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同朋大学仏教文化研究所『親鸞・初期真宗門流の研究』概要と感想~東国の弟子達の信仰の実態を知れる刺激的な参考書

親鸞・初期真宗門流の研究
目次

同朋大学仏教文化研究所『親鸞・初期真宗門流の研究』概要と感想~東国の弟子達の信仰の実態を知れる刺激的な参考書

今回ご紹介するのは2023年に法藏館より発行された同朋大学仏教文化研究所編『親鸞・初期真宗門流の研究』です。

早速この本について見ていきましょう。

親鸞の教えを受け継ぐ初期真宗門流はどのように活動したのか。東北から西国における地域的展開、その歴史的世界について、本尊・聖教等、多様な史料から19名が総合的に研究する。

Amazon商品紹介ページより

本書『親鸞・初期真宗門流の研究』は親鸞在世時の東国や全国の弟子たちがどのように活動していたのかを知れる刺激的な作品です。

現代を生きる私達は浄土真宗というと東西両本願寺をイメージするのではないかと思います。日本で一番多い仏教宗派が浄土真宗でありますがその大半を占めるのがこの両本願寺です。そのため浄土真宗=本願寺というイメージが定着しています。

しかし浄土真宗には実は十派あります。かく言う私の所属する真宗木辺派もそのひとつです。

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さらに言えば、親鸞聖人が生きておられた時代やその没後には地域ごとに多種多様な親鸞門下が活動していました。これは下の目次を見て頂ければ感じて頂けると思います。

目次
巻頭言(真宗大谷派 宗務総長 木越渉
緒 言(同朋大学仏教文化研究所 所長 安藤弥)

総論
第1章 親鸞・初期真宗門流研究序説(安藤弥)
第2章 坂東における親鸞系諸門流の成立(吉田一彦)

第Ⅰ部 初期真宗門流の地域的展開
第3章 横曽根門流の成立と展開(吉田一彦)
第4章 高田門徒の特色と変遷(山田雅教)
第5章 佛光寺と血脈(北島恒陽)
第6章 善性と磯部門流(草野顕之)
第7章 東北の初期真宗―岩手・盛岡本誓寺を中心にして―(蒲池勢至)
第8章 北陸の初期真宗(木越祐馨)
第9章 摂津・河内・和泉の初期真宗(上場顕雄)
第10章 西国の初期真宗(岡村喜史)

コラム1 東海地域における初期真宗(老泉量)
コラム2 出雲路乗専(安藤弥)
コラム3 『存覚袖日記』寸考二題(安藤弥)

第Ⅱ部 初期真宗門流の歴史的世界
第11章 親鸞真蹟をめぐる一考察(小山正文)
第12章 初期真宗本尊論(青木馨)
第13章 本願寺留守職少考(金龍静)
第14章 初期真宗の教義書(塩谷菊美)
第15章 〈初期真宗〉の聖徳太子信仰と史科学(藤井由紀子)

終章 初期真宗門流とは何か-初期真宗門流研究から導かれること―(脊古真哉)

コラム4 諸家分蔵本「拾遺古徳伝絵」について(村松加奈子)
コラム5 法然浄土教と初期真宗―信仰対象としての善導―(市野智行)
コラム6 真宗初期遺跡寺院調査とそのフィルム資料群のデジタル化(川口淳)

後記(蒲池勢至・青木馨)

Amazon商品紹介ページより

特に東国の親鸞門下の多様な信仰体系については以前当ブログでも紹介した『親鸞聖人の一生』の著者今井雅晴氏がその著書で詳しくお話ししていましたが、まさに本書ではさらに専門的な内容を知ることができます。

この本を読んで驚いたのはやはりそれぞれの門下がその地域特有の信仰的背景があるということです。

たとえば下野の高田門流は長野善光寺の念仏聖の影響が、常陸国の鹿島門流には鹿島神宮の影響があったとされています。

長野善光寺 ブログ筆者撮影
鹿島神宮 ブログ筆者撮影

特に鹿島門流の構成員は鹿島神宮の神官であったのではないかとされています。つまり、親鸞聖人が東国にやって来た結果、地元の人々が宗旨替えして彼の教えを聞いていたということになります。かつての真宗史では東国の無知な農民や下層の人々が親鸞聖人の教えを聞いていたとされていたのですが、現在の歴史学の研究ではそれとは違う事実が明らかになってきています。

そもそも東国は非文明的な田舎ではありません。今井雅晴著『親鸞聖人の一生』でもそのことは強調されていました。そして親鸞聖人の教えを聞いていたのは武士階級が主であったということも重要です。

彼らはすでに自身の地にあった信仰を身につけていた人々でした。そこに親鸞聖人がやって来て教えを説くのですが、まっさらなところに教えが染み込んでいったわけではありません。どうしてもそれまでの信仰内容がそこに入ってきます。つまり、東国の人々が親鸞聖人の教えを聞いたといっても、それぞれの門下によって理解が異なるということがどうしても起きてしまいます。これが門流間の相違となり、やがて弟子間の論争にも繋がってきます。

親鸞聖人の教えを聞くと言っても決して一枚岩ではないのです。

私達は現代の視点から過去を考えてしまいがちですが、親鸞聖人が生きておられた頃の教団事情はかなり混沌としたものだったようです。

初期真宗教団はなかなか目が向けられないマイナーなテーマでありますが、親鸞聖人の生涯はどのようなものだったのか、そしてその教えがどのように受け止められていたのかを学ぶ上で非常に重要な問題です。

かなり本格的な研究書でありますが本書は新たな視点を得るためのおすすめ参考書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「同朋大学仏教文化研究所『親鸞・初期真宗門流の研究』概要と感想~東国の弟子達の信仰の実態を知れる刺激的な参考書」でした。

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親鸞・初期真宗門流の研究

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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