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渡邉義浩『横山光輝で読む三国志』~あの傑作漫画と共に学ぶ三国志の歴史!原作『三国志演義』との違いも知れるおすすめ本

横山光輝で読む三国志
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渡邉義浩『横山光輝で読む三国志』~あの傑作漫画と共に学ぶ三国志の歴史!原作『三国志演義』との違いも知れるおすすめ本

今回ご紹介するのは2022年に潮出版社より発行された渡邉義浩著『横山光輝で読む三国志』です。

早速本書について見ていきましょう。

1800年の時を経て、なぜ『三国志』はいまも面白いのか?

横山『三国志』を読み進めながら、吉川英治から湖南文山、羅貫中、陳寿までの『三国志』の独自性とその魅力を楽しく徹底解明。これまで誰も書くことのできなかった感動‼の“三国志”。

連載開始50周年!! 横山「三国志」の名場面116ページ、著者撮影の三国志ゆかりの地写真など54点掲載。名場面もゆかりの地写真も、そして図版もすべて著者の心のこもった名文キャプション付き。

Amazon商品紹介ページより

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横山光輝先生の『三国志』は日本人に最も影響を与えた『三国志』であることでしょう。私もこの漫画が大好きで、学生の時に夢中で読み耽ったものでした。

その横山先生の『三国志』をベースに史実の三国志の歴史をざっくりと学んでいこうというのが本書『横山光輝で読む三国志』になります。「これはもう面白いに違いない」、私は勇んで本書を読み始めたのでありました。

著者は冒頭で次のように述べています。

本書は、横山光輝の『三国志』を楽しみながら、「三国志」の世界をご案内するものです。わたしが、「三国志」の世界に触れたのは、小学生の高学年のとき、横山光輝の『三国志』が最初でした。それ以来、「三国志」を専門として、大学教員をしている今でも、横山『三国志』は、わたしの中で色あせない、「三国志」への感動をよみがえらせてくれる大切な本です。

横山光輝の『三国志』は、吉川英治の『三国志』に基づいています。「三国志」の世界を曹操と諸葛亮という二大英雄の物語としてまとめた吉川『三国志』は、日本の『三国志』の受容に決定的な影響を与えました。横山『三国志』は、その普及に大きく貢献し、この二書が日本の『三国志』である、と言っても過言ではありません。もちろん、横山『三国志』は、吉川『三国志』をそのまま描いたわけではなく、自らの歴史観に基づいて、「三国志」の物語に改変を加えています。本書では、その独自性の指摘にも努めました。

横山『三国志』だけで、「三国志」の世界は十分に把握できます。ただ、「三国志」の世界は、羅貫中がまとめた『三国志演義』を日本語に翻訳した湖南文山の『通俗三国志』、それを種本とした吉川『三国志』、それを普及させた横山『三国志』のほかに、羅貫中が基づいた陳寿の『三国志』やその他の史書にも描かれており、大きな広がりとそれぞれの違いを持っています。本書は、横山『三国志』により、「三国志の世界」の概略を追いながら、それらの「三国志」の世界の広がりにも言及してまいります。

潮出版社、渡邉義浩『横山光輝で読む三国志』P2ー3

なるほど、私が読んだ漫画『三国志』にはこのような流れがあったのですね。

そして本書では横山『三国志』の名場面が挿絵として挿入され、漫画の世界に浸りながら三国志の歴史を学ぶこと事になります。漫画だけでなく写真や図版も豊富に掲載されているので現地の様子がイメージしやすいです。

また、上の引用にもありましたように、横山『三国志』と他の『三国志』の違いも語られるのでここも非常に興味深いです。横山光輝先生の意図やその素晴らしい演出ぶりがよくわかるのでこれは面白いです。やはりあの漫画はとてつもない傑作だったのだと改めてうならされることになります。あぁ、また読みたくなってきてしまいました。

中国史は国や都市、人物名が大量に出てくるので混乱してしまいがちですが、やはりそこに漫画というビジュアル要素が加わってくると違ってきます。覚えやすさが段違いです。

そうした意味でも歴史を楽しく学べる横山『三国志』はやはり秀逸だなと改めて感じた一冊となりました。読み応え抜群のおすすめ参考書です。

以上、「渡邉義浩『横山光輝で読む三国志』~あの傑作漫画と共に学ぶ三国志の歴史!原作『三国志演義』との違いも知れるおすすめ本」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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