貝塚茂樹『孟子』~性善説、仁政によるユートピア国家を唱えた儒家の思想を学ぶのにおすすめ

本書『孟子』はそんな彼の生涯や思想、時代背景をじっくり見ていける作品になります。

この本を読めば時代背景がいかに重要かがよくわかります。孟子が単に理想主義的に性善説を述べたのではなく、当時の世相において説得力のある理論として述べていたかが明らかにされます。彼は自説の性善説を「国を統治するための策」として王に売り込んでいます。孔子も老子もそうですが、中国思想はそのどれもが国の政治方針と関わってくる点が興味深いです。
他にも有名な「五十歩百歩」のお話や孟子の興味深い性格など、この本では刺激的な内容がどんどん出てきます。ただ単に「性善説」や「浩然の気」などの単語レベルで終わるにはあまりにはもったいない孟子の面白さがここにあります。