『「連帯」10年の軌跡 ポーランド・おしつぶされた改革 チェコスロバキア 』あらすじと感想~プラハの春の流れを知るのにおすすめ
『「連帯」10年の軌跡 ポーランド・おしつぶされた改革 チェコスロバキア 』概要と感想~プラハの春の流れを知るのにおすすめ!
今回ご紹介するのは『NHKスペシャル 社会主義の20世紀』第三巻所収の『「連帯」10年の軌跡 ポーランド・おしつぶされた改革 チェコスロバキア 』です。
この本は『NHKスペシャル 社会主義の20世紀』というシリーズ物の第三巻で冷戦末期のポーランドの反ソ運動と、1968年に起こったチェコのプラハの春事件について書かれた作品です。
では、この本について見ていきましょう。
「連帯」10年の軌跡 ポーランド
共産党の弱い共産国だったポーランド。80年、社会主義のイデオロキーではあり得ない自主管理労組「連帯」が発足、ついに政権をとるに至った。それは、常にソ連からの軍事介入の威圧を前にした市民蜂起の軌跡だった。おしつぶされた改革 チェコスロバキア
日本放送出版協会『NHKスペシャル 社会主義の20世紀』第三巻所収、伊東孝之、南塚信吾、NHK出版、アレクサンドル・ドゥプチェク著『「連帯」10年の軌跡 ポーランド・おしつぶされた改革 チェコスロバキア 』より
人間の顔をした社会主義を目指したプラハの春。グラスノスチを先取りした民主化運動は、ヒューマ二ズムの精神に徹するものだった。それをつぶしたソ連軍。改革は早すぎたのか。当事者ドゥプチェクの証言は?
私がこの本を手に取ったのはプラハの春について解説されたものを探していたからでした。
この本は冷戦末期のポーランド情勢とプラハの春に特化した本で、全270ページある中でそれぞれがちょうど半々ほどで語られます。
プラハの春についてだけで100頁以上も解説してくれる本は意外と数が少なく、こうした充実した解説は非常にありがたいものでした。
そして、単に1968年のプラハの春だけでなくそれに至る前段階の解説もわかりやすく、なぜプラハは独特な社会主義体制に進もうとしたのか、そしてなぜソ連はそれを徹底的に潰そうとしたかがよくわかります。歴史の流れを丁寧に追ってくれるので事件の背景を掴むのに非常に適しています。そしてその後の1989年のビロード革命へと至る道も知れるのでプラハの春の前後までしっかりカバーされています。
写真も豊富で当時の様子もイメージしやすく、プラハの春の概要を知るにはうってつけの一冊となっています。
また、この本の前半では冷戦末期のポーランド情勢を知ることができます。このポーランドの労働運動もまた驚くべきものでした。恥ずかしながら私はこうして冷戦時代のことを学ぶまでほとんどポーランドの冷戦期のことは知りませんでした。しかしこのポーランドで起きた反ソ運動がソ連陣営の崩壊に大きな影響を与えたいう事実を知ることになりました。
私は2019年にポーランドのクラクフを訪れました。その時はアウシュヴィッツに行くことを目的としていたので冷戦時代のことについてはまったく予習もせずに行ってしまったので、今思えばもったいないことをしたなとこの本を読んで改めて感じたのでありました。
さて、話は戻りますがこの本はプラハの春を知るには非常におすすめしたい1冊です。複雑な冷戦時代の社会情勢をこの本ではわかりやすく解説してくれます。歴史の流れを知るのに非常に便利な作品です。プラハに興味のある方には特に読んで頂きたい1冊となっています。
以上、「『「連帯」10年の軌跡 ポーランド・おしつぶされた改革 チェコスロバキア 』~プラハの春の流れを知るのにおすすめ」でした。
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