ジャン=クレ・マルタン『フェルメールとスピノザ〈永遠〉の公式』あらすじと感想~同じ年にオランダで生まれた2人の接点とは
ジャン=クレ・マルタン『フェルメールとスピノザ〈永遠〉の公式』概要と感想~同じ年にオランダで生まれた2人の接点とは
今回ご紹介するのは2011年に以文社より発行されたジャン=クレ・マルタン著、杉村昌昭訳の『フェルメールとスピノザ〈永遠〉の公式』です。
早速この本について見ていきましょう。
不世出の画家・フェルメールと稀代の哲学者・スピノザとの出会い、そして〈永遠〉の創造。二人の秘められた関係、そしてその世界観の共通性に肉迫する。ジル・ドゥルーズの愛弟子であるジャン=クレ・マルタンが放つ、極上の思想サスペンス。 *フェルメール作品カラー図版収録 『天文学者』 『デルフト眺望』 『少女』 『真珠の耳飾りの女』 『牛乳を注ぐ女』 『窓辺で手紙を読む女』
出版社からのコメント
Amazon商品紹介ページより
フェルメールが1668年に描いた『天文学者』のモデルはあのスピノザだった! 歴史的な大発見へと誘う極上の哲学エッセイ。
内容(「BOOK」データベースより)
フェルメールの描いた『天文学者』のモデルはスピノザである。「永遠」の観念をめぐる極上の思想サスペンス。画家と哲学者の出会い、そして「永遠」の創造。二人の秘められた共通性に肉薄する。
この本はオランダの画家フェルメールと哲学者スピノザの驚くべき関係に迫った作品です。
スピノザといえば、名前は聞いたことがあってもいざこの人物が何を述べた人物であるかはなかなかわかりませんよね。私もその一人でした。そもそも彼がどこの国の出身なのかすら知りませんでした。
私がこの本を手に取ったのはフェルメールについて何か面白そうな本はないかなと探していた時にこの本が目に留まったからでした。
フェルメールと哲学者のスピノザという謎の組み合わせ。これはどういうことなのだろう。
そんな疑問が私の中に生まれ、興味が湧いてきたのでした。
そしてこの本を読んでみて驚いたことに、なんとフェルメールとスピノザは1632年という同じ年にオランダに生まれていたのでした。
しかもスピノザは哲学者でありながらレンズ磨きで収入を得ていたと事実も語られていました。レンズ磨きといえば顕微鏡で有名なオランダのレーウェンフックが有名です。
フェルメールとレーウェンフックのつながりは以前の記事「ローラ・J・スナイダー『フェルメールと天才科学者』おすすめ名著!顕微鏡で有名なレーウェンフックとの驚きの関係とは」でも紹介しました。
フェルメールはカメラ・オブスキュラという光学機械を用いて光を、レーウェンフックは自作の顕微鏡で肉眼では見えない世界を探究していました。
二人に共通するのは当時最先端の技術である高性能レンズを用いて研究をしていたということです。しかもこの2人も1632年生まれで、さらにはデルフトという同じ街で住んでいたという接近ぶり。
つまり、フェルメール、レーウェンフック、スピノザという同い年トリオは「レンズ」という同じ道具を通して繋がっているのです。
さらにスピノザが磨いたレンズをレーウェンフックが使用していたという説や、スピノザがフェルメールに手紙を書いていたという説もあります。
名前しか聞いたことがなかったような哲学者がまさかここでフェルメールやレーウェンフックと繋がってくるとは!これには私も驚きました。
17世紀のオランダの歴史の面白さに私はのめり込んでしまいました。この時代のオランダは世界の歴史や宗教を考える上で非常に重要なことを確信しました。
ただ、この作品においては個人的に思うこともあります。
上の商品紹介にもありましたように、著者はジル・ドゥルーズのお弟子さんということでばりばりの哲学者です。
ですのでこの本はものすごく哲学的です。正直、読んでいても「?」という箇所がほとんどでした。スピノザはもちろん、哲学的な知識がないとかなり厳しい本だと思います。私はスピノザのことをほとんど知りませんでしたし、西洋哲学がどうも苦手です。そんな私にとってはなかなか頭に入ってきにくい内容ではありました。
これは読み手である私の問題であって、この本がよくないというわけではありません。スピノザや哲学に関心がある方ならきっと楽しんで読むことができると思います。哲学者と画家が繋がるというのはやはり刺激的です。私自身、この2人のつながりに興味を持ってこの本を手に取ったのでありました。
この本をきっかけにスピノザについても興味が湧いてきました。私はすぐに彼の入門書や伝記を探し、読み始めました。するとこれがすこぶる面白い!スピノザってこんな人だったのかとかなり驚きました。
スピノザの思想はフェルメールやレーウェンフックと同じく、人々の「世界の見方」を一変させる驚きの発見でした。これは興味深いです。
せっかくですので次の記事からスピノザについての本を2冊紹介します。きっと意外な発見があると思います。そして何より、ものすごく面白い本ですのでぜひおすすめしたいです。
以上、「ジャン=クレ・マルタン『フェルメールとスピノザ〈永遠〉の公式』同じ年にオランダで生まれた2人の接点とは」でした。
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