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竹村牧男『華厳とは何か』概要と感想~華厳経のおすすめ入門書!華厳と親鸞とのつながりも知れる刺激的な一冊!

華厳とは何か
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竹村牧男『華厳とは何か』概要と感想~華厳経のおすすめ入門書!華厳と親鸞とのつながりも知れる刺激的な一冊!

今回ご紹介するのは2004年に春秋社より発行された竹村牧男著『華厳とは何か』です。

早速この本について見ていきましょう。

大乗仏教を代表する『華厳経』の内容と、東アジアで展開した華厳思想の核心をわかりやすく示し、さらに現代における可能性にも言及した華厳大全の新装版。華厳思想が説く無限の関係性の世界は、どのように受容され東アジア仏教の基調となったか。

Amazon商品紹介ページより
東大寺盧舎那仏像 Wikipediaより

本書『華厳とは何か』は東大寺の大仏で有名な華厳経についてのおすすめ入門書です。

竹村牧男先生は以前当ブログでも紹介した『インド仏教の歴史「覚り」と「空」』の著者でもあります。竹村先生の著作は一般読者にもわかりやすく仏教の奥深さを教えてくれる素晴らしい作品揃いです。

本書について竹村先生は次のように述べています。

インド大乗仏教において『華厳経』という経典が制作されたことは、よく知られていると思います。しかしそれはあまりにも大部なせいか、あるいはこの経典にもとづく、民衆に広汎に浸透した宗派は成立しなかったせいか、『華厳経』の内容は必ずしも親しくは知られていないと思います。

その『華厳経』に拠って、中国に華厳宗が成立し、日本では主に東大寺において研鐙され続けてきたのでしたが、その思想内容はあまりにも深遠で、やはり人々に広く伝わることはなかったように思います。ただ、東大寺の大仏は、華厳経の教主・毘慮舎那仏をかたどったものであることは、ご存知の力も多いことでしょう。

『華厳経』の思想と、華厳宗の思想とをあわせて、華厳思想と呼んでおこうと思いますが、実はそれは、日本の仏教諸宗の中に、姿を隠しつつ深く流れ込んでいます。

親鸞の「如来等同」の思想、道元の「修証一等」の思想等にもそのことが認められますし、特に空海の密教的世界観は、華厳思想そのもののひとつの変型であるといっても過言ではないように思われます。そのように、日本の仏教を深く把握するためには、華厳思想の了解が不可欠でしょう。

一方、華厳思想の核心は、一即一切・一切即一、一入一切・一切入一といった、無礙自在の縁起、重重無尽の縁起の思想にありますが、その世界観は、現代社会のさまざまな負の面を産出してきた近代合理主義の考え方を見直すにあたって、大いに参考になることでしょう。最近しばしば強調されるエコロジカルな視点は、この華厳思想とかなり重なり合うものです。華厳思想は現代思想にとっても、きわめて魅力的な側面を持ち合わせているものなのです。

そのような意味では、華厳思想は大変重要で興味深いものだと思います。昨年度(平成十四年四月から十五年三月まで)、NHKテレビ・こころの時代で華厳思想についてお話をしましたとき、そのテキスト(副読本)を作りましたが、本書はそれを基として単行本として刊行するものです。その性格上、なるべくやさしく解説するよう努めてみました。現在、華厳思想にいての平易な解説書が少ない状況の中では、その簡便な入門書のひとつとして活用していたたければと存じます。

春秋社、竹村牧男『華厳とは何か』P331-332

「現在、華厳思想にいての平易な解説書が少ない状況の中では、その簡便な入門書のひとつとして活用していたたければと存じます」という言葉にありますように、本書は最高の『華厳経』入門です。

私も本書を読んで『華厳経』に対するイメージが変わりました。こんなに壮大でドラマチックな経典だったのかと驚きました。

しかもそんな『華厳経』が親鸞聖人にも大きな影響を与えていたとは!

本書では親鸞聖人についても度々言及されますので浄土真宗関係の方にもぜひおすすめしたいです。

これは素晴らしい参考書です。『華厳経』という経典を通して大乗仏教そのものの奥深さも学べるおすすめ解説書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「竹村牧男『華厳とは何か』概要と感想~華厳経のおすすめ入門書!華厳と親鸞とのつながりも知れる刺激的な一冊!」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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