メディア

フランス文学と歴史・文化

R.J.ゴールドスティーン『政治的検閲―19世紀ヨーロッパにおける』激動の19世紀。出版・音楽・文化はどんな意味を持っていたのか

この本は19世紀における検閲とは実際にいかなるものだったのかということを様々な角度から詳しく見ていきます。

出版の検閲に関してはこれまで当ブログで紹介してきたロシア文学もかなり関係が深い項目です。ドストエフスキーもツルゲーネフもトルストイもチェーホフも皆検閲に苦しめられています。

ロシア文学だけでなくヨーロッパ各国でどのような検閲が行われているかということが知れて非常に興味深い1冊でした。

フランス文学と歴史・文化

鹿島茂『新聞王ジラルダン』メディア・ジャーナリズム誕生の流れを知るのにおすすめの一冊!新聞業界を一変させた男の驚異の生涯とは!

この作品はメディアの革命児ジラルダンの生涯を時代背景と共に見ていける名著です。

私達は日常メディア無しではいられないほどテレビや新聞、ネットの情報に囲まれていますが、その商業メディアというのは一体いつから始まったのか、そしてそれは何を意味するのだろうかということをこの本では学ぶことができます。一九世紀中頃のフランスを舞台にしたこの作品ですが現代社会を生きる私たちにも直結する内容がこの本で語られます。

これは名著中の名著間違いなし!ものすごく面白い本です!

フランス文学と歴史・文化

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』あらすじと感想~私の読書遍歴はこの作品から始まった

今振り返れば、私はこの作品をきっかけに本格的に本の虫になり始めたように思えます。高校時代は受験勉強がメインだったので私はそこまで本を読むことができないでいました。もちろん、本自体は好きだったのですが、やはり大学入学直後の新鮮な時期にガツンと『ダンス・ダンス・ダンス』の洗礼を受けたことが私の読書遍歴を形作ったのではないかと思います。

そんな私の学生時代や20代を思い出させるのが『ダンス・ダンス・ダンス』です。この作品は今の私にとっても宝物です。

フランス文学と歴史・文化

バルザック『幻滅』あらすじと感想~売れれば何でもありのメディア・出版業界の内幕を赤裸々に暴露!衝撃の作品!

この作品は19世紀中頃のフランスメディア、出版業界の実態を暴露した驚くべき作品です。バルザック自身が出版業界で身を立てていたこともあり彼はこの業界の裏も表も知り尽くしています。この作品ではそんなバルザックの容赦ないメディア批判が展開されます。もちろん、それは単なる批判ではなくバルザックの悲痛な願いでもあります。本当にいいものがきちんと評価される世の中になってほしいという思いがそこににじみ出ています。

フランス文学と歴史・文化

小倉孝誠『『パリの秘密』の社会史』概要と感想~ドストエフスキー、マルクスにも影響を与えたウージェーヌ・シューの新聞小説とは

本書ではウージェーヌ・シューの作品を見ていくことでこの人物がいかに優れた業績を残していたかを目の当たりにすることになります。

十九世紀フランスの出版事情やメディア業界の裏側も知れるものすごく刺激的な作品となっています。これは面白いです。ぜひぜひおすすめしたい作品となっています。

フランス文学だけでなく、ロシア文学やイギリス文学、マルクスを考える上でも非常に興味深い指摘が次々と出てきます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(52)マルクスの宣伝マン・エンゲルスの天才的な広告手腕とは~彼なくしてマルクス思想の繁栄なし

私たちは「マルクスが後に世界中に広まった」という歴史を知った上でマルクスを見てしまいますが、当時の状況はまるで違います。

このままでは無視されかねないと察したエンゲルスはここでその才能を発揮します。

エンゲルスは自作自演も辞さず、次々とメディア戦略に打って出ました。「単なる経済学の書」を超えた、まさしく「あらゆるものの源泉たるバイブル」としての『資本論』を生み出したのはエンゲルスだったのでした。

エンゲルスなくしてマルクスなし!

エンゲルスの参謀としての天才的な能力には驚くしかありません。