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シェイクスピア『ジョン王』あらすじと感想~吉田鋼太郎さんの演出に感動!イングランド史上最悪の王の史劇!

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シェイクスピア『ジョン王』あらすじと感想~吉田鋼太郎さんの演出に感動!言葉、言葉、言葉の史劇!

今回ご紹介するのは1590年、または1595年頃にシェイクスピアによって執筆されたとされる『ジョン王』です。私が読んだのは筑摩書房、松岡和子訳です。

早速この本について見ていきましょう。

偉大な父ヘンリー二世と勇猛な兄から王位を継いだ末子ジョン。フランスと戦うか、和睦か。王位継承者である甥を生かすか、殺すか。ローマ法王と対立か、和解か。悩み、考え抜いた決断はすべて裏目に出て、混乱は深まる。「イングランド史上最悪」と評される弱き王と、その強い母、歯に衣着せぬ「私生児」、兄の未亡人ら個性的な人物たちが織りなす、歴史劇。

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この作品は「イングランド史上最悪」と評される弱い王、ジョン王を中心にした物語です。

ジョン王(1166-1216)Wikipediaより

このジョン王とは一体何者なのか、巻末解説では興味深いことが書かれていました。

意外にジョン王の知名度は高く、ディズニー・ファンならアニメ『ロビン・フッド』(一九七三年)に登場する少々変態的なライオンの「プリンス・ジョン」でお馴染みだと思う。大学受験で世界史をとった方なら、フランス領をすべて失った挙句、イングランド臣民の怒りを買って「マグナカルタ」を認めざるを得なかった無能国王として暗記しただろう。専門的な知識をお持ちであれば、ローマ教皇から破門されその足元にひれ伏した恥さらし国王として記憶されているかもしれない。いずれにしても、ジョン王の一般的なイメージは陰湿で無能、邪悪と昔も今も良くない。

筑摩書房、シェイクスピア、松岡和子訳『ジョン王』P203

なるほど!ディズニー映画『ロビン・フッド』に出ていたあのライオン王がジョン王だったのですね。一気に身近に感じられるようになりました。

もちろんディズニー映画は史実とは異なりますが、モデルになったジョン王が失策だらけの無能な王だったというのは史実に倣っているようです。

では、シェイクスピアの『ジョン王』はどのような作品かと言いますと、巻末の訳者あとがきに興味深い解説がありましたのでそちらを引用します。

『ジョン王』という戯曲についてかつて私はこう書いた―「この劇では剣や弓よりも強カな武器は言葉なのである。これは、(中略)シェイクスピア・シアターの舞台を見たときにも感じたことだ。なんとまあ登場人物みんながみんな、言葉で相手を動かそうとしてるんだろう、と。

王権から領地・領土にいたるまでの権利や自己正当性の主張、目の前の相手に対する挑発・挑戦、非難・攻撃、哀訴・嘆願、要求、説得、忠告、示唆・教唆、命令、鼓舞・激励、そして、諸条件を出したり引っ込めたりしながらの政治的な駆け引き、交渉。誰も彼もが、比喩とレトリックとを縦横無尽に駆使し、自分(たち)の利益と安全と生命と権利を守るために相手を動かそうとする。時には天をも動かそうとする。『ジョン王』は、全編そのための言葉の応酬で成り立っているのだ」(ちくま文庫『「もの」で読む入門シェイクスピア』一一七頁)。

これを書いたのは一九九七年の初夏だっただろうか(初出は講談社のPR誌『本』)、すでに彩の国シェイクスピア・シリーズのためのシェイクスピア戯曲全訳という有難いオファーは受けていたものの、その時点ではまだ『ジョン王』は遠い未来にあり、訳すという実感は持てなかった。

それから二十余年経ってこのたび翻訳作業に当たったわけで、当然ながらこれまでよりも丁寧に、一言一句漏らさず読解するにおよび、上記の感を一層強くした。それどころか、言葉による「挑発」という一点をとっても、嫌味まじりだったり(二幕のエリナーとコンスタンスとの激しいなじり合い)、蔑視がこもっていたり(二幕の私生児とオーストリア公)と、色合いが様々なことも分かった。

この劇では登場人物全員が丁々発止とやり合う。おためごかしから恫喝まで、売り言葉に買い言葉、ああ言えばこう言う。枢機卿パンダルフのように詭弁を弄する。そうやって煙に巻いたり煙幕を張ったりしつつ相手を自陣に引っ張り込む。説得完了。とにかくひとり残らず弁が立つ。それは老若男女を問わない。

筑摩書房、シェイクスピア、松岡和子訳『ジョン王』P192-193

ここで語られますように、この作品はとにかく言葉、言葉、言葉!シェイクスピア作品はどれも「言葉」が重要ではありますが、『ジョン王』は特に「言葉」が武器として使用されている感が強い作品です。

『ジョン王』は戦争を舞台にした作品でありますが、その戦争の勝敗が武力よりも「言葉」によって決するという珍しい展開が続きます。そして私生児フィリップの活躍も見逃せません。そんな「言葉、言葉、言葉」の欺瞞の世界に一石を投じる彼のセリフには「お見事!」としか言いようがありません。

そして2023年1月現在、彩の国シェイクスピア・シリーズで『ジョン王』が公演中です。

吉田鋼太郎さん演出、小栗旬さん主演の超豪華な『ジョン王』!私も先日観劇に行って参りました!

