大鷹節子『私はチェコびいき 大人のための旅案内』ープラハに行くならぜひおすすめしたい1冊!

カフカの街プラハとチェコ文学

チェコ旅行にぜひおすすめ!大鷹節子『私はチェコびいき 大人のための旅案内』

今回ご紹介するのは2002年に朝日新聞社より発行された大鷹節子著『私はチェコびいき 大人のための旅案内』です。

早速この本について見ていきましょう。

百塔の都、きらめくプラハ。しかし美しい景観だけでなく、チェコ人の平和主義、温かさ、優れた芸術的資質など、チェコの魅力は奥深い。愛情溢れる、大人のための旅案内。

Amazon商品紹介ページより

この本は著者の視点から見たプラハの魅力がこれでもかと詰まっています。

著者の経歴も興味深いのでこちらもご紹介します。

1933年、東京生まれ。55年東京教育大学西洋史学科卒業後、外交官大鷹正と結婚。55~90年にかけ、イギリス、スウェーデン、メキシコ、インドネシア、アメリカ、パラグアイ、チェコスロヴァキア、オランダの諸国と日本との間を往復し生活する。帰国後、チェコの人々との交流を続けている。現在、跡見女子学園短期大学部非常勤講師、日本チェコ協会会長

朝日新聞社、大鷹節子『私はチェコびいき 大人のための旅案内』巻末より

著者の大鷹節子さんは外交官夫人として世界中を行き来して生活していました。その実体験の中で語られるプラハの魅力がこの本で紹介されていきます。

この記事でも紹介したい箇所は山ほどあるのですが、著者がプラハの魅力について述べた箇所をひとつだけご紹介します。

「プラハって、何がそんなにいいの?」とよく私は尋ねられる。しかし、いったんプラハを訪れたら、そんな質問をした人はたちまちプラハの虜になってしまい、プラハへ足しげく通うことになる。

プラハの最大の魅力は、ヴルタヴァ川を挟んで、天へ向かって数限りなく描きだされる「百塔の都」と呼ばれる美しい街の佇まいである。プラハは建築様式の博物館であるとよく言われる。古くはロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロック、ロココからアール・ヌボー、キュービズムに至るまでの多様な建築が渾然と立ち並びながら、しかも互いに調和しているのがプラハである。(中略)

ゆっくりでもよいから、プラハは歩くほうがずっと面白い。プラハを表す言葉は、「きらめくプラハ」、「黄金のプラハ」、「百塔の都プラハ」など数限りない美辞麗句にみちている。確かにプラハはどんな形容詞をつけても表現できない魅力溢れる街である。どんな狭い石畳の道に迷いこんでも、がっかりすることはない。思いがけない歴史上の人物が住んでいた家が目の前に現れたり、小さな裏道が意外な抜け道だという発見もある。「これは一体何?」と好奇心が湧いてきて思わず足を留めてしまうのがプラハである。そして世の中には、「プラハ学」という名の学問があるほど、いくら研究しても究めきれないのがプラハである。

朝日新聞社、大鷹節子『私はチェコびいき 大人のための旅案内』

私も著者のこれらの言葉に全面的に賛同です。

一度でもプラハを訪れたら虜になること間違いなしです。

私も2019年にプラハを訪れましたがまさしく虜になってしまいました。その時の旅では世界中の色々な街を巡りましたが私が最も好きになった街こそ、このプラハです。

『私はチェコびいき 大人のための旅案内』はそんなプラハの魅力をわかりやすく、そして引き込まれるような文章で私達に伝えてくれます。

そして実際に現地に長い期間滞在していた著者だからこそ知る「リアルなプラハ」を知ることができます。

冷戦時代のプラハは今とはまったく違った空気がそこにはありました。その時の生々しいエピソードや、そこからどのように今に至るまで変わっていったのか、そしてそもそもプラハはどのような歴史を経て成立しその文化はどのように育まれてきたかを私たちは学ぶことになります。

本のタイトルにある「大人のための旅案内」というのはまさしくこうした面を解説してくれるところに由来しています。

単に「プラハはきれい!」とか「こんな名物があります!」というだけではなく、その背後に流れている歴史と文化、人々のリアルな生活に眼差しを向けていく姿勢。これがこの本の素晴らしい所です。

ぜひぜひおすすめしたい1冊です!

以上、「大鷹節子『私はチェコびいき 大人のための旅案内』ープラハに行くならぜひおすすめしたい1冊!」でした。

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