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イスラエル出国と悪名高いベングリオン空港~イスラエルを終えて イスラエル編㉒

エルサレム
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イスラエル出国と悪名高いベングリオン空港~イスラエルを終えて 僧侶上田隆弘の世界一周記-イスラエル編㉒

4月11日。

いよいよ今日で10日間過ごしたイスラエルともお別れだ。

出発前にもう一度ビーチを散歩する。

何度見てもきれいな景色だ。

名残惜しいがもうここを出発しなければならない。

さて、飛行機の出発時間は16時10分。

今回利用する空港はベングリオン空港。

この空港は世界一出国審査が厳しいということで悪名高い。

普通の空港なら出発の2時間ほど前に空港に着けばいいところを、この空港は3時間前までには必ず着いていなければならないという条件がまずある。

それに間に合わないとものすごく怒られるというのだ。

それもそのはず、検査が何重にも行われ、荷物の中身もかばんを開けて全部チェックするという徹底ぶり。

そしてイスラエルで何をしていた?とかその荷物は誰がパッキングした?などたくさんの質問を受けることになる。

少しでも怪しいと別室送りになるというなんとも不安にさせるような情報もあった。

そんなベングリオン空港にこれから向かうのだ。

テルアビブ市内からはタクシーで30分ほどで到着。

早速中に入るとまず第一のセキュリティーチェック。

航空会社のカウンターに行く前にまずは第一の検査がある。

ここではパスポートを提出して質問をいくつか受けるだけだったが、いきなり待つことになる。

なかなか列が進まない。

ここでまず20分弱。

そこからチェックインカウンター。ここでも係員が少なかったり、一人一人にかかる時間が長く30分以上はかかる。

まぁ、でもこれは仕方ないか。

その後がいよいよ保安検査場。

ここでは機内持ち込みの手荷物をチャックも開けて全部調べられることになる。

ぼくのように機内持ち込みの荷物だけで旅行している人だと、すべてのものを出すことになるからなかなかの作業になる。

当然、ここでも時間がかかる。50分ほど待ってようやく自分の番が来る。

係員が細い棒のようなものを持っていて、それでキャリーケースの中をくまなくチェックしていく。重ねて入れてあるものの隙間にまで棒を差し込んで検査する徹底ぶりだった。

無事に保安検査まで突破。ここまで移動を含めて2時間ちょっと。

そりゃ3時間前までに到着しないと間に合わないわけだ。

ここまで来るのでもうくたくただった。

さあ、これでイスラエルでの最後の山場も越えた。

あとは飛行機に乗るのみ。

イスラエルでは色んなものを目にした。

そして頭がパンクするほどたくさんのことを考えざるをえなかった。

「イスラエルでの10日間をまとめるとすれば。」

これは本当に難しい。

だが、少なくともこう言うことはできる。

エルサレムは奥が深すぎてわからないことが多すぎる。

時間があまりに足りない。

ということだ。

イスラエルとパレスチナの問題も考えれば考えるほどわからなくなってくる。

いや、「巨大な矛盾を突き付けられてどこにも進めなくなる」、そんな感覚と言った方がいいだろうか。

知れば知るほどわからないことが増えてくる。

今までこの旅に出る前も、本を読んでいる時それはつくづく感じることだった。

何か一つを知れば、その背景にある無数の存在を知ることになる。

一つをより知るには、その無数の一つ一つをまた知っていかなければならない。

そうするとその一つからまた無数の存在が広がってくる。

そんな悪夢のような無限のループを(もちろん、だからこそ読書することや学ぶことが面白いのだが)ここエルサレムで現実の世界として目の当たりにした。

知れば知るほど、無限に背景が広がってくる。

なぜこうなってしまったのか・・・

知ろうとすればするほど、その複雑さに頭を抱えることになる。

イスラエルは、「自分が本当は何もわかっていない」ということをこれでもかと突き付けてくる。

そういう厳しさがある国だったようにぼくは思える。

もちろんそれを突き付けてくるのはイスラエルだけじゃない。

どこに行ったとしてもそうだし、日本で生活していたってそれは同じだ。

でも、改めてここイスラエルで頭と体を総動員してそのことを感じられたというのは非常に貴重な体験になったのではないかとぼくは思う。

さて、次に向かうは東欧。

アウシュビッツのある国、ポーランドだ。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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