坂井孝一『承久の乱』概要と感想~後鳥羽上皇の人物像やその目的を知るのにおすすめの参考書

坂井孝一『承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱』概要と感想~後鳥羽上皇の人物像やその目的を知るのにおすすめの参考書
今回ご紹介するのは2018年に中央公論新社より発行された坂井孝一著『承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱』です。
早速この本について見ていきましょう。
一二一九年、鎌倉幕府三代将軍・源実朝が暗殺された。朝廷との協調に努めた実朝の死により公武関係は動揺。二年後、承久の乱が勃発する。朝廷に君臨する後鳥羽上皇が、執権北条義時を討つべく兵を挙げたのだ。だが、義時の嫡男泰時率いる幕府の大軍は京都へ攻め上り、朝廷方の軍勢を圧倒。後鳥羽ら三上皇は流罪となり、六波羅探題が設置された。公武の力関係を劇的に変え、中世社会のあり方を決定づけた大事件を読み解く。
中央公論新社商品紹介ページより

本書は1221年に起きた後鳥羽上皇による承久の乱を学ぶのにおすすめの参考書です。
この本ではまず平安末期の保元の乱から鎌倉幕府成立の流れから語られます。そのため承久の乱に至るまでの大きな流れを知った上で乱そのものを学んでいけるというありがたい構成となっています。
なぜ承久の乱は起こったのか、そしてその首謀者である後鳥羽上皇とはいかなる人物だったのかを学ぶのにとてもおすすめな作品です。
そして浄土真宗僧侶として個人的に印象に残ったのが、法然や親鸞が流罪となった弾圧事件についてこの本では全く語られないということでした。この本の主人公である後鳥羽上皇の生涯においてこの弾圧事件が語られないというのはどういうことなのか。気になったので目崎徳衛著『史伝 後鳥羽院』という伝記も読んだのですがこちらでも弾圧事件は触れられていませんでした。他にも後鳥羽伝的な本を色々当たったのですがそこにもやはりありませんでした。もしかすると、当時においてこの弾圧事件というのはそれほど大きなものとして扱われていなかったのかということも考えさせられました。
この弾圧事件については後に当ブログでも紹介する予定ですが、上横手雅敬編『鎌倉時代の権力と制度』や森新之助著『摂関院政期思想史研究』などの本で詳しく語られています。
後鳥羽上皇の生涯を語る上ではこの弾圧事件はやはり重きが置かれないようです。私にはこれ以上は何とも言えませんが、浄土宗や浄土真宗にとっては歴史的大事件として記憶されてきたこの事件ですが、後鳥羽上皇の伝記においてはそこまで大きくは言われないということになりそうです。
本書のメインテーマである『承久の乱』とは少し離れてしまいましたが、真宗僧侶である私にとっては実に知りたい部分でもあります。なのでここで少しお話しさせて頂きました。
何はともあれ、源頼朝が打ち立てた鎌倉幕府が朝廷とどう対立していったのか、なぜここまで関係が悪化してしまったかを詳しく知れる本書はとてもありがたい作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「坂井孝一『承久の乱』概要と感想~後鳥羽上皇の人物像やその目的を知るのにおすすめの参考書」でした。
Amazon商品紹介ページはこちら
前の記事はこちら

関連記事






