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船岡誠『道元』概要と感想~曹洞宗の開祖道元のおすすめ伝記!謎多き偉人の生涯とは

道元
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船岡誠『道元 道は無窮なり』概要と感想~曹洞宗の開祖道元のおすすめ伝記!謎多き偉人の生涯とは

今回ご紹介するのは2014年にミネルヴァ書房より発行された船岡誠『道元 道は無窮なり』です。

早速この本について見ていきましょう。

道元(1200〜1253)鎌倉時代の僧侶。

村上源氏の家に生まれるも、若くして出家し、比叡山などで修行を積む。渡宋し曹洞宗を学び、帰国後日本にこれを広め、波多野義重の誘いにより越前に永平寺を開いた。多くの哲学者が興味を抱いた仏法者が、時代と格闘しながら試行錯誤の末に辿り着いた思想に迫る。

[ここがポイント]
・経営者や思想家から人気のある仏法者の本格評伝である
・道元の父親は誰なのか、修行中に栄西に会ったのかなど、長年論争になっていたテーマにも言及している

ミネルヴァ書房商品紹介ページより
道元(1200-1253)Wikipediaより

本書の主人公は曹洞宗の開祖として有名な道元です。

道元も比叡山に数年ほど学んでいますが、そこから栄西教団の下に入り、宋への渡航も果たしました。しかし栄西の臨済宗とは異なる道を歩んでいきます。

道元といえば「只管打座」というひたすら禅に没頭する仏道を広めたことで知られていますが、この道元の生涯を様々な歴史資料から追っていくおすすめ伝記が本書『道元 道は無窮なり』になります。

まず本書を読んで驚いたのは道元の生まれでした。なんと、彼は源(久我)道親の息子だというのです。道親はあの九条兼実を失脚させ自ら摂政へと上り詰めた大物中の大物政治家です。九条兼実は法然教団を支援したことでも有名な摂関家の大貴族ですが、その兼実とやり合うほどの腕を持った政治家でした。

そしてその息子が道元だというのですから驚かざるをえません。

ちなみにですがその九条兼実の弟が比叡山の天台座主を4度も務めた慈円になります。

こう見ていくと、やはりあの時代に名を残した名僧たちの多くがやはり大貴族の子弟なのだなということを思わずにはいれません。

ですがまあ、それもそうですよね。大貴族の家に生まれたということは、幼少期から超一流の先生に習って勉強を積んでいるわけです。つまり、学びの基礎が違います。その基礎があるからこそ仏門に入って専門的な仏教書や哲学書を読んでもその理解力に圧倒的な差が生まれるのでしょう。中下級の貴族の子であった親鸞も、その家柄は学問を旨とする家系でした。彼の叔父は著名な儒学者で、あの以仁王の教師でもありました。やはり仏門に入る以前の教育もその後の成長に大きな影響を与えるのだろうことを感じてしまいます。

そして本書を読み進めていって改めて驚いたことがあります。

それが道元についてはわかっていないことが未だ多々あるという点です。これは親鸞聖人も全く同じで、決定的な歴史資料がない以上、史実的なことが確定できないのでありました。

親鸞聖人の生涯を学んでいると、学者によってその説がかなり異なります。例えば、親鸞の妻恵信尼とは何者だったのか、長男善鸞の義絶事件の真相はどうだったのかという問題です。これらは学者によって真っ向から見解が対立し、現在も決着がついていません。そんな状況に私も頭を抱えていたのですが、「なんだ、道元さんもそうだったのか」と苦笑いしてしまいました。やはりこの時代の開祖たちの記録というのはほとんど残っていないというのが実情なのだなと改めて実感した読書になりました。

どこまでがわかっていて、どこからがわかっていないのかということを知ることは歴史を学ぶ上で非常に重要な姿勢だと思います。そうした意味でも本書は刺激的な知見に満ちた伝記と言えるのではないでしょうか。

ぜひおすすめしたい一冊です。

以上、「船岡誠『道元』概要と感想~曹洞宗の開祖道元のおすすめ伝記!謎多き偉人の生涯とは」でした。

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道元 道は無窮なり (ミネルヴァ日本評伝選)

道元 道は無窮なり (ミネルヴァ日本評伝選)

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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