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武田鉄平おすすめ画集『PAINTINGS OF PAINTING』概要と感想~ 衝撃の一目惚れ!

目次

おすすめ!武田鉄平画集『PAINTINGS OF PAINTING』 衝撃の一目惚れ!

今回ご紹介するのは2019年にUnited Vagabondsより発行された武田鉄平の画集『PAINTINGS OF PAINTING』です。

前回の記事で紹介した『現代アートとは何か』を読んだことでアートに興味を持ち始めた私(※2020年夏頃)。

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しかし函館在住である私は気軽に都会の美術館に行けるような環境でもなく、特にアートとは接点のない生活を続けていました。

そんな私が武田鉄平さんの作品に出会ったのは本当に偶然のことでした。

いつも行く美容室で何気なく渡され、何気なく読み始めたこの雑誌。いつもなら自分で持ってきた本を読むのですがこの日はたまたま本を持ってきていなかったのです。

こちらはマガジンハウスより発行されている『CASA BRUTUS』という雑誌の2020年6月号。

この雑誌をぱらぱらめくりながら読んでいくうちに、一瞬で目を奪われてしまったページがありました。それが武田鉄平さんの作品だったのです。

大々的に紹介されていたわけではなかったのですが、その作品のパワーに一瞬で引き込まれてしまったのです。

著作権の問題上、直接雑誌のページを掲載することはできないのでTwitterよりその作品を引用させて頂きました。

私はこの雑誌を読むまで武田鉄平さんのことを全く知りませんでした。ですが、その作品を見た瞬間、あまりの衝撃で一目惚れしてしまいました。美容室にいながら一人で度肝を抜かれてしまったのです。

この時の衝撃は忘れられません。

私はもう武田鉄平さんの作品が頭から離れなくなり、すぐに地元の書店に行き、この画集『PAINTINGS OF PAINTING』を手に入れました。(そして武田鉄平さんとのご縁を作ってくれた『CASA BRUTUS』も)

いやあ~、この画集、本当にすごいです・・・!

何と言葉で表現していいのかわかりませんが、とにかくすごいんです!

とにかく見ればわかります!としか言いようがないのですが、これは衝撃でした。

遅くなりましたがこの本についての紹介を見ていきたいと思います。

全く無名の画家の絵が、アート関係者そしてクリエイティヴ関係者の間で大きな注目を集めています。新人画家・武田鉄平は、極めて抽象的でありながら、同時にとても現在を感じさせる肖像画を描く作家。彼は「絵画のための絵画を描く」をテーマに、シリーズ「Painting of Painting」を制作しており、その絵が国内のみならず海外のアート関係者にも衝撃を持って受け止められています。このシリーズの30点の絵を1冊にまとめた彼の初の画集/作品集を、武田の東京での初個展に合わせて刊行いたします。

武田鉄平は1978年生まれ。山形県山形市出身で、武蔵野美術大学を卒業後、著名なアートディレクターであるサイトウマコト率いるサイトウマコト・デザイン室に勤務。そして画家になることを決意し2005年に山形県山形市の実家にアトリエを構え、そこにこもって10年ほど絵を描き続けてきました。作品は全て抽象的な肖像画で、絵画にしかなしえない美を描いてます。

本書のデザインはNYのファビアン・バロン。カルバン・クライン、ディオール、ザラなどのキャンペーンを長年手がけ、30年ほど雑誌『Interview』のクリエイティヴ・ディレクターも手がけた世界で最も著名なアートディレクターである彼が、武田の作品を気に入り、自らの美学と完璧主義を追求した1冊に仕上げました。武田の制作プロセスを踏まえて、絵をリアルに体験ができるように、表紙は原寸の絵となるポスターで包まれる特殊なデザインになってます。テキストは日英バイリンガルで表記しています。

蔦屋書店商品紹介ページより

蔦屋書店さんの商品紹介ページではこの画集に収録されている絵の一部や一覧の画像も見れますのでぜひこの商品紹介ページをご覧になってみてください。

そして武田鉄平さんのプロフィールや絵の特徴については『CASA BRUTUS』で次のように紹介されていました。

鮮やかな色使いでたっぷりと絵具を厚盛りにし、一気に描かれたような勢いのある筆致のポートレート。描いたのは37歳でデビューしたアーティスト武田鉄平だ。

武田は美大でグラフィックデザインを専攻し、デザイン事務所に入社したが3年で退社。山形に戻リ、家業を手伝いながら絵画制作をしていたが発表の機会はなかった。武田に転機が訪れたのは2016年、キュレーター宮本武典に絵を発見され個展を開催すると一気にアート界から注目を集めた。

実はこの絵、全然「一気に」なんて描かれていない。実際の絵を近くでよく見ると、絵具の盛り上がりもない。完全にだまされてしまったとわかると、なぜそんな絵を描いたのかという疑問が湧く。

武田の絵の制作プロセスはこうだ。雑誌のグラビアなどから任意に選んだ顔写真をモチーフに、A4サイズの紙にドローイングを描く。同じモチーフで何十枚もの筆致を試し、その中から1枚を選び出して撮影し、パソコンに取り込み加工を施す。そこで初めて下絵が出来上がる。下絵を細い筆で丹念にキャンパスへと写し取る。最初は1枚描くのに3か月以上かかったという。途方もない作業だ。その間、武田はひたすらに「絵画」と向き合う。作品集に添えられた宮本の文章の中で武田はモチーフについて「何でもよかったんです」「描くことに没頭できるなら、顔でも、花でも、何でも」と語る。

武田が丹念に描き出す〝誰でもない顔〟は、デジタル加工の時代の「見る」を何重にも転倒させて絵画の真実を突きつけてくる。

マガジンハウス『CASA BRUTUS』2020年6月号P80

上の解説を読んでから改めて武田鉄平さんの作品を見てみると、そのすごさには驚くしかないですよね。

これはぜひぜひ生で観てみたい作品です。なかなか個展が開かれるような状況ではありませんが、機会があればぜひ馳せ参じたいなと思います。

現代アートが全くわからなかった私が初めて好きになったのが武田鉄平さんの作品でした。一目惚れとはこういうことなのかというくらい衝撃的な出会いでした。私にとってとても思い入れのある画家さんです。

この画集は非常におすすめです。一度見たら忘れられない衝撃を味わうことができます。

以上、「武田鉄平おすすめ画集『PAINTINGS OF PAINTING』 衝撃の一目惚れ!」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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