宮家準『修験道 その歴史と修行』概要と感想~山岳信仰と仏教のつながりを学ぶのにおすすめの参考書

宮家準『修験道 その歴史と修行』概要と感想~山岳信仰と仏教のつながりを学ぶのにおすすめの参考書
今回ご紹介するのは2001年に講談社より発行された宮家準著『修験道 その歴史と修行』です。
早速この本について見ていきましょう。
山岳を神霊、祖霊のすまう霊地として崇め、シャーマニズム、道教、密教などの影響のもとに成立した我が国古来の修験道――。筆者自ら現場に立ち合って調査した、臨場感あふれる興味深い論考。開祖役行者(えんのぎょうじゃ)が修行したとされる吉野を中心として、修験宗各派の教義と活動の場を詳細に比較研究し、「行」の重要な役割を浮き彫りにする。
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山に籠って修行に励む山伏。修験道は厳しい山岳修行のイメージがありますが、その修験道とはどのようなものなのか、どのような歴史があるのかを学ぶのにこの本はおすすめです。
この修験道については本書冒頭で次のように概説されています。
修験道は山岳を神霊・祖霊などのすまう霊地として崇めた我が国古来の山岳信仰が、シャーマニズム、道教、密教などの影響のもとに平安時代末頃に一つの宗教形態を形成したものである。この宗教においては、里の人々が霊地として畏怖した山岳に入って修行して、超自然的な験力を修めた修験者・山伏が人々の期待に応えて、霊山詣の先達、堂社の祭、加持祈祷などを行なうことを眼目にしている。ちなみに、修験の名称は験を修めること、山伏は山に伏して修行することを意味することからわかるように、修験道においては、修行は中核的な部分を占めているのである。
我が国においては、飛鳥時代から吉野が霊山として知られ、仏教者たちが修行におとずれていた。修験道の開祖、役小角(役行者)も、ここで修行したとされている。やがて平安時代中期になると、藤原道長など貴族たちの吉野の金峰山参詣が行なわれた。ついで平安時代後期には、白河上皇をはじめ歴代の上皇が、相ついで熊野に参詣された。こうしたことから鎌倉期に入ると、吉野と熊野は中央における修験者の拠点となっていった。南北朝期には、吉野の修験は南朝を支えもした。室町時代に入ると、熊野の修験は熊野三山検校を重代職とした天台宗寺門派の園城寺末の聖護院に掌握されるようになり、やがて本山派といわれる教派を形成した。
一方、近畿地方の諸大寺に依拠した修験者は大峰山中の小笹に本拠を置き、当山正大先達衆と呼ばれる結社を形成した。この先達たちは、役行者以来途絶えていた大峰修行を中興した聖宝を尊師として崇めていた。そしてこのこともあって戦国時代末には、聖宝が開いた醍醐三宝院を本山にいただいて当山派と呼ばれる教派を形成した。こうした中央の修験霊山の他に、羽黒山・日光山・富士山・白山・立山・石鎚山・彦山など地方でも修験は活発な活動を行なった。特に羽黒山と彦山は熊野とも密接な関係を持ち、修験の山として大きな勢力を誇っていた。
江戸幕府は全国の修験者を本山派・当山派に掌握させ、両派を競合させた。けれども明治政府は神仏分離政策にのっとって、修験道を廃止し、本山派は天台宗(のちに同宗寺門派)、当山派は真言宗(のちに真言宗醍醐派)、吉野山と羽黒山は天台宗に所属させた。なお英彦山はこの時神社となった。もっともこれらの修験集団は、それぞれ各仏教教団内で修験の活動を継続した。そして第二次大戦終了後、本山派は修験宗(現本山修験宗)、当山派は真言宗醍醐派、吉野山は金峯山修験本宗、羽黒山の修験は羽黒山修験本宗を設立した。なおこの時、各地の霊山を拠点とした修験教団も数多く成立した。現在これらの修験教団が積極的に活動していることは、周知の通りである。
ところで仏教は信仰を基盤とした「行」と「学」から成立するが、これまでの仏教界はともすれば学を偏重してきた。けれども行あってこそ学が体現される。行はまた学の裏付けを得て成立する。特に仏教と密接な関係を持って発展した修験道では山岳修行や日常の勤行・祭・加持祈祷などを通しての修行が重要な役割りをはたしている。
講談社、宮家準『修験道 その歴史と修行』P3-5
修験道と言いますと、山伏のイメージで山岳信仰というのは何となくイメージができるのですが、では修験道とはそもそも何であり、どのような宗派になっているかというとなかなかわからないですよね。
本書では専門的な内容も多く書かれていますので手軽な入門書としては少し厳しいですが、修験道について体系的にまとめられていて、とても貴重な参考書です。
日本仏教を考える上でも山との関係性は非常に重要なものとなっています。知られざる修験道の世界を垣間見ることができた本書は私にとっても刺激的なものとなりました。
以上、「宮家準『修験道 その歴史と修行』概要と感想~山岳信仰と仏教のつながりを学ぶのにおすすめの参考書」でした。
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