目次
アフリカの大地を歩く~圧巻のウォーキングサファリ 僧侶上田隆弘の世界一周記―タンザニア編⑥
3月29日 午前7時 太陽がンゴロンゴロの外輪山から顔を出し始める。
クレーター内を朝日が照らし出す。湖面は鏡のように空の景色を映し出している。
宿泊したロッジから見えた日の出の景色のおかげで、朝から幸せな気分だ。
さて、本日のスケジュールはというと、
午前中にマサイ族が住む外輪山の外側のエリアを猟銃を持ったガイドさんと歩くというウォーキングサファリ。
それが終わり次第、1時間かけてオルドバイ渓谷へ向かうという予定だ。
今日も外輪山沿いの道をひたすら走る。
しばらく走っていると、おもむろにガイドさんが車を停め、
「ここから行きますよ~。準備は大丈夫ですか?」
と、ニッコリとこちらを見て出発を促すのであった。
正直、心の準備がまだできていない。
車窓の景色からはまさかここを歩くのだとは思っていなかったからだ。
驚きのあまり、その時の写真は撮れていない。
次の写真は少し歩き始めてから撮った写真だ。
写真では伝わりにくいが、かなりの急勾配だ。
一歩一歩、足を踏み外さないように慎重にガイドさんの後ろを付いていく。
あまりに雄大な景色だったため、自分がどの辺りを歩いているのか見当がつかない。距離感がわからないのだ。
だが、同時に念願だったアフリカの大地を自分の足で歩いているという実感も込み上げてくる.
鳥肌がずっと立ちっぱなしだった。
この時感じた静かな感動と興奮をぼくは生涯忘れないだろう。
そしてもちろん、ここにも動物はいる。
シマウマやヌーの群れがこの一帯にはたくさん生息している。
そしてこの裂け目は雨期に水が大量に流れ込んだときに出来上がったものだ。人間が掘ったものではないというから驚きである。
上の方に小さく映っているのはマサイ族の遊牧民だ。
この辺りで羊やヤギ、牛を遊牧して生活している。
さらに先へ歩いていくと、マサイ族の方たちとすれ違う。
牛やヤギの群れを率いて彼らは歩いていく。
雄大な景色に牛やヤギの首につけた鐘の音が響き渡る。
静かな大地にカラコロカラコロと鳴り響く鐘の音がなんとも味わい深い。
ぼくは今、アフリカの大地を歩いている。
そしてぼくも、この点のように見える人と動物の一人としてここに立っている。
車の中から眺めるのではなく、同じ点の一つになれた。
これがぼくにとってはなんとも嬉しい体験だった。
タンザニアに来られる方にはぜひともこのウォーキングサファリをお勧めしたい。
さあ、この後はいよいよこの旅のメインディッシュ、オルドバイ渓谷へ向かう。
続く
次の記事はこちら
あわせて読みたい
念願のオルドバイ渓谷~シンボルと聖地を考える タンザニア編⑦
ウォーキングサファリを終え、この旅最大の目的地、オルドバイ渓谷を目指します。
オルドバイ渓谷はンゴロンゴロクレーターから北西へ1時間ほど走ったところにあります。
私がここを目指したのはここが人類発祥の地と呼ばれているからです。
私たちのご先祖様はどんなところで生きていたのだろうか。そしてそこからいかにして宗教が生まれていったのか、そのことを考えるためにはるばるここまでやって来たのでした
前の記事はこちら
あわせて読みたい
ンゴロンゴロクレーターにてサファリ~ライオンの射程距離 タンザニア編⑤
さあ、いよいよンゴロンゴロクレーター内に下りていきます。すぐそこはもう、動物の楽園。
外輪山からクレーターに下りると、そこには遮るもののない平原が広がっています。
水曜どうでしょうも訪れたこの地にいよいよ私も足を踏み入れます。
この記事ではそんなンゴロンゴロサファリについてお話ししていきます。
関連記事
あわせて読みたい
タンザニア旅行記おすすめ記事一覧~人類発祥の地を目指して僧侶が行く!【僧侶上田隆弘の世界一周記】
2019年3月26日から始まった私の世界一周の旅。
その記念すべき最初の国はアフリカのタンザニア。
私の目的地はオルドバイ渓谷。
人類発祥の地と呼ばれるこの景色をどうしても観たくて私は旅に出たのでありました。
宗教とは何かという問いは、人類発祥の歴史と切り離すことができない。
それを知った時の衝撃はその後の私にとてつもない影響を与えることになりました。
タンザニア編で語られることは宗教と人類の進化の歴史へと目を向けた記録です。
あわせて読みたい
旅の最初の目的地「タンザニア」ってどんな国? タンザニア編①
この記事では世界一周の最初の目的地、タンザニアについてお話ししていきます。
タンザニアはアフリカ東部にある国で、人口は5700万人ほどの国です。
なぜ私がこの国を訪れることになったのか。
それは人類発祥の地と呼ばれるオルドヴァイ渓谷を訪れたいがためでした。
あわせて読みたい
宗教は人類と共に進化した?~オルドバイ渓谷が示すもの~ タンザニア編②
旅に出る1年半前、クリスファー・ボームの『モラルの起源』を初めて読んだ時、私は衝撃を受けました。
「自分は動物なんだ・・・」
わかっていたつもりではありましたが、どうやら全然わかっていなかったようです。
人間とその他の動物は何かが決定的に違うのだと思い込んでいました。
ですがそうではなかったようです。
この本は今まで私の中にまったくなかった発想や視点を与えてくれました。
私の中の人間に対する考え方をがらっと変えてしまった瞬間でした。
あわせて読みたい
いよいよ旅が始まります!日本出国、タンザニアへ タンザニア編③
2019年3月26日、私は日本を出国しタンザニアへ向かいました。
この記事ではキリマンジャロ空港へ降り立ち、以後の旅程の拠点となるアルーシャの町へ向かった私の思いを述べています。
あわせて読みたい
いざ動物たちの楽園ンゴロンゴロへ―アフリカの車窓から タンザニア編④
2019年3月27日午前8時半。アルーシャのホテルを出発。
アルーシャから目的地のンゴロンゴロまでは車でおよそ3時間、西へ180kmの道のり。
アフリカの道をひたすら西へ向かって進んでいく。
アルーシャを離れると、緑豊かな風景からアフリカらしい赤茶色の大地がまた顔を出す。
そしていよいよンゴロンゴロへ・・・
あわせて読みたい
コーヒー好き必見!キリマンジャロで有名なコーヒー農園を見学してみた! タンザニア編⑧
今回、タンザニアに行くということで私には楽しみにしていたことがありました。
それがコーヒー農園の見学です。
タンザニアといえばキリマンジャロコーヒー。
普段、うまいうまいと飲んでいるコーヒーがどんな風に育てられ収穫されているのか、すごく興味がありました。
きっとそれを生で見たらいつも飲んでいるコーヒーがもっとうまくなるにちがいないと、一人で息巻いていた私のコーヒー農園体験をお話ししていきます。
あわせて読みたい
さよならタンザニア ありがとうアフリカ~次の目的地はイスタンブール!タンザニア編⑨
3月31日早朝、ホテルを出発しキリマンジャロ空港へ。
次の目的地はトルコ、イスタンブール。
1年半も前からずっと楽しみにしていたアフリカとも、もうおさらばです。
名残惜しさがこみ上げてきます。
最後の最後まで美しい景色をありがとう、タンザニア!
コメント