礪波護、武田幸男『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』あらすじと感想~日本とのつながりも考えながら学べるおすすめ参考書
礪波護、武田幸男『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』概要と感想~日本とのつながりも考えながら学べるおすすめ参考書
今回ご紹介するのは1997年に中央公論社より発行された礪波護、武田幸男著『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』です。
早速この本について見ていきましょう。
分裂から世界帝国へ、両晋南北朝~隋唐の時代。また古朝鮮から高句麗と三韓、統一新羅へ。古代の日本に大きな影響を与えた中国・朝鮮の動向と宗教・文化の流れを巨細に描く。
紀伊国屋書店商品紹介ページより
今回の記事で紹介する『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』は以前紹介した塚本善隆著『世界の歴史4 唐とインド』とテーマ的に重なる部分も多いのですが、本書の特徴は日本との関係性や朝鮮の歴史も知れる点にあります。
本書ではその冒頭から日本と隋唐の関係性について述べられます。日本最初の留学生が588年の善信尼ら5名の尼僧だったという驚きの情報から始まり、そこから隋唐と日本、朝鮮がどのような関係で歴史が進んだのかをまずは見ていくことになります。
こうしてまずは日本と隋唐というとっかかりを得てから中国の歴史解説に入っていきますので、私達読者もスムーズに進んでいくことができます。これはありがたい流れでした。
そして『世界の歴史4 唐とインド』では著者の塚本善隆氏の切れ味抜群の語り口から繰り出される物語が魅力でしたが、本書はより体系的に中国の歴史を学ぶのにぴったりという印象を私は受けました。
時代の流れがすっきりとまとめられているのでノートを書くのにも助かります。また、仏教についての記述も多い点もありがたかったです。やはり隋唐の歴史と仏教は切っても切れない関係です。さらに仏教だけでなく当時の長安の宗教色豊かな雰囲気を知ることができたのも興味深かったです。
かつての長安には陸海のシルクロードを通って世界各国の人々がやって来ていました。ゾロアスター教やキリスト教ネストリウス派、マニ教など外来宗教も盛んになり、そんな中で仏教も新たな進展を迎えることになります。こうした時代の空気を感じられるのも本書のありがたい点です。
また、この本はカラー写真も豊富です。これだけ大部のかっちりした歴史の参考書でカラー写真も豊富というのはかなり貴重です。地図などの図版も多いので中国の全体像を感じながら学べるのも嬉しいポイントです。さらに本書後半には朝鮮の歴史もかなり詳しく書かれています。仏教を学ぶ上で朝鮮は意外とタッチすることが少ないのでこれは貴重な機会になりました。
塚本善隆著『世界の歴史4 唐とインド』と合わせて読むことでより深く隋唐の歴史を学べるおすすめの参考書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「礪波護、武田幸男『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』~日本とのつながりも考えながら学べるおすすめ参考書」でした。
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