communism

Yukio MishimaYukio Mishima and Japanese Literature

三島由紀夫、芥正彦他『三島由紀夫VS東大全共闘 1969-2000』~あの伝説の討論は何だったのか。学生達の思想、関係性も知れるおすすめ作品!

結局、あの東大全共闘は何だったのか・・・安田講堂に立てこもり火炎瓶を投げつけた学生達や内ゲバを繰り返したセクトたちと何が違うのか・・・。

私にはこれがどうしてもわからなかったのです。三島由紀夫と討論した彼らは一体何者だったのか。彼らも内ゲバや暴力をしていたのだろうか・・・。

そんな疑問を抱えていた私にとって本書はあまりにありがたい作品となりました。

いや~ものすごい本です。計15時間にも及ぶ濃密な討論がこの本で文字化されています。東大全共闘とは何だったのか、三島由紀夫との対談は何だったのかということを知るのにこの本は最高の資料になります。この時代の雰囲気を感じるためにもぜひぜひこの本はおすすめしたいです。

The Zenkyoto Generation as an IdeologyYukio Mishima and Japanese Literature

Shuhei Kosaka, "Zenkyoto Generation as an Ideology" - Recommended work to feel the spirit of the times from the 60's through the author's personal narrative.

学生紛争とは何だったのか。

あの時代を知らない私からすれば、あまりに不思議でどう理解してよいかもわからぬ複雑怪奇な存在でした。

本書は著者の個人的な語りを通して全共闘や赤軍まで見ていきます。

全共闘や学生紛争についての入門として本書は非常におすすめです。この時代を知らない私達若い世代こそこの本を読むべきではないかと思います。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

明日はそんなに暗くないBuddhism in Sri Lanka, Nepal and Southeast Asia

E・サラッチャンドラ『明日はそんなに暗くない』あらすじと感想~マルクス主義の学生による武装蜂起が起きた1971年スリランカを題材にした小説

この小説とこのタイミングで出会えたことに縁を感じずにはいられません。スリランカに行く前に、私はこの小説を読まねばならなかったのだと強く感じています。

日本の学生紛争について考える上でもこの作品は非常に重要な示唆を与えてくれる作品です。

小説としても非常に読みやすく、私も一気に読み切ってしまいました。さすがスリランカを代表する作家です。

スリランカについてまた新たな視点をくれた素晴らしい作品でした。

I would highly recommend this work.

時の終焉Buddhism in Sri Lanka, Nepal and Southeast Asia

M・ウィクラマシンハ『時の終焉』あらすじと感想~マルクス主義と階級闘争に揺れるスリランカを活写した名作!

労働者を搾取して成り上がった大資本家サウィマンに強く反抗する息子マーリン。彼は「あの二人はもうすでに精神的に腐敗している。今さら両親の心を改悛させる人間は周りに誰もいないからね!」と親友の医者アラウィンダに打ち明けます。彼の反抗はもはや家庭内だけの問題ではなく、コロンボ市民を巻き込む政治運動へと展開していきます。

本作ではこうした資本家と労働者のせめぎ合いや暴動も描かれます。当時コロンボで何が起きていたのかをかつてジャーナリストであったウィクラマシンハが物語にして具現化したのがこの小説です。これまで彼の三部作を読んできて感じたように、この作品でも彼の繊細な心理描写は精彩を放っています。

ウィクラマシンハの小説はスリランカの姿を知るのに最高の手引きとなります。

Faith in Modern ChinaChinese Buddhism, Thought and History

Ian Johnson, Faith in Modern China - A look at the reality of religious life under the Communist regime! A non-fiction book that questions what faith is all about!

