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ハプスブルク家の本拠地シェーンブルン宮殿~王宮の生活を覗き見る オーストリア編③

ウィーン
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ハプスブルク家の本拠地シェーンブルン宮殿~王宮の生活を覗き見る 僧侶上田隆弘の世界一周記―オーストリア編③

さて、次に向かうはオーストリアの誇る世界遺産シェーンブルン宮殿。

こちらはチェコ編でも何度も出てきたハプスブルク家が13世紀後半から1918年までおよそ600年以上にわたって住居にしていた王宮だ。

いわば世界最強の王族の本拠地がこのシェーンブルン宮殿なのだ。

600年という長きの間ここは住居として使われていたので、何度となく増改築がされている。

そのため敷地はとてつもなく広い。

その中でも今回ぼくは旧王宮と銀器博物館、シシィ博物館の3つの施設を訪れることにした。

こちらが旧王宮の入り口。

豪華さと優美さ、そして威厳も感じさせるたたずまいだ。

ウィーンは街中でたくさんの馬車が今でも走っている。

この王宮内でもたくさんの馬車が行き来していた。

まず入場したのは銀器博物館。

こちらは王宮で実際に使われていた貴重な食器類が展示されている。

入場券にオーディオガイド料も含まれているので、解説を聞きながら展示品を鑑賞することができる。

こちらは金細工。本物だ。

これらが本当に食卓に並べられていたのか・・・

ちょっと信じられない。

だが、その先では実際にそれが再現されていた。

並べられているのを目のあたりにするとさすがに納得せざるをえない。

あぁ・・・恐るべしハプスブルク家・・・

いかにこの王家が繁栄していたかがこれを見れば一目瞭然だった。

当時の様子が描かれていた絵も展示されていた。

まったくの別世界だ。貴族の世界は。

このような文化がヨーロッパでは連綿と続けられていたということもしっかりと頭に入れておこう。

そうでないと日本の明治維新もきっと理解できなくなる。

ぼくはこれらの展示を見てそう思うのであった。

さて、銀器博物館の次はシシィ博物館。

シシィとはエリザベート王妃のことを指す。

エリザベートとは何者なのか。

次の画像を見ると、ぴんと来るだろうか。

ハンガリー王妃戴冠時のエリーザベト(1867年)Wikipediaより

きっとどこかで見たことがあるかと思う。

ぼくも実際その程度の知識でここに来ていた。

調べてみると、エリザベートは19世紀後半のオーストリアの皇后。

その美しさはヨーロッパ宮廷一と称えられ、その波乱に満ちた人生は多くの人に今もなお愛されているという。

その人生のクライマックスが暗殺による死だったことも、エリザベートがよりセンセーショナルな人物として世界中に知られるようになった一因と言われている。

日本でもミュージカルとして人気を博し、宝塚でも上演されているそうだ。

そのエリザベートの生い立ちや、当時来ていた衣装、その生活ぶりなどかなり細かくこの博物館は展示している。

中の撮影は一切禁止。

だがその豪華さと、展示の説明は非常に見ごたえがあった。

まったく知識のなかったぼくでさえこうなのだから、きっとエリザベートや宮廷生活に興味のある人ならばものすごく楽しめる場所だと思う。

そして最後は旧王宮の皇帝の間へと進んで行く。

ここも一切撮影禁止。

ここからはエリザベートが生きていた時代の部屋がそのまま残されている。

エリザベートの夫であり皇帝のフランツ・ヨーゼフが実際に使っていた部屋や、謁見室、寝室など様々な部屋を見ることができる。

もちろんその妻のエリザベートの部屋もしっかり見ることができる。

部屋に置かれているものをみるとエリザベートの人間性までも想像できるようだ。

オーディオガイドもこのあたりの説明にはかなり時間をかけて話してくれる。

ハプスブルク家に興味のある人にとってはこの上もない体験がここではできるだろう。

シェーンブルン宮殿自体はこれ以外にもたくさんの見どころがある。

なにせ敷地があまりにも広大なため、ぼくにはすべて回る余裕がなかった。

時間に余裕があれば1日、いや数日かけてゆっくり見て回るのもよいかもしれない。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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