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マラーストラナの聖ミクラーシュ教会~プラハ散策の穴場!圧倒的な存在感を放つ彫像達 チェコ編⑩

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プラハ散策の穴場!マラーストラナの聖ミクラーシュ教会~圧倒的な存在感を放つ彫像達 僧侶上田隆弘の世界一周記―チェコ編⑩

ガイドさんと歩いたプラハ散策も終わり、プラハの初日を終える。

そしてその数日後、いつものようにプラハ城のスタバから坂を下っていくと、大きな聖堂が広場の中央にそびえ立っていることに気づく。

そうだ、ここはガイドさんがもし時間があれば行ってみてくださいと言っていた教会じゃないか。

その名も聖ミクラーシュ教会。

モーツァルトにもゆかりがあり、ここでモーツァルトが演奏したこともある教会だそうだ。

聖ミクラーシュ教会 ペトシーンからのパノラマビュー Wikipediaより

グーグルマップではなぜか聖ニコラス教会と出てくるが聖ミクラーシュ教会で名前は間違っていない。

プラハ旧市街にも同じ名前の聖ミクラーシュ教会があるので、それと区別するためにマラーストラナの聖ミクラーシュ教会と呼ぶのが通例だそうだ。

この教会はカレル橋から歩いて徒歩10分もかからない場所にあり、なおかつ背の高い水色と緑色の混じったような色の屋根がとても目立っている。

かなり大きな教会であることは写真からも伝わることと思う。

それにもかかわらず、観光客がなかなか訪れない場所になっているようだ。

そして入場チケット購入の待ち時間もない。

すんなりと教会に入ることができた。

一体どんな教会なのだろう・・・

少し不安になってしまったが、一歩聖堂内に足を踏み入れると、ぼくは度肝を抜かれてしまった。

おぉ・・・これは・・・

素晴らしい・・・

期待をしていなかった分、余計驚きと感動に包まれてしまった。

この驚きと感動はイスタンブールのアヤソフィアを見た時にも匹敵する。

もう少し近くに寄ってみよう。

柱の美しさや主祭壇の美しさもさることながら、ぼくは祭壇を囲む4体の巨大な像に引き込まれてしまった。

おそらくそこまで古い時代のものではないのは確かだ。

しかし今にも動き出しそうな躍動感、そして美しい、絶妙な瞬間を切り取ったかのようなポージングにぼくはあっという間に持っていかれてしまったのだ。

この4体の他にも聖堂内にはいくつもの巨大な像がある。

下から見上げると目が合う。

3m近くはあろうかという巨大な像。

そして像の質感がまた素晴らしい。

聖人の力強さと共に、衣装の滑らかな動きは優美さをも感じさせる。

この間近に迫る巨大な像の迫力は東大寺の法華堂の仏像を連想させる。

この姿も、どこかのお寺の仏像で見たことがあるような記憶がある。

古今東西、美しいポーズは共通していることを感じる。

さて、この聖ミクラーシュ教会。

こちらはもともと13世紀に建てられ、17世紀後半に改修されて今の姿になったのだそうだ。

勘の鋭い方はお気づきになられたかもしれない。

そう。この教会もカトリック対プロテスタントの30年戦争の終結に伴って、カトリックによって上書きされた教会だったのだ。

ここはもともと、現在のような豪華な装飾をされていた教会ではなかったそうなのだ。

この教会建築はカトリックによる上書き。

逆に言えば、カトリックのメッセージとその特徴がはっきりと示されているということだ。

この教会をじっくりと観察することで、カトリック教会の教義を知ることができる。

以前の記事で教会建築の違いによって、その当時の教会のメッセージがわかるということをお話しした。

今回、プラハを散策して、その題材にぴったりな教会が3つあった。

その1つ目がロマネスク様式の聖イジ―教会。

2つ目がゴシック様式の聖ヴィート大聖堂。

最後がバロック様式のこの聖ミクラーシュ教会だ。

ちょうどロマネスク→ゴシック→バロックというように時代は進んでいく。

ゴシック・・・バロック・・・・

聞いたことがある単語だけれども、芸術なんてわからない!無理!聞きたくない!

そんな声が聞こえてくるようだ。

でも、安心してほしい。

ぼくもそうだった。

芸術なんてさっぱりわからない。ましてや興味もなかった。

でも、芸術の美しさはわからなくとも、それがなぜ生まれてきて、なぜそれが大人気になったのかを知れば、見え方ががらっと変わってくる。

ぼくはそれを知ってから、教会を見に行くのがとても楽しくなった。

何が美しくて、何が芸術的にすばらしいのか。

そのようなことは正直、今でもわからない。

でもなぜこの教会はこういう造りをしているのかを考えてみると、謎解きのように教会を観察することができる。

そうすると、色々な発見ができて実に楽しい。

そしてその延長線で自分が好きになったもの、美しいと思ったものを見つけていけばよいのだ。

小難しいことなんて何もいらない。

きっと、それはお寺巡りをするときも一緒なのだろうと思う。

次の記事ではその教会様式の違いについてお話しさせていただく。

何はともあれ、この聖ミクラーシュ教会。

プラハで最も好きな教会になった。

いや、この旅の中で最も好きな教会と言ってもいい。

それほど素晴らしい教会だった。

観光客も少なく、ゆっくりと落ち着いて過ごすことができる。

プラハに来た際はぜひともここを訪れてほしい。

続く

次の記事はこちら

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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