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河内春人『倭の五王』概要と感想~5世紀頃の東アジア情勢と日本外交を学べるおすすめ本!古代日本は想像以上に国際的!

倭の五王
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河内春人『倭の五王』概要と感想~5世紀頃の東アジア情勢と日本外交を学べるおすすめ本!古代日本は想像以上に国際的!

今回ご紹介するのは2018年に中央公論新社より発行された河内春人著『倭の五王』です。

早速この本について見ていきましょう。

倭の五王とは、中国史書『宋書』倭国伝に記された讃・珍・済・興・武を言う。邪馬台国からの交信が途絶えてから1世紀後、中国へ使者を派遣した王たちである。当時、朝鮮半島では高句麗・百済・新羅が争い、倭もその渦中にあった。本書は、中国史書から、中国”への接近”の意図や状況、倭国内の不安定な王権、文化レベルを解読、天皇と五王との比定などを通し、5世紀の倭の実態を描く。古代歴史文化賞優秀作品賞受賞

Amazon商品紹介ページより

「倭の五王、讃・珍・済・興・武」・・・私にとって大学受験の日本史を思い出す実に懐かしいフレーズです。

本書はその倭の五王についてより深く知ることができるおすすめの参考書です。

そしてこの本の特徴は何といっても、5世紀頃の日本を中国や朝鮮など東アジアの国際情勢と共に見ていく点にあります。

本書冒頭で著者は次のように述べています。

日本古代史が他の時代の研究と比べて難しい点は何かー。

まず史料が少ないこと、これに異論はないだろう。特に六世紀以前になると日本に残されている文献史料は格段に少ない。そのため八世紀初頭に編纂された『古事記』『日本書紀』(以下、記・紀)のような史料に頼らざるを得ない。しかし、五世紀以前は記・紀の記録も伝承・説話的な内容が強くなり、史実としてそのまま認めるのは容易ではない。

こうした問題点を補うのが中国の史料である。中国という国は古くから歴史を記すことにこだわり続け、その範囲となる地域は中国の周辺にまで及んだ。日本列島もその例外ではなく、七世紀以前に「倭(倭国)」という名称で呼ばれていたことは周知の通りである。(中略)

本書は、倭の五王を、ひいては五世紀の倭国を理解するために、記・紀以外からどのように歴史をうかがえるのかを試みる。

そこからは王権、国の組織のあり方、文化レべルなど記・紀が作り上げたイメージとは異なる五世紀の東アジアの歴史が眼前に姿を現すことになる。本書によって、日本の立場だけで日本史を考える危うさについて気付くきっかけになればと思う。

中央公論新社、河内春人『倭の五王』Pⅰーⅳ

「本書によって、日本の立場だけで日本史を考える危うさについて気付くきっかけになればと思う。」

この言葉は本書を貫く重要なポイントです。

私たちが古代日本を考えると、どうしても『古事記』や『日本書紀』という日本側の立場から編纂された歴史観が中心になりがちです。しかし、実際のところは中国や朝鮮など、東アジアの複雑な国際情勢の一員として古代日本も存在していたわけです。日本だけの都合で歴史が動いていたわけではありません。

本書ではそんな東アジア情勢と絡めながら5世紀の日本を学ぶことになります。かつて日本史で習った「讃・珍・済・興・武」の五王は単なる単語レベルの理解でありましたが、その五王を歴史物語として学ぶことができたのは非常に刺激的でした。著者の語りも面白く、日本史の参考書でありがちな固有名詞の羅列や解説とはまるで異なります。やはり物語として聞くとすんなり頭に入ってきますよね。

本書を読んでいると、古代日本を含めた昔の首脳部がいかに海外情勢を詳しく知っていたかに驚くことになります。現代のような通信手段もなかった時代にどうしてそんなに海外のことを知れたのかと驚くばかりでした。古代日本は私たちが想像するよりはるかに国際的な世界を生きていたようです。

目から鱗の発見が満載の本書は実におすすめの一冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「河内春人『倭の五王』概要と感想~5世紀頃の東アジア情勢と日本外交を学べるおすすめ本!古代日本は想像以上に国際的!」でした。

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倭の五王

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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