私は去年にも同じく彩の国シェイクスピア・シリーズの『ヘンリー八世』も観劇しましたが、今作『ジョン王』も本当に素晴らしい舞台でした。

もう何からお話ししていいのかわからないくらい言いたいことがたくさんあるのですが、何と言っても吉田鋼太郎さんの演出です!公演プログラムで吉田鋼太郎さんは次のように述べていました。

先日再演した『へンリー八世』同様、この作品もシェイクスビアの中では上演頻度が少なく、日本人にはほぼ馴染みのない時代を扱っています。当初上演を予定していた2020年の時点ではそんな作品を日本のお客様に楽しんでいたたくために、少しデフォルメした寓話的な演出を考えていました。ところがこの2年半で世相は大きく変わってしまった。全編戦争を背景にした作品を、現実に起きている戦争と切り離して考えることは出来ないと思ったんです。エンタテインメントに振り切って逆説的に反戦を訴える手法もあるでしょうが、今回はストレートに戦争反対の思いを込めた演出に変えました。言葉で議論を戦わせる場面が多く、登場人物たちのヒエラルキーを言葉でわかりやすく伝えたいという意図もあって、上演台本も手がけさせていただいています。(中略)

今世界で起きていることは、日本人にとっても全く他人事ではありません。個人的に子供が出来たこともあり、戦争で犠牲になる子供の映像を目にして、明らかに自分の中で何かが変わったんです。国益のためには人が死ぬのもやむを得ないなんて暴論は、あってはならない。たかが芝居ではあるけれど、戦争がこの世からなくなる日のために1ミクロンでも役にたてることがあるなら、自分なりに出来ることをしていきたい。男だらけの部活みたいな活気ある稽古場で、こんなことを思っています。そのためにもとことん面白い舞台を作らないと!

『ジョン王』公演プログラムより

私は公演が始まる前にこの吉田鋼太郎さんの言葉を読みました。「そうか、この作品で吉田さんは反戦を訴えるのだな」。そういう心構えが私の中にも生まれました。

そして実際この舞台のオープニングからしてかなり衝撃的なものでした。ネタバレになるのでここでは言えませんが、まさか!という始まりでした。あらかじめ松岡和子訳の『ジョン王』を読んでいた私にとってこれはびっくり!本であのように始まったオープニングがこんなに違った形になるなんて!もちろん、セリフや物語の筋は忠実です。ですが「シェイクスピアの戯曲に書かれていないこと」を自由に演出するということの意味をこのオープニングからして感じることになりました。

と言いますのも、私は最近松岡和子さんの『深読みシェイクスピア』『すべての季節のシェイクスピア』を読むことになりました。

私はそれらの本を読んで、シェイクスピア演劇の奥深さと言いますか、無限の幅を感じました。「あ、ここはそう理解していけばいいのか!」「なるほど、ここはそうやって作られていったのか!」「え?そこからそういう解釈の演劇もありなんだ!」という目から鱗の発見がどんどん出てきました。

シェイクスピア作品を私は舞台に観に行ったり本で読んでいるわけですが、舞台と本の違いということを特に意識させられた読書になりました。

これは盲点でした。「書かれていること」だけでなく、「書かれていないこと」にまで思いを馳せることができるのか、これが演出家の腕の見せ所なのだということをこの本から教えて頂きました。

そしてこの読書を経てから初めて観たのが今回の『ジョン王』だったのです。ですので、これまでとはまた違った見方で舞台を観ることになりました。

物語の最中、唐突に天井から落ちてくる死体の人形。ドン!と大きな音を立てて床に叩きつけられた人形に最初は私も驚いてしまいました。あまりに唐突だったので何かの事故かと思ったほどです。しかも舞台上の誰もその人形に目もくれない。まるで存在しないかのよう。私はなぜこの死体人形が落ちてきたのか戸惑ってしまいました。

ですがその後も二体目、三体目・・・とどんどん落ちてくるのです。これもまた唐突に。

私はそれで初めて気づきました。これは事故ではなく意図的な演出なのだと。

この人形の落下については公演プログラムにもその意図するところは書かれていませんでした。ですが私はきっとこれは反戦を求める吉田鋼太郎さんのメッセージなのではないかと思ってしまいました。

死体が落ちてきても舞台上の誰も見向きもしない。あまつさえ、踏んでも完全に「もの」あるいは「障害物」としてしか認識しないキャラクターたち。

この劇では登場人物達がものすごい勢いで喋りまくります。勇ましい言葉が飛び交い、高潔な約束や誓いも交わされます。また、戦場では両軍がそれぞれの誇りや利害をかけて勇ましく戦います。

