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内山俊彦『荀子』概要と感想~性悪説で有名な儒家の思想を学ぶのにおすすめの参考書

今回ご紹介するのは1999年に講談社より発行された内山俊彦著『荀子』です。

Let's take a quick look at the book.

古代戦国期、秦帝国出現前夜の激動の時代を生き、儒家ながら、伝統的な儒家の枠組みに収まりきらない異色の思想を展開した荀子。「性悪説」で名高い人間観や「天人の分」で知られる自然観、「礼の王国」論に見られる国家観等々、現実的かつ合理性に貫かれたその思想像を多角的に探り、中国古代思想史上の位置を明らかにする。

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荀子(前310年頃?-前238年以後)年代は本書より、画像はWikipedia.

本書は「性悪説」で有名な儒家、荀子のおすすめの参考書です。上の本紹介にありますように、荀子は秦帝国が生まれてくる戦国時代最後の時代を生きた諸子百家です。この本について著者は「おわりに」で次のように述べています。

この本で私は、戦国「諸子」としての遊歴の生活をなしえた最後の儒家、ともいうべき思想家荀子を、彼の生きた歴史の舞台の上に置き、その思想活動にいくつかの方向から照明を当て、それを通して、彼の創造した思想世界の骨格を探り、また、歴史のなかで彼の思想が意味したものをつきとめようとした。中国古代の思想家、荀子の、私なりの肖像を描いたつもりである。

講談社、内山俊彦『荀子』P332

ここで述べられますように、本書では荀子が生きた時代背景が詳しく解説されます。

荀子は「性悪説」を説きましたがそれより前の時代の有名な儒家、Mencius (Meng Zi) (371-289BCE)(前370頃~300頃)は「性善説」を説きました。

同じ儒家でありながらなぜ真逆の思想を説いたのか、そこに時代背景の影響が強く見られることを本書では知ることができます。その一例をご紹介します。

孟子は、では何ゆえに、こうした意味での「性善」を、強く主張せねばならなかったか。それは、彼の政治理想であり、「徳治」主義の一典型ともいうべき「王道」の思想と、切り離しては理解しえない。孟子は、戦国中期の社会の激動、権力者による戦争や収奪、人民の悲惨な生活を目撃し、それに対する回答として、「王道」―支配者の「仁政」による民生の安定、それを通じての天下の平和的統一―の理念を提示した。彼によれば、この「王道」は空論ではなく実現可能であり、そのための方途は、支配階級の人人が、自己の性が善であることに覚醒し、自己の道徳的要素を拡充し、いわゆる「仁義」の徳を実行することである。古の堯・舜の時代がそうであったような王道の世を、今の時代に実現せよ、と説く孟子は、たとえ客観的には空想家にみえようとも、主観的にはこの上なく情熱的であるが、政治理想にかけられたこの情熱は、そのまま、その根底をなす人間観としての性善説を徹底させる力となったのであった。さてこそ、「孟子は性善を主張し、ロを開けば必ず堯・舜を引きあいに出した」(滕文公篇上)のである。

講談社、内山俊彦『荀子』P114-115

ここで語られるように孟子は戦国中期に活躍しました。この時代はまだ秦が決定的な勝利を得るかなり前の時代ですので、中国統一というゴールは未だ見えていません。そうした時代においては「もし素晴らしい王がいて、良い政治をすれば社会は必ず良くだろう」という楽観的な希望を持つことができました。

それに対し荀子の時代は秦帝国が成立する直前です。中国各地を支配する国々も限られ、もはや中国統一まであと少し。ですが孟子の説く「善政」など夢のまた夢・・・「孟子の願う善政によって社会はよくなるのだろうか、いやいや、そんな理想論では広大な国土を統治するのは不可能だ、もっと現実を見なければいけない」という見解が出てきます。

だからこそ荀子はより現実的、合理的に世界を見る「性悪説」を説いたのでありました。この辺の流れは本書で詳しく説かれますのでぜひ読んで確かめて頂けたらと思います。ものすごく面白いです。

戦国中期から秦帝国成立の時代のうねりが思想家を生んだということ。これは「法治主義」の韓非子にも共通する点だと思います。

やはり思想もそれ単独で生まれてくるのではなく、当時のリアルな生活実感から生まれてくることを感じたのでありました。

荀子の思想や時代背景をわかりやすく知れるおすすめの参考書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「内山俊彦『荀子』~性悪説で有名な儒家の思想を学ぶのにおすすめ!戦国時代から秦成立への時代背景と思想の繋がりも知れる名著!」でした。

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