Shinran and Dostoevsky/World Literature

The Nest of the NoblesTurgenev, the great Russian writer

Turgenev's "The Aristocrat's Nest" Synopsis and Impressions - Turgenev's masterful feature film, highly acclaimed in Russia.

ツルゲーネフを学ぶまで『貴族の巣』という小説はまったく知らなかったのですが、この作品がツルゲーネフの作品中屈指の人気があるというのは驚きでした。

ロシア中から大喝采をもって迎えられるほどこの作品はロシアで大人気となり、ドストエフスキーもこの作品に対して賛辞を送っています。

たしかにこの小説はとても読みやすかったです。展開もどんどん動きますし、小説としてかなり面白いです。

FaustTurgenev, the great Russian writer

Turgenev's "Asha (One Love)" Synopsis and Comments - Famous love story translated by Futabatei Shimei.

この小説はアーシャとN・Nの恋物語が主軸ですが、『猟人日記』時代からのツルゲーネフの最大の魅力である美しい情景描写がこれでもかと出てきます。

次に何が起こるかわからない混沌とした心理ドラマを描くドストエフスキー。

ため息を誘うほど美しい世界の中、甘くも苦しい恋に身を焦がす二人のドラマを描くツルゲーネフ。

この違いがとてもくっきりするような作品でした。

FaustTurgenev, the great Russian writer

Turgenev's "Faust" Synopsis and Comments - A love story inspired by Goethe's "Faust".

ツルゲーネフの後半生の作品は憂鬱な気分にさせるものが多いです。そのきっかけとなった時期がまさにこの頃であると言われています。

ここから「あきらめなければ」という諦念がツルゲーネフを強く覆っていくことになります。

この辺りも激情家ドストエフスキーとの大きな違いを感じさせられます。

ツルゲーネフは時代を俯瞰し、達観した賢者のごとく静かな憂鬱に身を任せます。

こうした違いが文学の上にも明らかに出てくるのだなと思いながら私はこの作品を読んだのでありました。

lujingTurgenev, the great Russian writer

Turgenev's "Luzhin" Synopsis and Impressions - The masterpiece that spawned the Russian Hamlet "The Extraordinaire"!

この作品は『あひびき』と同じく二葉亭四迷によって翻訳され、早くから日本においても知られていた作品です。

この作品の主人公ルーヂンは洗練された立ち振る舞いや圧倒的な弁舌の才によって田舎の人々をあっという間に魅了してしまう魅力的な好男子です。

しかしその正体はなんと悲しきかなや、単なる空っぽな人間だったのです。彼には確固たる意志もなく、社会のどこにいてもうまくやっていけない社会不適合者だったのです。

muumuu (Hawaiian clothing)Turgenev, the great Russian writer

Synopsis of Turgenev's "Mumu" - A sad story of a serf and a puppy

この作品はツルゲーネフ作品の中でもトップクラスにドラマチックな作品なように私は感じます。

ゲラーシムの素朴な善良さ、そしてそれに対置される女地主や執事。

そして何より子犬ムムーとの心温まる日々。

ですが、そんな幸せな日々が女地主の横暴で不意に終わりを迎えます。

犬を殺せと命じられたゲラーシム。彼は一体どうするのか、街から一人離れて川に船を浮かべた彼はどうなってしまうのか、ムムーはどうなってしまうのか。

読んでいるこっちは恐ろしくて心臓がばくばくしてしまいました。

Diary of a hunterTurgenev, the great Russian writer

Famous for Futabatei Shimei, "Aibiki" Synopsis and Impressions - A masterpiece from Turgenev's "The Hunter's Diary".

『あいびき』は二葉亭四迷によって日本に紹介され、日本文学界に大きな影響を与えました。当時はドストエフスキーやトルストイよりも、ツルゲーネフがまずロシア第一の作家として日本では流行していました。

おそらく日本において最も知られているツルゲーネフ作品のひとつがこの『あいびき』であるのではないでしょうか。

短編ですので非常に読みやすいものとなっています。ツルゲーネフ入門には最適な作品かもしれません。その美しい世界観にぜひとも浸っていただけたらなと思います。

Diary of a hunterTurgenev, the great Russian writer

Synopsis and commentary of Turgenev's masterpiece "The Hunter's Diary" - the masterpiece that made Turgenev's name famous in the literary world.

『猟人日記』ではツルゲーネフの芸術性がいかんなく発揮されています。彼の自然に対する美的センスは並外れたものがあるようです。

また、この作品は彼の幼少期、虐げられた農奴の姿を目の当たりにしていたことも執筆の大きな要因となっています。

そしてこの『猟人日記』によってロシア社会は大きな衝撃を受け、これを読んだ皇帝アレクサンドル2世が農奴解放令の布告を決心したとも言われています。

ツルゲーネフを代表する芸術作品としてだけではなく、ロシア社会の実態を捉えたという点でもこの作品の持つ意味は大きなものであると言えそうです。

ViardotTurgenev, the great Russian writer

Turgenev and Madame Viardot's Fateful Love: The Opera Actress Who Decided Turgenev's Fate

ツルゲーネフは大地主の御曹司でしかも容姿端麗。文壇のスターとして活躍し、さらに社交界では軽妙洒脱な話術や抜群の知性で伊達男として通っていました。これはモテないわけがありません。これはドストエフスキーと比べても興味深いです。彼とは真逆のモテっぷりです。ツルゲーネフは若い頃から恋多き男でした。

しかし、そんな彼でしたが生涯結婚することはありませんでした。

彼には生涯にわたって愛し続けた一人の女性がいたのです。

それがポーリーヌ・ヴィアルドーというオペラの歌姫だったのです。

この記事ではそんなツルゲーネフの恋についてお話ししていきます。ドストエフスキーとの比較も興味深かったです。

Turgenev, the great Russian writer

Pushkin Lecture from Turgenev's side - How will the final battle with Dostoevsky end?

1880年、ツルゲーネフはモスクワでプーシキン像除幕式の記念講演に招待されます。この講演会はドストエフスキーも招待されていて、最晩年の2人が直接その文学論を戦わせた歴史的な一日として有名です。

ドストエフスキー伝記や参考書ではこのプーシキン講演がドストエフスキーの名声の絶頂として描かれることが多く、ツルゲーネフはその引き立て役、あるいは敵役として描かれがちです。

そのためドストエフスキー側からツルゲーネフを見るとどうしても偏ったものになってしまいます。

というわけで今回はツルゲーネフ側から見たプーシキン講演を見ていきたいと思います。

Turgenev, the great Russian writer

The relationship between Turgenev and Dostoevsky's "Evil Spirits" - What a chic move by the artist Turgenev!

ドストエフスキーは自身の作品『悪霊』でツルゲーネフを風刺したカルマジーノフという人物を描き、こっぴどくやっつけることになりました。

このように風刺されるというのはツルゲーネフにとってもかなりの痛手となったと思われます。

ですが彼は個人的な関係を超えて芸術を愛します。

ドストエフスキーとは仲違いしてしまいましたが、彼の作品についてはその価値を十分に評価しているのです。そして公正にもフランスの作家に彼を紹介するということまでしているのです。これは芸術を愛するが故に行われた尊敬すべき行動だと私は思います。