上原彩子『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』日本人初のチャイコフスキーピアノコンクール優勝者の自伝的エッセイ

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上原彩子『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』日本人初のチャイコフスキーピアノコンクール第一位を獲得したピアニストの自伝的エッセイ

今回ご紹介するのは2022年にヤマハミュージックエンターテインメントホールディングスより発行された上原彩子著、ひのまどか取材・構成の『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』です。

早速この本について見ていきましょう。

チャイコフスキー・コンクール(ピアノ部門)における、日本人初・女性初優勝の快挙達成から20年。
強さとしなやかさをあわせもつピアニスト・上原彩子の素顔に迫る自伝的エッセイ。


音大へ行かずに世界最高峰のピアノコンクールで優勝、
25歳で電撃結婚、三児の母そして東京藝大准教授に。
現在もさらに活躍の場を広げる上原彩子の自伝的エッセイ。

1.二〇〇二年夏、モスクワで

2.チャイコフスキー・コンクールまで

3.ヤマハのマスタークラスに進んで

4.私のコンクール歴

5.世界への第一歩

6.結婚! 出産!!

7.年子も生まれて、日々戦争

8.教える側に立ってみて

9.ピアニズムと練習法

10.いま、これから

Amazon商品ページより

この作品は日本人で初めてチャイコフスキー・コンクールで優勝した上原彩子さんの自伝的エッセイになります。

私がこの本を読んだきっかけはこの本の取材・構成を担当しているひのまどかさんがきっかけでした。

私はひのまどかさんの伝記の大ファンで、これまでも当ブログでその作品を紹介させて頂きました。

そのひのまどかさんが取材・構成された本が出たということで手に取ったのが本作『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』だったのです。

この本では上原彩子さんの幼少期から現在に至るまでのピアノ人生を知ることができます。

幼い頃からの猛烈な練習と素晴らしい先生たちとの出会い、そして周囲も驚く決断の数々。

この本の帯で「そんな人生もおもしろいんじゃない?」と書かれていましたがまさにその通り。

読んでいてびっくりするような上原さんの人生がこの本では語られます。

音楽大学へ通わずして国際コンクールで優勝した上原さん。その秘密は何だったのか。

子供時代のヤマハでのレッスンや海外での経験は非常に興味深かったです。

そしてYoutubeで上原さんのチャイコフスキー・コンクール優勝時の演奏の映像がありましたのでここに紹介します。

映像でこんなにもすごいのなら現地で聴いていた人はどんな感情になっていたのだろうか・・・!

いつか生で聴いてみたいという気持ちになった私だったのですが、なんと、その機会が急にやって来たのでありました!

急遽決まった東京への出張の日程にまさにドンピシャ!

私は急いでそのコンサートのチケットを取ったのでありました。ほとんど最後列の席でしたがチケットを取れただけで本当にラッキーでした。

会場は東京駅近くの日経ホール。「こんな偶然滅多にないぞ!」とわくわくしながら会場入りしました。

コンサートのプログラムはこちら。

右のページには演奏曲の解説もあり、とても助かりました。

ひのまどかさんの伝記シリーズをきっかけにクラシック音楽を聴くようになった私ですが、まだまだ知らないことだらけです。

今回の演目も「展覧会の絵」の有名な出だしだけは知ってはいたものの、丸々聴いたことはありませんでしたし、どんな意味が込められた曲だったのかも詳しくはわかっていませんでした。

そんな中こうしてわかりやすい解説を載せてくれるのはとてもありがたいことでした。

さて、コンサートが始まります。

大きなステージにグランドピアノが一つ。

わかってはいたものの、こんな広い会場でたった一人で演奏するということに改めて衝撃を受けました。

私は音楽経験もないのでド素人な感想で申し訳ありませんが、もうこのコンサート、とんんんにかく楽しかったです!

シューマンの幻想小曲集はその名のとおり、なんとなくぼや~っとした雰囲気、それこそ幻想的な空気感が本当に感じられました。幻想的な雰囲気をピアノの音だけでこんなに感じられるんだとびっくりしました。

そしてリストのソナタです。リストといえば超絶技巧のイメージがあったのですが、私は初めてリストの曲を生で聴きました。そして上原さんの手の動きたるや!リストのピアノが凄まじいというのはこういうことなのかと目と耳で体感しました。

派手で、ロマンチックで、でもどこか繊細な雰囲気も感じられて、ものすごくかっこよかったです。

そして最後のムソルグスキーの「展覧会の絵」です。これがやはり一番印象に残っています。

「展覧会の絵」の有名なメロディーは私も知っていましたが、一曲通して聴くのは今回が初めてです。

上の曲解説にもありましたように、その有名なメロディーが「プロムナード」と呼ばれる箇所で、絵と絵の間を歩いている様子を表しています。そして展示されている様々な絵の世界を音楽で表現したのがこの曲ということになります。

つまり、

展覧会に行く(プロムナード)→絵を観る→歩いて次の絵へ向かう(プロムナード)→絵を観る→・・・の繰り返しがこの曲の構成になります。

私はこの会場に着いてパンフレットを読むまで、こうしたことをさっぱり知りませんでした。

ですがいよいよ上原さんの演奏を聴いたらどうでしょう!まさにこうした世界観がありありと感じられるではありませんか!これにはびっくりしました!30分ほどの長い曲を通して一つの世界観がこうして出来上がっているんだということを知り、とにかく驚きました。音楽ってすごいなと心の底から思いました。

そして上原さんの演奏そのものにも度肝を抜かされっぱなしでした。

よく音楽の解説などで「音の粒」という言葉が出てきますが、その意味が初めてわかりました。

例えるなら、アトラクションなどでよくある3D眼鏡のような感じです!画面から目の前に飛び出してくるような、あれです!ステージから音の粒が連射されてくるような感覚になりました!音が視覚情報として流れ込んでくるような不思議な感覚!もうコンサートから3日経っていますがまだその余韻が消えません。「展覧会の絵」のメロディーが未だに頭の中で再生されています。これはとてつもないものを聴いてしまったのだなと畏れ多い気持ちになっています。

あぁ・・・本当に楽しかったなぁ・・・

このコンサートに立ち会えたのも、『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』を読めたおかげです。

この本はとにかく刺激的で面白いです。この作品を読んだからこそ今回のコンサートもより楽しめたのではないかと思います。演奏者の人生や思いを知った上で曲を聴けたというのは非常にありがたい経験でした。

『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』、ぜひぜひおすすめしたい作品です。

以上、「上原彩子『指先から、世界とつながる ピアノと私、これまでの歩み』日本人初のチャイコフスキーピアノコンクール優勝者の自伝的エッセイ」でした。

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