Shinran and Dostoevsky/World Literature

Turgenev, the great Russian writer

Dostoevsky and Turgenev's big fight in Germany in the history of Russian literature

1845年に初めて顔を合わせ、間もなく犬猿の仲となったドストエフスキーとツルゲーネフ。

彼らの因縁は2人の最晩年まで続くことになります。

そんな2人が決定的な衝突をした有名な事件が1867年、ドイツのバーデン・バーデンという世界的に知られる保養地で起こることになりました。

この記事ではそんな二人の衝突についてお話ししていきます。

Turgenev, the great Russian writer

What are Slavic and Western Schools? The difference between Dostoevsky's and Turgenev's positions - if you understand this, Russian literature will be clear!

ドストエフスキーやツルゲーネフ、トルストイの作品や解説を読んでいてよく出てくるのがタイトルにもあるスラブ派・西欧派という言葉。

当時のロシア文学は純粋な娯楽や芸術としてだけではなく、国や人間のあり方について激論を交わす場として存在していました。

彼らにとっては文学とは自分の生き方、そして世の中のあり方を問う人生を賭けた勝負の場だったのです。

その尋常ではない熱量、覚悟が今なお世界中でロシア文学が愛されている理由の一つなのではないかと私は考えています。

Turgenev, the great Russian writer

Turgenev's Encounter with Dostoevsky: The Beginning of a Fate

ツルゲーネフとドストエフスキーの不仲は有名な話となっています。

それは文学における思想の違いだけでなく、性格の違いや個人的ないざこざも絡み、二人の最晩年までそのライバル関係は続くことになりました。

今回の記事ではそんな二人が初めて出会ったシーンを紹介していきます。

時は1845年、ドストエフスキーがデビュー作『貧しき人びと』を完成させ、批評家ベリンスキーに激賞されたことで一躍文壇のニュースターとなった頃のお話です。その頃、ツルゲーネフは期待の若手としてすでに文壇で活躍し始めていました。

Biography of TurgenevTurgenev, the great Russian writer

A maritime accident in Turgenev's youth - an unexpected episode in the young writer's life.

今回紹介するお話は「若い日に出合った海難事故に際しての「大きな坊ちゃん」らしい無様さ」と伝記作家アンリ・トロワイヤが形容したエピソードになります。

この海難事故はツルゲーネフが20歳になる年のエピソードです。

若い頃の話ですので伝記でもかなり早い段階でこのエピソードと対面することになりました。

初めてこの出来事を知った時はかなり驚きました。ドストエフスキーのライバルと呼ばれるほどの大文豪がこんな若き日を過ごしたというのは衝撃でした。

Biography of TurgenevTurgenev, the great Russian writer

The Beginning of Turgenev's Hatred of Serfdom and Comparison with His Tyrannical Mother, Dostoevsky

この記事ではアンリ・トロワイヤの『トゥルゲーネフ伝』と佐藤清郎の『ツルゲーネフの生涯』を参考にツルゲーネフの文学人生の原体験となった彼の幼少期と青年期をざっくりと見ていきます。

ツルゲーネフの母ヴァルヴァーラはまるで専制君主のような暴君ぶりで農奴に恐れられていました。

ツルゲーネフは間近で虐待される農奴の姿を同情の目で見ていました。そしてそのまなざしは単なる他人事ではなく、彼自身が感じる恐怖と憎しみと一体化したものでした。

ツルゲーネフの幼少期はそうした非常に気の毒なものでした・・・

Biography of TurgenevTurgenev, the great Russian writer

Henri Troyer, "Biography of Turgenev" - Recommended biography of Turgenev!

トロワイヤは彼の他の伝記作品と同じく、この作品でも物語的な語り口でツルゲーネフの生涯を綴ります。

特に、ドストエフスキーをもっと知りたいという方には必見です。ドストエフスキーがなぜ彼をこんなにも毛嫌いしたかがよくわかります。そして、そんなツルゲーネフがなぜそのようになっていったのかも幼少期から遡って知ることができます。

ひとつひとつのエピソードがとても興味深かったです。

とてもおすすめな伝記です。

Turgenev, the great Russian writer

Introducing the life and major works of Turgenev, the great Russian writer - a human portrait of Turgenev, author of "Aibiki", "First Love" and "Father and Son".

ドストエフスキーのライバル、ツルゲーネフ。彼を知ることでドストエフスキーが何に対して批判していたのか、彼がどのようなことに怒り、ロシアについてどのように考えていたかがよりはっきりしてくると思われます。

また、ツルゲーネフの文学は芸術作品として世界中で非常に高い評価を得ています。

文学としての芸術とは何か、そしてそれを補ってやまないドストエフスキーの思想力とは何かというのもツルゲーネフを読むことで見えてくるのではないかと感じています。

芸術家ツルゲーネフの凄みをこれから見ていくことになりそうです。

departed soulThe great Russian writer Pushkin Gogol

Gogol's "The Soul of the Dead" Synopsis and Impressions - Considered the greatest work in the history of Russian literature

『死せる魂』は1842年に発表されたゴーゴリの代表作たる長編小説です。

ゴーゴリはプーシキンに直接師事していました。ここにプーシキン―ゴーゴリというロシア文学の流れを作った偉大な関係がありました。

そんな尊敬する師プーシキンから譲ってもらったテーマをゴーゴリはこの作品で発展させていきます。

ドストエフスキーもこの作品を非常に好んでいたとされています。

ロシアの現実をリアルに描写する。

後のロシア人作家たちの共通のテーマがこの作品によって明確に示されることになったのでした。

GogolThe great Russian writer Pushkin Gogol

ゴーゴリ『外套』あらすじと感想~小官吏の悲哀に満ちた日々~ドストエフスキー『貧しき人びと』に直結

『外套』はドストエフスキーを理解する上でも非常に重要な作品と言えます。

また当時のロシア社会を知る上でも興味深い作品です。ロシアの小役人たちの生態をゴーゴリはユーモアを交えて語っています。

ドストエフスキーは『外套』を下敷きに彼独自の物語を書き始めます。それが彼のデビュー作『貧しき人びと』だったのです。

検察官The great Russian writer Pushkin Gogol

ゴーゴリ『検察官』あらすじと感想~ロシア演劇界に衝撃をもたらした傑作

『検察官』のあらすじは、不正で私腹を肥やす役人たちが行きずりの若い旅人フレスタコーフを自分たちを摘発するためにやってきた検察官と勘違いし、役人たちが右往左往してとんちんかんなやりとりを繰り返すという喜劇です。

ゴーゴリは学生時代から風刺の達人で、ターゲットの特徴を絶妙に抽出し、ユーモアたっぷりに表現するのが得意な青年でした。そんな彼がロシア社会の悪を風刺し笑ってやりながら世の中を良くしようと考え作ったのがこの作品だったのです。