45分からのミサは参拝者は多くとも50人ほど。

ゆったりと落ち着いてミサと聖歌隊の讃美歌に浸ることができるのだ。

黒のマリア待ちの行列

さらに、宿泊してしまえば黒のマリア像へのお参りもほぼ待ち時間なしで可能。

昼間の時間帯は上の写真のように聖堂の外まで大行列が続き、1時間以上待つことも多々あるそうだ。

それに混んでいる状態では、いざ黒のマリア像の目の前に立ったとしてもゆっくりとお参りできる余裕もない。

後ろから次から次へとどんどん人がやって来てしまう。

でも宿泊して人がいない時にはかなりゆっくりと黒のマリア像と向き合う時間が取れる。

この差は大きい。

みなさんも美術館で人気の展覧会があったときにものすごく長い待ち時間と人の流れに流されてちらっとしかお目当てのものを見れなかったという経験がおありではないだろうか。

まさにそのような状況がここでは繰り広げられているのであった。

夜のモンセラットも神秘的。

ほぼ独り占め状態。静寂そのもの。

少し怖くなるくらい、しーんと静まり返っていた。

暗闇の中からぼんやりと岩山が浮き出てくるかのようだ。

異様な迫力。

自分が別世界にいるような感覚になってくる。

そしてモンセラットの朝もこれまた素晴らしい。

爽やかな空気と朝日に照らされた絶景を味わうことができる。

また、7時半からは聖堂で朝のミサもお勤めされる。

ぼくはこのホテルに3日間宿泊し、毎晩、毎朝修道士さんのミサに参加した。

他宗教のお祈りに参加させて頂くのは非常に興味深い体験だった。

もちろん参拝者としての参加だけれども、普段自分がお勤めしているものとはまったく違う祈り方というのは自分自身に対する新たな発見にもなった。

自分達の当たり前が当たり前ではないということを改めて実感するいい機会になった。

普段している仏教のお勤めというのがいかにして出来上がったのか、そしてどのような意味を持つのか、それを改めてしっかりと考えていきたいと思ったのであった。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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