鎌田茂雄『仏教の来た道』あらすじと感想~仏教の中国伝播の歴史を学べるおすすめ参考書。三蔵法師達の過酷な旅路を知る
鎌田茂雄『仏教の来た道』概要と感想~仏教の中国伝播の歴史を学べるおすすめ参考書。三蔵法師達の過酷な旅路を知る
今回ご紹介するのは2003年に講談社より発行された鎌田茂雄著『仏教の来た道』です。
早速この本について見ていきましょう。
インドから西域に伝わった仏教は、中国、朝鮮、日本へと東漸し、それぞれの地にしっかりと根をおろした。仏教伝播の道筋には、敦煌や雲岡の石窟をはじめ仏教文化の遺産が数多く見られる。また仏教伝播の立役者は、仏図澄、法顕、玄奘三蔵ら布教・求法に燃える僧たちであった。今なお残る史跡や文物、伝道僧の事績に光を当て、仏の来た道をたどり返す。
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この本では有名な玄奘三蔵をはじめとした三蔵法師たちの活躍やその時代背景を知ることができます。
仏教はインドから中国へ伝播しました。そのこと自体は広く知られていることではありますが、では実際にいつどこでどのように伝えられていったかというと意外とわからないですよね。私自身も漠然としか知りませんでした。この本を読んで中国からインドへ経典を求めて旅をすることがどれほど危険で命がけだったかに驚くことになりました。
著者はこの本について巻末の「あとがき」で次のように述べています。
従来「仏教伝来」〔本書の原題〕といえば、仏教の伝播の歴史を主として述べたものであったが、本書においては、仏教を伝播させた人々の姿にも照明をあてて描くことに努めた。法顕とか玄奘の生涯をみると、一つの目的を達成するために、すべてのものを捨て去り、不惜身命の決意でどんな困難をも克服していく、きびしい人生であったことを痛感する。このような先人の不屈の意志やその活力を、本書をひもとくことによって学ぶことができよう。
また、本書は現存している中国や朝鮮の仏教文物を、ただたんに紹介するというのではなく、これらを創造した漢民族や朝鮮民族の歴史や文化を理解できるように努めた。
さらに本書は、仏教の東漸の歴史を読者に知って頂くばかりでなく、現在の中国の石窟や寺院の現況も述べているので、これから中国へ旅行する人々にもお役に立つことができると思う。とくに寺院や石窟を見学する目的で訪中する方々にとっては、一つの仏教関係の旅行案内書の役割も果たしてくれると思う。「東アジア古寺巡礼」のための参考文献としても活用して頂ければ幸いである。中国ばかりでなく、韓国の寺院についても、有名な寺院には簡単な紹介をつけておいた。
講談社、鎌田茂雄著『仏教の来た道』P290
「法顕とか玄奘の生涯をみると、一つの目的を達成するために、すべてのものを捨て去り、不惜身命の決意でどんな困難をも克服していく、きびしい人生であったことを痛感する。このような先人の不屈の意志やその活力を、本書をひもとくことによって学ぶことができよう。」
この本を読めば経典を求めてインドへ旅立った僧たちの熱き求道の精神を知ることになります。こうした命がけの旅があったからこそ日本にまで仏教が届いたのだということを感じることになりました。
また、上の引用にもありましたように、この本では中国やシルクロードの仏教遺跡についても多く説かれます。写真も掲載されているのでとてもイメージしやすいです。仏教ゆかりの地を訪れる際の参考文献としても非常にありがたい作品となっています。
命がけで経典を求めた僧侶たちや中国仏教の伝播、発展過程を知れるおすすめの一冊です。ぜひぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「鎌田茂雄『仏教の来た道』~仏教の中国伝播の歴史を学べるおすすめ参考書。三蔵法師達の過酷な旅路を知る」でした。
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