浅野裕一『墨子』~兼愛や非攻など、戦国時代において平和と博愛を説いた墨家の思想を知るのにおすすめ

戦乱の世において平和主義を説いた異色の思想家集団の実態を知ることができる貴重な参考書です。

この本を読み、「非攻」という平和主義や「兼愛」という博愛主義を説いていた墨家が進んで武装し戦闘していたというのはかなり驚きでした。ですがこれは簡単な話ではなく、戦国時代という過酷な時代背景をいかに生き抜くかを極限まで考えた上でのお話です。

非攻を唱えながら進んで武装したことを矛盾と一言で切り捨てることはできません。なぜそのようなことになったのかというのは私にとって非常に興味深いものがありました。

本書ではそんな墨家がどのように生まれ、どのようにして中国に広がり、さらにはいかにして消滅していったかが説かれます。