この本は宗教を禁じていた共産党中国において、今宗教はどのような状況になっているかを追っていく作品です。

現在の中国の宗教事情を知れたのは非常に興味深いものがありました。

ただ、本書でも述べられていたのですが、近年共産党当局が厳しい統制をかけているため今後どうなるかはわからないというのは非常に恐ろしく感じました。

この本は私達の知らない中国を目の当たりにすることになります。著者が実際に長期の密着取材をしたからこその情報が満載です。現代中国の宗教事情を知るのにこの本は非常におすすめです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

中国人の宗教Chinese Buddhism, Thought and History

松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』~道教の入門書としておすすめ!写真、資料も多数

道教は中国人の生活にあまりに深く根付いています。そして興味深いことに、儒教と仏教とも混じり合って今も信仰されているとのこと。これは日本人の宗教のありかたとも似ていますよね。

道教は日本人にとってはなかなかイメージしにくいものではありますが、この本では写真や資料も多数掲載されていますので視覚的にも優しい作りになっています。

解説も初学者でもわかりやすく読めるよう配慮されているのも嬉しいです。

道教の入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。

Stalin's LibraryHistory of the Soviet Union under Lenin and Stalin

Jeffrey Roberts, "Stalin's Library" - A novel biography of Stalin from the perspective of reading. How did he view Dostoevsky?

Hating him doesn't explain why and how he went to such lengths."

This is a very important point made by the author. If we put Stalin away as just a big bad man, that is where our thinking ends.

This is a very stimulating book that looks at Stalin from the perspective of "reading" to find out why he was able to become a dictator and what was behind his success. The author's courage to attack from a minor angle, "reading," which in a sense is not easily associated with dictatorships, is nothing short of amazing. It is very innovative.

Learning from the Bosnian Conflict and the Tragedy of the Rwandan Genocide: International Conflicts after the Cold War

ルワンダの虐殺を学ぶのにおすすめの参考書7作品~目を背けたくなる地獄がそこにあった…

ルワンダの虐殺はあまりに衝撃的です。トラウマになってもおかしくないほどの読書になるかもしれません。それほどの地獄です。人間はここまで残酷になれるのかと恐れおののくしかありません。

私はボスニア紛争をきっかけにルワンダの虐殺をこうして学ぶことになりましたが、これらの本を読んでいてボスニア、ルワンダ、ソマリアのそれぞれが特異で異常なのではなく、人間の本質としてそういうことが起こり得る、誰しもがやってしまいかねないものを持っているのだということを改めて思い知らされることになりました。

目を背けたくなるような歴史ではありますが、ここを通らなければ、歴史はまた形を変えて繰り返してしまうことでしょう。そうならないためにも私たちは悲惨な人間の歴史を学ばなければならないのではないでしょうか。

billionaire IndiaIndian thought, culture and history

J. Crabtree, "Billionaire India" - India's version of oligarchs! A book to learn about the corrupt, cronyist, super-universal society of India!

India, a fast-growing economic superpower, will overtake China's population by 2023. Where is India headed for the future under the leadership of Prime Minister Modi? This book is a good way to learn about modern India, which has now become a huge influence on the world.

As the title of the book, "Billionaire India: Lights and Shadows of a Society Ruled by Millionaires," suggests, this book looks at India with the main theme of the super-rich in India.

The corruption in India described in this book is horrendous. We are told in the media and in many other places that "India will lead the world in the future," but I doubt that it will be that simple. We have no idea how India's development will turn out. It is a matter of darkness. It is hard to imagine what will happen to this chaotic country.

有閑階級の理論Marx Engels Writings and Related Works

Veblen, "The Theory of the Aristocracy" - The secrets of wealth, desire, and human psychology are laid bare! A masterful book full of bombshells!

「この本を読んだ人は、モノの消費をこれまでと同じように見ることはできまい。」

まさにその通り!この本では「それを言っちゃあおしめぇよ」と思わず言いたくなる赤裸々な爆弾発言がどんどん出てきます。ですがよくよく考えてみると、「うん、たしかにヴェブレンの言う通りかもしれない・・・」と頷かざるをえない気持ちになってきます。

この本ではとてつもなく刺激的な言葉がどんどん出てきます。これはぜひ読んで体感してみてくださいとしか言いようがありません。ぜひヴェブレンの爆弾発言を堪能して頂けたらと思います。

宇沢弘文を通してこの本と出会えたのは本当に嬉しいものがありました。私の中でも強烈なインパクトを残した作品でした。ぜひぜひおすすめしたい作品です。