ですが、この「名のある登場人物たち」がいくら高尚な言葉を使い武勇を懸けて戦ったとして、その犠牲になるのは名も無き弱き人々なのではないか。そしてそれら「名も無き人々」に彼らは気づかない。死体に見向きもしない。「もの」としか見ない。いや、存在すら認めない。そうして死体は増えていく。

「名のある登場人物たち」、言い換えれば「国の要人たち」が大量の言葉、言葉、言葉で戦争をもたらし、彼らが戦争の主役であるかのように振舞うその最中に「名も無き人々」が死んでいく。そしてそれは顧みられることはない。

他にもイングランド、フランス両軍から開城を迫られるアンジェの市民たちの描写。城壁の上からイングランド、フランス両軍の戦いを見下ろしている時の市民の姿は本を読んでいる時には感じることができなかったリアルさを感じました。平和に生きていた市民からしたらなんと無益な戦争か。しかもそんな無益な争いのために自分たちの街が両軍から攻撃され廃墟にされようとまでしていたのです。両軍の砲弾の雨が降る直前、市民の提案によりそれは回避されましたが、街に大量の砲弾を降らせ破壊するというのはまさに現在のウクライナ侵攻にも重なってくることではないでしょうか。

他にもまだまだお話ししたいこともあるのですが、この劇のエンディングにもとにかく痺れました。「そう来たか」と!これはぜひとも舞台で体感してください。現代とジョン王の時代が繋がる驚くべき演出でした。

小栗旬さんの存在感、演技にはもううっとりでした。大河ドラマの『鎌倉殿』からそのまま出てきたかのように思ってしまいました。話の内容も役柄も共通するところがあり、あのテレビで見た小栗旬さんを間近で見れたのは感動でした。やはり第一線で活躍されている方は違うと実感しました。人を惹きつける力がもう全く別次元かのよう。

そして吉原光夫さんの声にも痺れました。『レ・ミゼラブル』で観た吉原さんのイメージが強烈にあったのですがそれとはまた違ったジョン王としての吉原さん。セリフ回しが美しすぎてぽーっとしてしまいました。「シェイクスピアは耳で聴くもの」という意味がこれほど鮮烈にイメージできたことにびっくりしました。まさに歌うがごとし。言葉を発するということ、そしてそれが聴き手に伝わり作用するということ。言葉にすれば当たり前のようですが、それがどれだけ高度で奥深いものかを考えさせられました。

前回観た『ヘンリー八世』の時と同じく吉田鋼太郎さんにはもう大拍手。ずっと観ていたいです。声やその立ち振る舞いが格好良すぎます。なのにコミカルなところは思いっきり笑えてしまう。圧倒されっぱなしでした。

そしてオールメール・シリーズということで、女性の役を演じられたエリナー役の中村京蔵さん、コンスタンス役の玉置玲央さん、ブランシュ役の植本純米さんにも度肝を抜かれました。私は今回オールメール演劇を初めて観ることになったのですがこれほどの迫力があるとは想像もしていませんでした。特に玉置さんのコンスタンスの激情には圧倒されました。数日たった今でも強烈な印象が残っています。あの嘆きの表情は忘れられません。

高橋努さんのヒューバートも人情味があって最高でした。本で読んだヒューバートから演出によってこんなにも変わるんだということに驚きました。

一人一人の役者さんについて全部お話ししていくと長くなってしまいますのでここまでとさせて頂きますが本当に素晴らしい舞台でした。

思い返せば、去年『ヘンリー八世』を観た時、私は号泣しました。

ですが今回は涙は出ませんでした。それはこの作品の内容はもちろん、訴えかけてくるものの違いがあると思います。それは私が度肝を抜かれたエンディングにもまさに表れていると思います。涙は出なかった。でも受けた衝撃は『ヘンリー八世』と同等、いやもしかしたらそれ以上かもしれません。

私はこの舞台観劇を経てから『ジョン王』が大好きになりました。私生児フィリップの言葉が私の中にずんとのしかかっています。彼の言葉はあまりに重い。舞台を通して感じたその重みをこれからも大切にしていきたいと思います。

私はこの4年間、「親鸞とドストエフスキー」をテーマに学んできました。そしてその最後の仕上げに今、私はシェイクスピアを学んでいます。ここでは長くなるのでお話しできませんが、シェイクスピアとドストエフスキーには強いつながりがあります。

そして単にドストエフスキーとシェイクスピアにつながりがあるということからだけではなく、私はシェイクスピアが好きなのです。そして舞台が好きなのです。物語を観るのが好きなのです。今シェイクスピアを学び、楽しんだ経験はこれからの私にとってきっと大きな意味を持ってくるのではないかと感じています。

いやぁ、素晴らしい作品・舞台でした。ぜひ本を手に取り、舞台にも足を運んでみてはいかがでしょうか。

彩の国シェイクスピア・シリーズはこれで完結となってしまうそうですがぜひ、吉田鋼太郎さんの演出でこれからもこのシリーズが続いていくことを願っています!もっともっと観たいです!ぜひぜひよろしくお願いします!

以上、「シェイクスピア『ジョン王』あらすじと感想~吉田鋼太郎さんの演出に感動!イングランド史上最悪の王の史劇!」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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