杉本一樹『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』概要と感想~正倉院のおすすめガイドブック!聖武天皇の繊細な直筆に驚き!
杉本一樹『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』概要と感想~聖武天皇の繊細な直筆に驚き!日本文化のルーツたる至宝をわかりやすく見ていけるおすすめ本!
今回ご紹介するのは2016年に新潮社より発行された杉本一樹著『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』です。
早速この本について見ていきましょう。
これぞ、美のオールスター! 正倉院展を10倍楽しめる必携ガイド。奈良の都にもたらされた約9000点もの国際色豊かな工芸品や文物のなかから、その宝物すべてを誰よりも身近に知る著者が、聖武天皇遺愛の調度や生活道具、楽器、遊戯具、文房具、仏具、染織品などアイテムごとに厳選。見どころや細部までわかりやすく紹介する、これぞ決定版! 全点鑑賞制覇をめざすためのチェックリスト付き。
本書『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』は奈良時代の至宝たる正倉院宝物を学ぶのにうってつけのガイドブックです。
上の商品紹介にもありましたように、本書では正倉院の所蔵の様々な物品をフルカラーで見ていくことができます。毎年10月下旬から11月上旬頃にかけて開かれる正倉院展のガイドブックとしても非常に役立つ一冊となっています。
私自身、本書を読んで正倉院展にものすごく行きたくなりました。実は私はこれまで正倉院という存在に対してあまり関心がなかったのですがこの本を読んでそれががらりと変わりました。よくよく考えてみれば正倉院宝物にどんなものがあるのか、なぜこの宝物がすごいのかということをこれまで私は考えたこともありませんでしたし、見聞きする機会もなかったのです。ただ、日本史の覚えるべき単語として正倉院やいくつかの宝物名を暗記していただけだったのです。
ですがどうでしょう、この本を読んですっかりその芸術の素晴らしさに驚かされることになりました。そしてさらにその由来や見どころなどもわかりやすく解説されるとなるとありがたいことこの上なしです。
このガイドブックではそんな数多の宝物の中から厳選された181点の宝物を見ることができます。その中には超有名どころの「鳥毛立女屏風」や「螺鈿紫檀五絃琵琶」などももちろん収録されていますが、私が一番ぐっときたのが「密陀彩絵箱」という、文字通り「箱」です。ですがその箱の写真を見た時その絵の繊細さ、センスのよさに私の心は鷲掴みにされました。
こちらは正倉院のホームページをスクリーンショットしたものなのですが、いかがでしょうか。私はこの控えめながらその高度な技術が余すことなく用いられたこの絵柄にすっかり惚れこんでしまいました。渦のごとく流れるような動きも感じられます。見ていて実に気持ちが良い!ずっと見ていられそうな、そんな心地になる作品です。もしこの実物を見られるなら・・・!
決めました。来年か再来年までには、何とかこの正倉院展に足を運びたいと思います。
そしてもう一つ、正確にはもう一対特に印象に残ったものがあります。それが記事のタイトルにも書きました聖武天皇の直筆とそのお后様、光明皇后の直筆です。
上の画像が聖武天皇、下の画像が光明皇后の直筆になります。
聖武天皇は東大寺の大仏を作った奈良時代の最重要人物の一人ですが、そのお后様であられる光明皇后もとてつもない政治力を持ったお方でありました。この光明皇后については『』や『』の本を読み私も驚いたのでありますが、そのお人柄を示すような力強い筆跡です。本書でも「光明皇后の強靭な精神力が現れた書」と紹介されていましたがまさにその通りだと思います。
そしてそれに対し聖武天皇は字も細くどこか繊細な印象を感じさせれらます。『奈良時代』では聖武天皇がどこかはっきりしない気弱なところがあると言われていたのもわかるような気がしました。ただ、そうは言ってもその達筆ぶりには驚くしかありません。
この聖武天皇と光明皇后の直筆が並べて紹介されてあったのも本書の素晴らしい点だと思います。やはり比べてみないとわからないことがあります。ふたりの筆跡の違いが一目瞭然でとても興味深かったです。
さて、ここで紹介しましたように私は181点の中からこの3つが特に印象に残ったのですが、きっとみなさんにもそれぞれぐっと来るものがあると思います。宝物のジャンルも様々ですし、デザインも多様です。本書を読めばきっとお気に入りの宝物と出会うことでしょう。そして正倉院展に行きたくなると思います。先ほども申しましたが私も来年か再来年に行きます。絶対生で見たいです。そんな気持ちになる一冊でした。ぜひぜひおすすめしたいガイドブックです。
以上、「杉本一樹『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』概要と感想~聖武天皇の繊細な直筆に驚き!正倉院のおすすめガイドブック!」でした。
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